ナタリー PowerPush - SHIKATA

作家&プロデュース業経て本格的ソロ活動スタート

MAY'S、KG、CLIFE EDGEと組んだNATURAL8でのヒットを足がかりに、シンガーソングライターとして活動開始。その一方で、ナオト・インティライミ、JAY'ED、BIGBANGなどの作品を手がけ非凡な才能を発揮してきたSHIKATAが、ベストアルバム「BEST 2007-2012 ~Prologue~」をリリースした。本作はこれまでの歩みを追いつつ、彼の魅力を手軽に堪能できるエッセンシャルな内容。SHIKATA名義の楽曲に加え、代表的なコラボ曲やセルフカバー、さらには新録曲も含まれている。

彼の売りは卓越したメロディセンスと甘くて清潔感のある歌声。その持ち味を生み出した幅広い音楽遍歴を伺いつつ、歌い手 / 作り手それぞれのこだわり、ものづくりに対する心境の変化など、たっぷり語ってもらった。

取材・文 / 猪又孝

最初はヴィジュアル系が好きだった

──音楽に目覚めたのはいつ頃なんですか?

インタビュー写真

最初に音楽を好きになったのは小学校の頃です。父親がCHAGE and ASKAさんが好きで、酔っ払うと彼らの曲をギターで弾いてたんですよ。そこに自然と僕はCHAGEさん役で参加してハモってたんです(笑)。それからいろんなCDを借りたり買ったりしていって。高校1年のときにX(のちにX JAPAN)とかLUNA SEAが好きになってバンドを始めたのがちゃんと音楽を始めたきっかけです。

──最初はヴィジュアル系バンドを組んだんですね。

僕の友達がベースを弾いていて、すっごい太ってるんですけど、弾いてる姿がむちゃくちゃカッコよかったんです(笑)。で、これは音楽やったらカッコいいんじゃないか?と思ってギターを始めたんです。初めて練習したのはXの「Silent Jealousy」の間奏のギター。それを披露したくてバンドでライブをやったんですよ。初めてやったライブは、Xの「Silent Jealousy」と「Standing Sex」と「WEEK END」の3曲。それを歌ったんです。

──歌った? ギターはどこへ?(笑)

ギターはほとんど持ってただけです(笑)。ギターは最初に「Silent Jealousy」を練習しただけ。「ボーカルやりなよ」って言われて、結局、ボーカルをやったんですよ。

──歌手を本気で目指したのはいつ頃なんですか?

18歳くらいですね。高校を卒業した頃から、音楽で食えたらいいなと思うようになったんです。そのタイミングで、あるオーディションに出たら全国歌謡祭に出させてもらえて。そこで認められて、とある音楽事務所に入ったのがキャリアの始まりです。

──今のスタイルにつながるようなサウンドはいつ頃から志向したんですか?

最初はヴィジュアル系が好きで、LUNA SEA、L'Arc-en-Ciel、SIAM SHADEとかを聴いてたんです。高校3年くらいのときにはHi-STANDARDとかが流行ってたんで、パンクとかをやり始めた。で、高校を卒業するくらいの頃にはLIMP BIZKITとかRAGE AGAINST THE MACHINEが好きになって、今度は金髪でタンクトップ姿でライブをしてたんです。

──そこまではずーっとロック系ですよね。ミクスチャー系というか。

そうなんです。で、僕は昔、SOUL SYNDROMEっていう3人組ユニットを組んでたんですけど、そのひとりにさっき言った事務所に入ったときに出会ったんですね。「俺、R&B好きなんだよ」「僕はロックなんだよね」「でもR&Bもヤバいから聴いてみ」って言われて、BOYZ II MENの「End Of The Road」のアカペラを聞かされたんです。そのときに涙が出たんですよ。それまで破壊的な音で盛り上がってたのが、歌だけで泣けるなんてやべえってなっちゃって。そこでいきなりR&Bを聴くようになったんですよ。

──方向転換が急すぎます(笑)。

あはは(笑)。で、まずCDを買ってみようと思って、最初にジャケ買いしたのがJoeとブライアン・マックナイト。それが18、19くらいのときですね。で、日本にもR&Bとかブラックミュージックをやってる人はいるのかな?って探してみたら、Full OF HarmonyさんとかVlidgeさん、HI-Dさん、LUV and SOULさんだったりがいて。あとは米倉利紀さんとか、久保田利伸さんとかも全部掘り始めて、聴いて歌ってっていうのを始めたんです。

“本日のバーテンダー”っていう名前で歌ってた

──2007年にはNATURAL8でアルバム「GOLDEN SHUFFLE」をリリースします。NATURAL8はどのようにして生まれたんですか?

僕、20歳から24歳まで、渋谷のclub asiaでバイトしてたんです。働いてるときにasiaで「ESSENTIAL TONIC」っていうイベントを始めたんですけど、その7回目か8回目のライブに出したのがMAY'Sだったんです。そのときは、僕も“本日のバーテンダー”っていう名前で歌ってたんですよ。ライブで歌うときだけバーカウンターに「ただ今ライブ中です。少々お待ちください」って案内板出して歌ってて(笑)。そのあと、MAY'Sにフィーチャリングで誘われて、一緒にやった曲のリリースパーティに出てもらったのがCLIFE EDGEなんです。KGはその頃、club asia Pにバンドで出ていて、めちゃくちゃカッコいいなと思って、僕が話しかけて。で、その4組が集まって2006年に組んだのがNATURAL8なんです。

──「GOLDEN SHUFFLE」の1曲目「LOVE SONG」は、本作にも収録されていますね。

やっぱり思い出の曲ですからね。これは言っていいのかな? 当時、NAUGHTY BO-Z(MAY'S)が「告白ソングを作りたいから、協力してくれないか」って俺とCLIFE EDGEのSHINに言ってきたんですよ。女の子の気持ちの部分は(片桐)舞子(MAY'S)が歌うから、俺の心境を今から会ってお前たちに伝えたいと。で、夜中、渋谷だったかな。道ばたで3人でカップラーメンすすりながらNAUGHTYから思いを聞いて。「なるほど、そういう気持ちなんだ」って家に持ち帰って2人で書いたのがこの曲の歌詞なんです。

──甘酸っぱい青春の1ページって感じですね。

そう。で、「GOLDEN SHUFFLE」に入ってる「LIV & DIE」っていう曲が、さっき言った僕とMAY'Sで最初にやった曲なんです。そこが始まりなんですけど、NATURAL8として最初に作ったのが「LOVE SONG」なんで思い入れが強いんですよね。しかも、この曲が着うたとかで火がついて、そこからいろいろと動き出したので。

CD収録曲
  1. ただ… ありがとう
  2. I still...
  3. Dear... My friend
  4. 逢いたくて… feat. CHIHIRO
  5. まだ、君が好き
  6. FAVOR ~確かなこと~
  7. Lose control
  8. LOVE SONG(NATURAL8)
  9. Believe Myself(Dear, KEN THE 390 & SHIKATA)
  10. ラブレター with SHIKATA(Tiara)
  11. STAY TOGETHER(NATURAL8)
  12. Shine
SHIKATA(しかた)

プロフィール写真

1981年長崎生まれ、横浜育ちのシンガーソングライター。2003年に全国歌謡祭にて審査員特別賞を獲得したのち、クラブやライブハウスでレギュラーイベントを行い、着実に力を付ける。2007年にMAY'S、CLIFF EDGE、KGと結成したユニット・NATURAL8としてアルバム「GOLDEN SHUFFLE」をリリース。その後ソロアーティストとして活動を始め、並行して他アーティストへの楽曲提供やプロデュースをスタートする。主に手がけたアーティストはナオト・インティライミ、BIGBANG、JUNSU/JEJUNG/YUCHUN、w-inds.、JAY'ED、福原美穂など。2011年、トイズファクトリーと契約し、アーティスト活動を本格化させる。2012年7月、これまでのキャリアを総括するベストアルバム「BEST 2007–2012 ~Prologue~」を発表。