音楽ナタリー PowerPush - SHAKALABBITS
AXでつかんだもの、Hallelujah Circusの未来
うちの社訓は「プロに任せる」
──でもそんなにアコースティックをやりたい気持ちがあったのに、今まではなぜできなかったんですか?
MAH そうですね。いろいろ周りの反対というか……。「アコースティックアルバムは絶対ファンに喜んでもらえるからやりたいんです」って言ってたんですけど、レーベルに所属していた頃の大蔵省は自分たちじゃないので、好きなようにできなくて。
TAKE-C 新作欲しいって言われちゃうんだよね。レーベルから。「このアイデアいいんですけど……でも新作を!」って。
MAH そうそう。その頃はロックバンドとしてやれる新譜を一生懸命作ろうと思って何年かやってましたね。
──じゃあ今は本当にやりたいことが実現できるすごくいい状態ってことですよね。
UKI そうですね。アイデアを形にしやすいというか。
──でも会社とかレーベルみたいなことを始めると、音楽以外にやらなきゃいけないことが増えてしまうのでは?
UKI ちょっと増えますけど、そこはやっぱり表現者として一番気を付けようと思っていて。うちらはもともと全部なんてできるわけないってわかってるから、お金の勘定とかそういうのはプロに全部お任せしてます。わかんないことは全部プロに任せて、うちらは曲を作って演奏してっていう役割から大きくブレるようなことはやめようって。そういう方針があります。
MAH そういうのなんていうんだっけ?
UKI 社訓ね。うちの社訓は「プロに任せる」。
一同 あはは(笑)。
最高のエンドロールを迎えたい
──でも自分たちで会社をやるっていうのは、責任も自分たちに来るわけで。つぶしちゃいけないとかそういうプレッシャーみたいなものは?
MAH うーん、俺らはいつでも終わる可能性があると思ってビビってるんですよ。例えば今このライブをやったら赤字になってみんな食えなくなっちゃう。そしたらバンドはなくなっちゃうとか考えて、大げさではなく命をかけて、会社もバンドも全部生きるためにやってます。
──そういうことって最初から思ってやってたんですか?
MAH そうですね。それだけは思ってました。
UKI もともとSHAKALABBITSをこんなに長く続けるつもりはなかったけど、いい形で終わりたいなっていうのがあるから、そのためにはまだやることがいっぱいある。
MAH 今はまだ中途半端で終われないね。……とか言いつつ60、70歳になってもやってるのかもしれないですけどね(笑)。ずっと中途半端で終われないって言い続けて。
UKI ライブも作品もやりきったって思っても、そのあとすぐに次の話をしたくなって。でもやっぱりバンドって人が組んでるものだから、突然終わる可能性はあるなっていう気持ちもあったりするんですよね。だからこそ最高のエンドロールを迎えましょうっていう話はしてます。
MAH だから俺らはシビアっちゃシビアなのかもしれないね。
UKI たぶん周りからしたらうちらってめんどくさいと思いますよ。いろいろ振り回しちゃうし。すごいギリッギリまで悩んじゃうんですよ。なんにしても。どうしてもこだわりたくて。でもやるときにはビシッとやれたらいいよねっていう気持ちのもとやってます。
──そういうバンドのスタンスとかをそのまま会社にしたのがHallelujah Circus Inc.だと。
MAH そうですね。計画性はないんですけど、やりたいことはいっぱいあります。それを形にするのに、今何をやるべきかはなんとなーくわかってる会社です。
UKI 計画のプロにそのへんは任せてね。
TAKE-C そうそう。やりたいことを伝えるのが僕らの仕事ってことで。
SHAKALABBITSの2015年
──SHAKALABBITSの今後が楽しみですね。来年1月には初めての音楽劇出演(参照:SHAKALABBITSが寺山修司の実験演劇に出演)もありますし。もともとProject Nyxとはつながりがあったんですか?
MAH Project Nyxっていつも宇野さんとやってるんですよ。そのつながりでよく観に行ってて、前からUKIに出演依頼があったんですけどタイミングが合わずで。
UKI ちょうど自由にできるようになったときだったので、やらせてもらうことになったんです。Project Nyxって女性だけの劇団なんですけど、この「新宿版 千一夜物語」に関してはほかの劇団の人たちも集めて男の人も出るやつなんですよ。それならSHAKALABBITSみんなで出れるねってなって。こないだ選曲の打ち合わせしたときにうちらの気持ちもちゃんと伝えて、シーンにあった曲を配置してもらったりして。台本を見たら歌詞が違和感なくセリフの中に入ってるのがすごくうれしかったです。「新宿版 千一夜物語」のキャラクターの会話ってすごく独特で面白いんですけど、そこに歌詞が溶け込めたかもと思って。あと普段のライブとは違う舞台仕様の衣装やメイクも楽しみですね。
MAH 絶対身になるよね。やったことないことやるっていうのはやっぱり。
──そこでまたいろんなインスピレーションを得て制作にも精が出そうですね。
MAH とにかくインプットが多いのはうれしいですよ。社長!
UKI ふふふ(笑)。アウトプットしていかないとね。次々形にしたいですね。もちろんクオリティは高いもので。
──新しいことが目白押しですね。
YOSUKE とにかく僕は一生懸命がんばります。まだ僕SHAKALABBITSに参加してから3年なので、表現者としてもっと確立したいですね。気合いと根性を持ってがんばりたいです。
TAKE-C なんかお相撲さんみたいなコメントだな、お前(笑)。
──(笑)。ということで、私たちリスナーは来年、最高のSHAKALABBITSをたくさん見られるんですよね?
UKI 約束しましょう。
MAH 社長、太鼓判押したね(笑)。
- ライブDVD「SHAKALABBITS LIVE DVD『THANK YOU★AX!! -LAST PARTY-』」 / 2014年11月19日発売 / Hallelujah Circus Inc.
- 通信販売限定盤 [DVD2枚組+Tシャツ] / 6480円 / HCID-003
- 通常盤 [DVD2枚組] / 5400円 / HCID-004
収録内容
- head-scissors
- THAT THING YOU DO!
- 少年と白い犬
- GO
- mademoiselle non non
- SADISTIC AURORA SHOW
- Tope Con Giro
- IT’S OUR SECRET
- ダズリングスープ
- 80
- スワローキリー
- オレンジライオン
- NACHO ROLL
- CAN’T ESCAPE THE CHOCOLATE SYRUP
- マッシュルームキャットナンバープレート
- MutRon
- Hello World
- MCMXCIX(1999)
- 88 ROYAL SKA
- SPICE!
- mommy’s back?
- Ladybug
- 星空の下で
- シルク
- 満天の星を探そうとも空は見ない
- ROLLIE
- SO EXCITED!
- FLAPPER
- admire
- Soda
- COMEBACK ANYTIME
- I’m a Dreamer
- Jammin’
- Condenser Baby
- Raise up
- Pivot
- 「ポビーとディンガン」
- MONSTER TREE
- G☆S☆G
SHAKALABBITS(シャカラビッツ)
1999年に結成された、UKI(Vo)、TAKE-C(G)、YOSUKE(B)、MAH(Dr)の4人からなるロックバンド。ポップなメロディが軸のバラエティに富んだ楽曲やUKIのキュートなボーカルがファンから高く支持されている。インディーズでの活動を経て、2002年にシングル「ROLLIE」でメジャーデビュー。2004年には全国ホールツアーを敢行し、翌2005年に初の日本武道館公演を成功させた。その後もライブとリリースを精力的に重ねてきたが、2011年12月に前任ベーシストのKINGが脱退。同月末に行われた「COUNTDOWN JAPAN 11/12」でのステージから、TAKE-Cの実弟YOSUKEが加わり現編成となる。2012年2月に7枚目のアルバム「Condenser Baby」を新体制となって初めての作品としてリリース。2013年9月には結成15周年を記念したベストアルバムを2枚発表し、翌2014年3月に2ndミニアルバム「What do I crave to see?」を発売した。同年5月に東京・SHIBUYA-AXにて単独公演「THANK YOU★AX!! -LAST PARTY-」を実施。6月にメンバー4人で新レーベル「Hallelujah Circus Inc.」を立ち上げた。レーベル第1弾作品としてアコースティックアルバム「Hallelujah Circus Acoustic」をライブ会場とヴィレッジヴァンガード限定でリリースし、11月19日に「THANK YOU★AX!! -LAST PARTY-」のライブDVDを発表する。