音楽ナタリー Power Push - SHANK
釣りとライブと長崎と
音楽で誰かに何かを伝えたいわけじゃない
──1曲目「Surface」はアコースティックギターに乗せた弾き語りで、そのまま2曲目「Mighty Clash」に入っていきます。この始まりがすごく印象的でした。
Foo Fightersの「The Colour & The Shape」っていうアルバムの1曲目「Doll」がカッコいいなって思ってて。アコースティックの短い曲から勢いのある2曲目につなげるっていう。それを意識して作りました。
──さらに歌詞も「匂い」でつながっていて。
はい。
──「Mighty Clash」の日本語訳で「これが俺で これがあんただってもうそんな歌聞き飽きた」というところが、近年の音楽シーンへの警告なのかなと思ったのですが……実際の背景はどうなんでしょうか?
この曲だけじゃなくて、韻を踏んで耳心地のいいように英語を入れていって、なんとなく意味をつなげていくっていう歌詞の書き方なんで、曲に込めた思いみたいなものは基本的にないんです。日本語訳も意訳的ですし。
──じゃあ歌詞に意味はない?
なくはないけど、完全に後付けで。曲に込めた思いみたいなものはほとんどないですね。
──前回のインタビューでも「デカい音で楽しみたいだけ、曲にメッセージがない」というお話を伺いました。でも例えば「あの子がかわいい」みたいなパーティチューンを歌ってるわけじゃないですよね。強い言葉がきちんと曲に乗っている。だからSHANKの楽曲の根底には一貫して伝えたいことが何かあるんじゃないかと思っているんですけど、どうですか?
うーん……本当にメッセージとかないんですよ。
──そうなんですね。長崎在住で戦争を身近に感じているからか、SHANKには反戦の歌や平和を願う曲が多い印象があります。今作で言えば「Hope」は反戦を訴える歌詞ですし。でもMCで高らかに「戦争反対!」と言うことはないですし、インタビューやSNSで「戦争反対を歌ってます」と言うこともほとんどない。歌詞も英語詞だから、もしかしたらリスナーに歌っている内容が伝わってない可能性もあると思うんですけど、それは別に?
はい。なんかこう……押し付けがましくなるのが嫌なんですよね。そのときどきで言いたいことはあるけど、それは曲で言ってるし、誰かに何かを伝えたいわけじゃない。
──例えば「音楽で世界を平和に」みたいな気持ちは?
考えたことないですね。平和になってほしいと思うなら、音楽じゃなくて、ボランティア活動とかしてると思うし。
──あくまでも平和にしたいんじゃなくて音楽をやりたい?
そうそう、そうです。自分らがやってて気持ちいいことをずっとやってるだけです。
「ショーシャンクの空に」からインスピレーションを受けた表題曲
──ラストナンバー「Honesty」は伸びやかなボーカルが印象的な1曲です。この曲がアルバムのタイトルにもなっているわけですが、この曲の背景を教えてもらってもいいですか?
「ショーシャンクの空に」っていう映画が好きで、その曲からインスピレーションを受けて作りました。映画の最後に主人公のアンディとレッドが海沿いで会って、カメラがぶわーって上がっていくんですけど、そのシーンのイメージです。あの景色が浮かぶような曲を作っていきました。
──映画お好きなんですか?
そうですね。詳しくはないですけど、けっこう映画を観て曲のイメージを作ることは多いですね。
──MVもいいですよね。前半は東京の景色で、後半は長崎の景色になる。
これは眞山(広樹)さんという方に撮ってもらったんですけど、音源を渡して眞山さんから「こういうMVにしたいです」と言われたのでお任せしました。いいMVですよね。
念願のThe Beatlesカバー
──SHANKはいつもカバー曲を入れていますが、今回はThe Beatles「Don't Let Me Down」です。選曲理由を教えてください。
The Beatlesはずっとやりたかったんですけど、許可が下りないとかで前の所属レーベル・THE NINTH APOLLOにいた頃はできなくて。移籍したら、できると言われたので「じゃあやろう」と。
──念願ですね。
はい、満を持して!
──その中でも「Don't Let Me Down」を選んだのはなぜ?
アレンジしやすかったというのが一番大きいんですけど、アルバム全体を考えたときにこういう曲調の曲が欲しかったというのもあって。The Beatlesはいい曲ばかりなので、どれでもよかったんですけどね。
──ずっとThe Beatlesのカバーをやりたかったのはどうしてですか?
好きだから。むしろThe Beatles嫌いな人おる? おっぱい嫌いな人いないのと一緒です(笑)。あんなメロディもあんな展開も、あんな拍の取り方も思いつかないですし。何十年も前の曲なのに今聴いても新しいっていうのがすごいですよね。
──実際カバーしてみてどうですか?
難しいですね。何やってるかわかんないフレーズやプレイがすごくいっぱいあるんですよ。4拍とかいう概念じゃないし、コード進行も奇想天外だし。「ここでこんなコーラス入れる?」っていう展開とかも。
──それをSHANK的に紐解いていった感じなんですね。今回のアレンジでこだわったところはありますか?
シンプルに。原曲を邪魔しないように、とにかくシンプルにしようというのは考えました。
──SHANKはどの曲をカバーしても必ずSHANKらしさが残りますよね。意識してSHANKらしさを残すようにしてるんですか?
いや、特に意識してないですね。自分らがやってて気持ちよくなるようにしてるだけです。
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収録曲
- Surface
- Mighty Clash
- Life is...
- Gloria
- Frustration
- Don't let me down
- Hope
- Wall Ride
- Prepare Yourself
- Honesty
SHANK「Honesty Tour 2017」
- 2017年2月11日(土・祝)長崎県 Studio Do!
- 2017年2月12日(日)熊本県 Django
- 2017年2月14日(火)鹿児島県 SR HALL
- 2017年2月15日(水)宮崎県 SR BOX
- 2017年2月17日(金)大分県 club SPOT
- 2017年2月18日(土)福岡県 小倉FUSE
- 2017年3月3日(金)高知県 X-pt.
- 2017年3月4日(土)愛媛県 WStudioRED
- 2017年3月7日(火)岡山県 IMAGE
- 2017年3月9日(木)兵庫県 MUSIC ZOO KOBE 太陽と虎
- 2017年3月11日(土)香川県 高松MONSTER
- 2017年3月12日(日)徳島県 club GRINDHOUSE
- 2017年3月14日(火)鳥取県 米子 AZTiC laughs
- 2017年3月15日(水)島根県 アポロ
- 2017年3月17日(金)広島県 CAVE-BE
- 2017年3月18日(土)山口県 LIVE rise SHUNAN
- 2017年3月20日(月・祝)福岡県 LIVE HOUSE CB
- 2017年4月6日(木)大阪府 LIVEHOUSE VINTAGE
- 2017年4月7日(金)京都府 KYOTO MUSE
- 2017年4月9日(日)富山県 Soul Power
- 2017年4月11日(火)新潟県 GOLDEN PIGS RED STAGE
- 2017年4月13日(木)北海道 苫小牧ELLCUBE
- 2017年4月15日(土)北海道 帯広Rest
- 2017年4月16日(日)北海道 DUCE SAPPORO
- 2017年4月18日(火)青森県 八戸ROXX
- 2017年4月19日(水)岩手県 the five morioka
- 2017年4月22日(土)福島県 郡山CLUB #9
- 2017年4月23日(日)栃木県 HEAVEN'S ROCK Utsunomiya VJ-2
- 2017年5月9日(火)三重県 M'AXA
- 2017年5月10日(水)岐阜県 yanagase ants
- 2017年5月12日(金)静岡県 Shizuoka UMBER
- 2017年5月15日(月)神奈川県 F.A.D YOKOHAMA
- 2017年5月16日(火)千葉県 千葉LOOK
- 2017年5月18日(木)茨城県 mito LIGHT HOUSE
- 2017年5月20日(土)群馬県 前橋DYVER
- 2017年5月21日(日)埼玉県 HEAVEN'S ROCK Kumagaya VJ-1
- 2017年6月2日(金)滋賀県 SHIGA U★STONE
- 2017年6月5日(月)福井県 福井CHOP
- 2017年6月7日(水)石川県 vanvanV4
- 2017年6月8日(木)新潟県 EARTH
- 2017年6月10日(土)長野県 Sound Hall a.C
- 2017年6月11日(日)山梨県 KAZOO HALL
- 2017年6月13日(火)秋田県 Club SWINDLE
- 2017年6月15日(木)山形県 酒田MUSIC FACTORY
- 2017年6月24日(土)沖縄県 Output
SHANK(シャンク)
長崎在住の庵原将平(Vo, B)、松崎兵太(G, Cho)、池本雄季(Dr, Cho)からなるスリーピースバンド。スカの要素を多く取り入れたメロディックパンクサウンドで人気を集めている。2014年には「FUJI ROCK FESTIVAL '14」「COUNTDOWN JAPAN 14/15」など大型フェスティバルに出演。その名をさらに広めた。2015年、それまで所属していたインディーズレーベル・THE NINTH APOLLOから離れ、エイベックス内に自主レーベル・BAiTFiSH RECORDSを設立する。9月には同レーベルより3rdミニアルバム「SHANK OF THE MORNING」、DVD「11 YEARS IN THE LIVE HOUSE」を同時リリース。10月には自主企画イベント「BLAZE UP NAGASAKI 2015」を長崎・長崎市神の島公園特設ステージにて開催した。2017年1月に4thフルアルバム「Honesty」をリリースし、2月から45公演におよぶレコ発ツアーを実施する。