「あなた、天才だよ!」
──コドモメンタルのグループの作詞は基本的にGESSHI類さんが手がけることが多いのですが、今作にはメンバー作詞の楽曲が収録されています。どういう経緯で作詞を任されることになったんですか?
こもち 最初はとわの曲だよね。
とわ ほまれの写真集の撮影について行ったとき、レーベルの社長に「とわ歌詞書く?」っていきなり言われて、「書きます!」って即答したんですよ。そうしたら、その場で「Shilly Shally」の音源をもらって、初めて聴いたときに「でもでもけどけど」という言葉が浮かんできて「優柔不断の曲にしよう」というのがすぐ決まった。そのスピード感が半端なくて、家に帰ってから「これは夢じゃないかな」と思ったくらいで(笑)。
こもち 夢じゃなかったね!
とわ 次の日に起きて自分のスマホを見たら曲のファイルが入っていて「夢じゃなーい!」って(笑)。
──以前から「作詞に興味がある」みたいなアピールはしていたんですか?
とわ 作詞とまでは言ってなかったんですが、以前からGESSHI類さんの歌詞が好きでコドモメンタルが好きになったというのは超アピールしてました。ただ別に作詞の勉強をしていたわけではないので、「でもでもけどけど」が生まれてからはなかなか苦労しまして……。
まうる けっこう長い時間かけて歌詞を書いていたよね。
とわ 確かに歌詞は好きだったけど、「私なんかが星歴13夜の歌詞を書いていいのかな?」みたいな気持ちも出てきちゃって。でもよく考えてみたら、私は普通に星歴13夜のことをこんなに愛しているんだから書いていい。でも何を書こう?と思って、そこからはしばらくメンバーのことを観察してました。例えば車で移動するときは後ろのほうに座って、メンバー同士のやり取りとか、行動をずっと観察していたんですよ。それで「なるほど。確かにこういうことありそう」みたいな要素を集めて歌詞を完成させました。
──最初に音源を聴いて見つけた「優柔不断」というテーマは、ちゃんとメンバーにも当てはまったということですね。
とわ はい。メンバーだけじゃなくて、むしろ女の子みんな当てはまるなと思いました。女の子って、優柔不断なんですよ。大事だからこそ迷っちゃう生き物なんです。でもそれが弱点っていうことじゃなくて、優柔不断な女の子ってすごくかわいらしいんです。ちょっとじれったい感じで「でも、けど……」って言い訳してる感じとか。そこまではよかったんだけど、自分で書きたいことをメロディに当てはめるのがけっこう大変で。そもそもこの曲の歌メロが超ムズくて「この部分、歌う人絶対ムズいだろうなあ」とか思いながら詞を書いてました。
こもち 歌詞の最後に「アイラブユ」という歌詞が出てくるんですけど、これがめっちゃ好き。「ユー」と伸ばしていないところとか、英語じゃないところか。
とわ そうそう。「I Love You」じゃダメなんだよね。漢字、カタカナ、ひらがな、英語のどれを使うかはめちゃくちゃこだわりました。「ここはひらがなの『ちゅー』よりカタカナの『チュー』のほうが似合ってるな」とか、「『ほしぱんち』はひらがなのほうがかわいいし、なんなら記号の『☆』も付けちゃおう」とか。普段の私なら絶対に言わない言葉とか表現がいっぱい詰まっています。私、作詞大好きになりました。
まうる 私、あまり人のことを褒めないんですけど、この歌詞を読んだときに「あなた、天才だよ!」ってすごく褒めたんですよ。さっきこもちが言った「アイラブユ」とか、「砂糖みたいカラメリゼ」という言葉のチョイスとか、とわが今までインプットしてきたものをちゃんと感じるし、そこにセンスがあるなと思って。「こんなこともできるんだ!」って、すごく驚いたの。
こもち とわはお姉さんキャラでしっかりしてるイメージなんですよ。そんなとわが「優柔不断」をテーマにした曲を書けるのがすごいと思った。普段私たちに見せているとわとは違う、内面がにじみ出てる感じがする。普段はかっこつけてるけど、本当はかわいいんだよっていうのをすごい感じました。
とわ 天才でかわいいってことだよね?
こもち 自分で言っちゃうところがいいよね(笑)。
半日で作詞した「Face2」
──メンバー作詞の曲はもう1曲あります。「Face2」はこもちさんが作詞をしていますが、これはどういうきっかけで?
こもち こもちは星歴13夜の活動がないとき、コドモメンタルの事務所でスタッフさんのお手伝いをしていることが多いんですが、コロナ禍で通販の発送のお手伝いをして帰りが夜遅くなりそうなときに社長が「こもち、歌詞書く?」って聞いてきたんです。
とわ 手口が一緒だ!
こもち うん(笑)。その瞬間「これは迷ってはいけないぞ!」と思って、すぐ「書きます!」と言ったら曲を渡してもらって。ただとわと違ったのは「じゃあこの曲の歌詞、明日までによろしく」って言われて(笑)。
とわ え!? 私はめっちゃ時間あったよ?
こもち そうだよね(笑)。人生初の作詞なのに時間がなさすぎる!と思ったけど、こんな機会はもしかしたら二度とないかもしれないからそこから1分も無駄にしたくなくて。自分の後悔がないように言いたいことをすべて詰め込んだのが「Face2」という曲です。
まうる 「『好き』だけで進める」とか、間違いなくこもちにしか書けない歌詞だよね。最初から最後まで全部こもちの気持ちだと思ったけど、それがちゃんと星歴13夜の気持ちともつながっているから、全員の気持ちをちゃんと言葉にしてもらった感覚があるんです。
こもち うれしいー!
まうる しかもこの詞は5人のときに書いたものなのに、3人で活動している今の状況に歌うとまた別の意味を帯びてくる感じがすごくあるんだよね。だから今歌うべき曲なんだろうなってすごく思う。
とわ 私は歌詞を読んで、こもちの奥行きを感じました。こもちらしいまっすぐな表現がありつつ、普段の底抜けに明るくて太陽みたいな子でも実はちゃんと悩んで自分を奮い立たせている、みたいなバックボーンを感じさせるというか。こんな小さな体なのに、いろんな思いを背負ってがんばっていると思うと、聴いてて涙がちょちょぎれちゃう(笑)。最近のルーティンで、レッスン場に向かう移動中に「Face2」をよく聴くんですけど、いつも泣いちゃう。ちょっと涙を流しつつ「今日もがんばろう」と思って2人に会うのが、最近の「Face2」との付き合い方です。
まうる でもこれだけの歌詞をよく半日で書いたよね。
こもち 夜だったけど歌詞を書くときはアドレナリンがすごく出てたと思う。時間はなかったけど書くのはすごく楽しかったから。
──2人が作詞に挑戦していますので、今後はまうるさんも……。
まうる 最近はいろんなインプットをするように心がけていて、「このフレーズいいな」と思うものをメモしたりしてます! ちょっと自信はないけど、修行を積んでいるので、ぜひ書きたいです!
こもち そんなに頭のよくないこもちでも気持ちだけで書けたから、まうるは絶対に大丈夫だよ!
まうる がははは(笑)。
とわ まうるってそんな笑い方するんだ(笑)。
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元ぜん君。ましろが作詞のレア曲