ナタリー PowerPush - SHIKATA
作家&プロデュース業経て本格的ソロ活動スタート
転機は「今のキミを忘れない」
──自身で詞曲を作り始めたのは、いつ頃からなんですか?
25歳くらいですね。
──ということは、NATURAL8を結成してから?
そうです。NATURAL8のときに、トラックにメロディを付けるようになっていって。そこから本格的に修行しようと思って、トラックメイカーのMONKさんに弟子入りして曲作りを1、2年学んだんです。だから、楽曲を提供し始めてまだ2年半とかなんですよ。
──自分にとってターニングポイントになったことは?
ナオト(・インティライミ)くんかも。彼の「今のキミを忘れない」。それ以前は、相手のリクエストに従って曲を作ったり、提供した曲がたまたま相手のお眼鏡にかなったっていうケースが多かったんですね。でも、「今のキミを忘れない」は、ナオトくんのイメージと僕が思うイメージを重ね合わせて、どうやったらナオトくんのキャラを活かして作れるか?って考えて作らせてもらったんで。しかも、できたときに「これ、絶対売れるよね」って話してましたね。それが実際にヒットにつながったっていうのがデカかった。自分を信じて大丈夫だなっていう確信になった曲かもしれないですね。
──ところで、今回のアルバムはどんなコンセプトになってるんですか?
自己紹介っていうコンセプトです。副題に「Prologue」とつけたんですけど、これが始まりで、ここから僕をチェックしていってくださいね、っていう意味を込めたベスト盤なんです。だから、自己紹介する上でわかりやすいものをいっぱい揃えた感じ。このアルバムを聴いてもらったら、僕の人間性がわかると思うし、次を知ってもらうための挨拶ですね。
しんみり泣くよりも、笑顔で泣こう
──リード曲「ただ…ありがとう」は、どんなイメージから作ったんですか?
ある日、「ツレがうつになりまして。」という映画を観に行ったんですね。その映画を見て、大切な人がこんな隣にいてくれるすばらしさっていいなと思って、うるっと来た次の日に書いたんです。自分にとっての大切な人ってどういう存在だろう、その人にはどういう気持ちが湧くだろうと考えて書いてました。
──サウンド面で意識していたことは?
そういう「ありがとう」みたいな曲を作るときって、大体、優しい曲調にしがちなんですよ。あとはバラード調にしたりとか。でも、あったか切ない、みたいなものにしたかったんです。すごい明るいし、乗れるんだけど、最後は笑顔になりながらうるっとできる、みたいな。そういうサウンドにしたいなと思って作っていったんです。
──実際、4つ打ちだから軽快さがあるし、ハピネスが感じられる曲ですね。
そう。去年の震災の影響があって、しんみり泣くというよりも、笑顔で泣こうっていうコンセプトに曲作りの方向が変わってきてるんですよ。それで、こういう曲を作ったところもあるんです。これから出すものもそういうものが多くなると思う。今まで作ってきた曲は、恋愛は恋愛でも失恋のバラードとかが多いんですよ。
──本作にもそういう曲が多いですよね。「I still...」とか「逢いたくて... feat. CHIHIRO」とか「まだ、君が好き」とか。
そういう未練や後悔を歌う切ない曲をずっと作ってたんです。それはR&Bが好きで、R&Bによくある女々しい"I Love You"を伝える曲が好きだったから。でも、ポジティブな曲というか、聴き手に寄り添えるような曲を作りたいって思うようになってきて。実際、だいぶ曲調が変わってきたんで、1回、ここらで区切りをつけたいところもあって、このベストアルバムを「Prologue」としたところもあるんです。
自分のエゴだけで音楽やるのは違うな
──もうひとつの新曲「Lose control」は、どんなイメージで作ったんですか?
これはライブで盛り上がれる曲を意識して作りました。今まではライブも"じっくり聴かせてナンボ"という曲が多かったんです。だけど、ノリがいいものを作って、それをお客さんと一緒に楽しみたいなと思うようになってきて。これは前からライブでやってた曲なんですけど、これをやるとお客さんも乗ってくれてたんで、ぜひ入れたいなと思ったんです。
──「Lose control」は、エレクトロR&B調のダンスナンバーですが、ダンスを習ってた経験もあるんですか?
それはないです。でも、振り付けがあるような曲は昔やってました。とりあえずなんでもやろうっていう精神なんで(笑)。
──本当、幅広い音楽に触れてきていますよね。
聴いてきたものが全部、今につながってると思うんですよ。聴きたくないっていうのがないし、なんでも挑戦したいっていう気持ちがある分、幅が広いんだと思うんです。R&Bが好きだった当時はヤバかったです。「俺はR&Bしか聴かねえから」みたいな。「歌がうまくなかったらダメ」とか「J-POPはカッコわりい」みたいな感じだったんです。けど、それはNATURAL8をやってから変わったんですよね。
──どんな転機があったんですか?
NATURAL8でワンマンライブをやったときに800人くらい来てもらえて。ライブが始まってステージに出ていって、立ち上がったお客さんからワーッと喝采を浴びたときに、自分のエゴだけで音楽やるのは違うなって思ったんです。お客さんが喜んでくれるっていうのはこういうことなんだって初めて体験できた。あれはターニングポイントでしたね。
CD収録曲
- ただ… ありがとう
- I still...
- Dear... My friend
- 逢いたくて… feat. CHIHIRO
- まだ、君が好き
- FAVOR ~確かなこと~
- Lose control
- LOVE SONG(NATURAL8)
- Believe Myself(Dear, KEN THE 390 & SHIKATA)
- ラブレター with SHIKATA(Tiara)
- STAY TOGETHER(NATURAL8)
- Shine
SHIKATA(しかた)
1981年長崎生まれ、横浜育ちのシンガーソングライター。2003年に全国歌謡祭にて審査員特別賞を獲得したのち、クラブやライブハウスでレギュラーイベントを行い、着実に力を付ける。2007年にMAY'S、CLIFF EDGE、KGと結成したユニット・NATURAL8としてアルバム「GOLDEN SHUFFLE」をリリース。その後ソロアーティストとして活動を始め、並行して他アーティストへの楽曲提供やプロデュースをスタートする。主に手がけたアーティストはナオト・インティライミ、BIGBANG、JUNSU/JEJUNG/YUCHUN、w-inds.、JAY'ED、福原美穂など。2011年、トイズファクトリーと契約し、アーティスト活動を本格化させる。2012年7月、これまでのキャリアを総括するベストアルバム「BEST 2007–2012 ~Prologue~」を発表。