ソニン|「カレーライスの女」から18年 アンサーソングで見せる彼女の今

2人の親友との共演

──10月18日に開催される「SONIM's 20th ANNIVERSARY LIVE『Cheers.』」も目前に迫ってきましたが、これまで歌ってきた曲の中で当日のセットリストに入れたいと思っている曲はありますか?

ソニン

まだライブに関しては準備中なんですけれども、私はこれまで1枚だけ『華』というソロアルバムを出してるんですね。それがどうやらファンの方の中では名曲ぞろいだと語り継がれているらしいんです。確かにあの時代のつんく♂さんの書いた曲のいい部分がギュッと詰まってる1枚だと私も思っているので、できればアルバムの曲も1曲入れたいなと思っています。ファンの方の「えっ、その曲歌うんだ!」という驚きも欲しいので。

──これまで出演されたミュージカルの曲も歌われますか?

はい。もちろん。

──ミュージカルで歌うときとJ-POPを歌うときでは、歌い方も全然変わりますよね。

ミュージカルは作品あっての曲なので、ストーリーの中のワンシーンみたいな感じなんです。それはライブで歌うときにすごく意識してますね。お客さんもみんなストーリーを知ってますし、フレーズが流れただけで頭の中でシーンがよみがえりますし。物語の内容とかそのときやった役の心情を全部セットで聴いてくれるので、例え1曲だけ歌うときでも役の感情を乗せています。その点がJ-POPとは違いますね。

──今回のライブには、1回目に中川晃教さん、2回目に濱野めぐみさんがゲスト出演されます。お二人ともソニンさんの親友として長くお付き合いされている方ですね。

あっきー(中川)とは知り合って10数年になるんですけれども、お芝居の舞台では2017年のミュージカル「ビューティフル」でようやく初共演だったんです(参照:最初で最後の競演!? 水樹奈々&平原綾香、キャロル・キング名曲を共に歌う)。あっきーが作曲家のバリー・マン、私が作詞家でパートナーのシンシア・ワイル役を演じて。「ビューティフル」は想像以上に素敵な作品でしたね。作品自体もそうですし、役を通して自分でクリエイトすることの大切さをより実感して。また11月に再演できるので(参照:ミュージカル「ビューティフル」再演決定、水樹奈々&平原綾香のW主演再び)、月日が経ってどんな感じになるのか楽しみです。濱めぐ(濱田)さんとも知り合ってすぐに意気投合して、お茶とかごはんに行くと5、6時間ずっと語り合ってます。ただ、1回も舞台で共演したことがないんですよ。「いつ共演するんだろうね、私たち?」といつも言ってて。「この役っていうタイミングじゃないと引き合わせてくれないんだよ、神様は」なんて言ってます。今回は記念ということで呼ばせていただきました。もう本当に2人ともありがとうって感じです。こんなデュエット今回しかないよ、観ないと損だよって。ホント贅沢。ちょっと考えただけで緊張しちゃう……。

──積み重ねてきたものを感じられますね。ソニンさんはSPEEDのコンサートを観て芸能界を目指したそうですが、20年経って歌に対する意識はどんなふうに変わりましたか? 何か見えてきたものはありますか?

いや、歌手を夢見て上京した頃に思ってた歌とは明らかに全然違いますし、いまだにわからないです。うまいってなんだろうとか、歌ってなんだろうとか、お風呂の中でずっと考えてる。「これでいいのかなあ? どうなんだ自分?」と思いながら、いつも答えにたどりつかないままです。この世界でいろんな仕事をすればするほど才能あふれる人にいっぱい出会うので、音楽だけに賭けてる人を見てると「私ってどうなんだろう」と思ったりもしますし。私の周りには本当に歌がうまい人がいっぱいいて、またそういう人たちとばっかり仲良くなっちゃうんですよね。濱めぐさんにしてもあっきーにしても。周りの人を見て「ファンの方みんな取られちゃう!」って肩身狭い思いになっちゃう(笑)。でも、仲良くできているからこそ「あっ、すごいな。こんな世界も見せてくれるんだ!」と可能性を知ることもできますしね。でも、ブレないようにはしています。ブレてしまうとアーティストじゃなくなるので。

本当の意味でのつながり

──3年前に「しくじり先生 俺みたいになるな!!」(テレビ朝日系)に出演されたときに「知らない間に“指示待ち人間”になっていて人生を見失った」とおっしゃっていましたね。そしていろんな苦労や悩みを乗り越えた結果「自分で決断した道でのがんばりは必ず報われる」って。

ソニン

自分の判断で動くのって怖いですよね。それこそ今はSNSもありますし、有名人じゃなくても学校内とか会社内とかすごく狭い世界の中で陰口叩かれたりして勇気が出ないと思うんです。ただ、少しずつですけど、法律に触れることじゃない限り自由に生きることが個性として認められる時代になってきているなとも思うんです。いわゆるマイノリティとして排除するパターンが通用しなくなってきているというか。「むしろそっちの方が個性的でカッコいい」みたいな。だから、くだらない小さな世界で起こるようなことは絶対気にしちゃダメ。さっきブレないって話をしましたけど、自分が信じるものを見つけることってすごく大切だと思うんです。特にこのコロナ禍においては皆さん自分を追い詰めてしまうことも多かったと思うんですけど、だからこそよりシンプルに、本物を求めていかなきゃいけないなと改めて感じました。SNSなんか軽く捉えて、大切なものはそこにはないんだよってことを知ってもらいたいですね。

──いっそ本来の使い方に戻って「渋谷なう」「カレーうめえ」でいいと思うんですけどね。

ははは(笑)。いやホント。くだらないのでいいんです。そういうことに使ってほしい。そこに真意を求めようとしちゃダメ。だから偶然かもしれないですけど「ずっとそばにいてね。」は、今の時代にフィットしたなと思うんです。本当の意味でのつながり。実際はそばにいたくてもいられない状態だけど、それが大切だよねって。お互いを思いやる気持ちをみんなに見つけてほしいし、惑わされないでって思います。

──ありがとうございました。これからの活動も楽しみにしております。今回はつんく♂さんとご一緒されましたけれども、いつかソニンさん自身の作詞作曲でも歌を聴かせていただきたいです。

はい。それは今後やるべきだし、やろうと思ってます。まあ、今後のアーティスト活動については……このシングルの結果次第ですかね(笑)。でも、素敵なアーティストはたくさんいるので、何かの形でコラボレーションできるといいなという希望もあります。やっぱり歌は好きですから。今回改めて感じました。

ライブ情報

SONIM's 20th ANNIVERSARY LIVE「Cheers.」
  • 2020年10月18日(日) 東京都 日本橋三井ホール <ゲスト> 14:00開演回:中川晃教 / 18:00開演回:濱田めぐみ