ナタリー PowerPush - SHIKATA
作家&プロデュース業経て本格的ソロ活動スタート
今は思いっきりストレートに歌うことを意識してる
──シンガーとしては、どんなところにポイントを置いて歌っていますか?
今まではコブシを回したり、フェイクしたり、R&Bの“イズム”が入っていたんですよ。歌詞も、あまり聞こえなくていい、カッコよく滑らかに歌うのがいいと思ってたんです。それを全部やめて、今は思いっきりストレートに歌うっていうことを意識してます。まずは詞が聞こえるように歌うし、フェイクをしたことで曲に寄せてた感情や意識が切り替わってしまうことを何度も感じたことがあるので、そういうのをせずにまっすぐ歌おうと。
──今回のアルバムに収められている曲も、R&Bな歌い方ではないですよね。
はい。もうR&Bを卒業しました。よく考えたらJ-POPが好きじゃんって単純に思ったんです。最初に言ったCHAGE and ASKAさんとか、Mr.Childrenとか、あと槇原敬之さんも大好きで。彼らの曲は若い人から年上の人までみんな歌えるじゃないですか。そう考えたときに、僕がやってることは狭いなと思っちゃったんですよ。5歳から10歳くらいの世代間を相手にやってるなって。
──なるほど。
それってもったいないな、自分の可能性を減らすなって思ったのが1年半くらい前。そこから作り方が変わったんです。そしたら、やっぱりJ-POP向きだったんでしょうね。J-POPなアイデアがどんどん湧いてきて、そのタイミングでナオトくんとかと一緒に楽曲制作をさせてもらうことが始まったんです。よく考えたら、POPってポピュラーってことじゃないですか。今はそっちを意識してるので、「R&Bシンガー」って言われるのがイヤなんです。今は「いい感じでポップだね」って言われるのが一番うれしい。
外国で言うとBabyfaceになりたい
──最後に、シンガーとしての目標と、作り手としての目標を教えてください。
作り手としての目標は、例えば小林武史さんとか、僕の好きなプロデューサーと一緒に曲を作ること。もうひとつは全くのド新人を自分で見つけてきてヒットさせたいっていう夢があります。シンガーとしては、日本武道館でやりたいとか、そういう目標はあまりないですね。どちらかというとお客さんを近くで感じられるライブをやりたいです。今、一番やりたいのはBillboard LIVEとかブルーノートとか。みんなが座って聴けて、それでいて「楽しかったね」って思ってもらえるようなライブができるシンガーになりたい。
──自分の中のシンガーと作り手は、今、どんなバランスなんですか?
6対4くらいかな。いや、5対5かな。シンガーとして評価されるのも好きなんですけど、曲を提供したアーティストが売れていくのもすごいうれしいんですよ。ただ、リリースのタイミングになると変わってくるので、今は6対4から7対3くらいでシンガーのほうに重心がかかってますね。とか言いながら、家に帰れば曲を作るんですけど(笑)。
──今日もこれから作るんでしょう?
そうですね。多分、どっちもやめられない感じがするんです。
──SHIKATAさんの立ち位置の理想はBabyfaceかもしれませんね。
あ、そうです、そうです! 外国で言うとBabyface。アメリカって、先にプロデューサーをしていて、のちに歌い手としても評価されるタイプが多いじゃないですか。
──カニエ・ウェストとか、Ne-Yoとか、The-Dreamとか。
そう。でも、日本って先に楽曲提供をしていて、のちにシンガーとして売れた人ってあまりいないなと思って。なので、その一発目になりたいなって思います。そういう例がないのは、多分、皆さんエゴがあるからだと思うんですよ。プロデュースしてるときはポップなものをやって、自分が表に出て歌うときはカッコよくありたいっていう人が多いと思うんです。でも、僕はその逆。提供するものはカッコよくて、自分で歌うのはポップだねっていう人はあんまりいないと思うので、今までにない例を成功させたいなと思ってます。
CD収録曲
- ただ… ありがとう
- I still...
- Dear... My friend
- 逢いたくて… feat. CHIHIRO
- まだ、君が好き
- FAVOR ~確かなこと~
- Lose control
- LOVE SONG(NATURAL8)
- Believe Myself(Dear, KEN THE 390 & SHIKATA)
- ラブレター with SHIKATA(Tiara)
- STAY TOGETHER(NATURAL8)
- Shine
SHIKATA(しかた)
1981年長崎生まれ、横浜育ちのシンガーソングライター。2003年に全国歌謡祭にて審査員特別賞を獲得したのち、クラブやライブハウスでレギュラーイベントを行い、着実に力を付ける。2007年にMAY'S、CLIFF EDGE、KGと結成したユニット・NATURAL8としてアルバム「GOLDEN SHUFFLE」をリリース。その後ソロアーティストとして活動を始め、並行して他アーティストへの楽曲提供やプロデュースをスタートする。主に手がけたアーティストはナオト・インティライミ、BIGBANG、JUNSU/JEJUNG/YUCHUN、w-inds.、JAY'ED、福原美穂など。2011年、トイズファクトリーと契約し、アーティスト活動を本格化させる。2012年7月、これまでのキャリアを総括するベストアルバム「BEST 2007–2012 ~Prologue~」を発表。