星歴13夜|苦難の夜を乗り越えて“第2章”が始まる

3月にリーダーの園ほまれが体調不良により活動休止、さらにその数日後にはメンバーの浮あかねの脱退が発表され、現在は3人体制で活動している星歴13夜。そんな彼女たちが新たにリリースする2ndアルバム「MythEpoc」は、ほまれやあかねのボーカルを含めた5人による星歴13夜の最後の作品としてリリースされる。音楽ナタリーでは、現在3人で全国ツアーを実施中の寝こもち、天まうる、色とわの3人にインタビュー。休止や脱退といった一大事を経た3人の胸中や、5人の声が入ったアルバムをリリースする意義、またメンバーが作詞を手がけるなどクリエイティブにも携わるようになった星歴13夜の変化と成長に迫る。

取材・文 / 倉嶌孝彦 撮影 / 堀内彩香

星歴13夜が終わる選択肢は考えていなかった

──アルバムの話を伺う前に、グループの近況からいろいろ聞かせていただければと思います。まず、リーダーの園ほまれさんの活動休止が3月に発表されました。

寝こもち ほまれはアイドルとして自分がかわいくなるための努力をすごくする人なんです。ただその努力のやり方が少し過剰だったみたいで、ごはんをあまり食べれなかったりして、そういう無理が祟って体調を崩してしまったみたいで……。

天まうる ずっと一緒にいたから心配はしてたんだけど、自分たちじゃ解決してあげられないことだったから、すごくつらかったよね。

色とわ

色とわ 「星歴13夜がこれからも進んでいくなら、ほまれは1回休んだほうがいい」と話し合いで決まったんです。

こもち ほまれが星歴13夜として歩んでいくために必要な時間だと思うから、今はしっかり体を休めてほしいです。そのときまで私たちと夜僕(星歴13夜ファンの呼称)さんがきっとグループをちゃんと守るから。

──ほまれさんの活動休止が決まったすぐあとに、浮あかねさんの脱退が発表されました。

こもち ほまれの体調に関しては以前から私たちも心配していたことなので、「やっぱりそうしたほうがいいよね」と思っていたんですが、あかねの脱退に関しては本当に急に決まった話なので、驚いたのがまず第一でした。何カ月も前から話し合っていたとかではなくて。

まうる 「次のライブは3人かもしれない」くらいのタイミングで、ビックリしたよね。

とわ この話を聞いたのが確かライブの前日だったんですよ。だから次の日のライブがどういう形になっても大丈夫なように、私たち3人はとにかくレッスンすることになって。そのときちょっと脳裏によぎったのは「星歴13夜がなくなっちゃうかもしれない」という不安だったんです。3人のレッスンに臨む前は気持ちはドン底だったんですけど、こもちとまうるが思いのほかあっけらかんとしていて。それにすごく助けられました。

まうる もうね、笑って立ち向かうしかなかったんだよ。

とわ 2人がからっとした雰囲気で迎えてくれたから、私も「よし、がんばるしかない!」と思えて、気持ちの切り替えができたんです。そのときにはもう「星歴がなくなっちゃうかも」とかも思わず、これから先に楽しいことをどんどん作り上げていきたいという思いのほうが強くなってました。

こもち 2年間一緒にやってきたから、2人が不安な気持ちは痛いほどわかったけど、コドモメンタルの社長は私たちが「辞める」と言わない限り進ませてくれる人だってわかっていたから、私の中では星歴13夜の活動が終わってしまうような選択肢は全然考えてなかった。1人でもそういう人がいれば、とわもまうるもついてきてくれるって信じてたから、「絶対に離すもんか!」という気持ちでレッスンに臨んでいました。

天まうる

まうる 星歴が終わるようなことはないと思っていたんですけど、「5人じゃないと嫌だ」という気持ちがまうるの中にはあって、どうなってもいいように覚悟はしていました。夜僕さんたちの中にも「5人の星歴がいい」みたいな意見があって、その言葉は心にすごく刺さったけど、自分たちが背負っていくものとか、守らないといけないもののほうがハッキリとわかった気がして。とわが言ったように、これから先の楽しい未来を作っていきたい気持ちが確かにあったから、やっぱり前に進むしかないなというのが私の気持ちでした。

3人になって心の壁が壊れた

──ほまれさんの活動休止と、あかねさんの脱退があってからは、3人でツアーを回っています。5人から3人になり、いろんなものが変わったと思いますが、ライブにはどのような変化がありましたか?

こもち 今までの星歴13夜はキラキラふわふわした、かわいい路線のライブをしていたと思うんですけど、3人になってからは「星歴13夜を絶対に終わらせない」という気持ちが強くなって、ライブの表現が変わった自覚があるんです。今までのライブだったら表情を崩さないようにしていたところでも、涙を流しちゃうようなこともあって。泣いてもパフォーマンスは決してやめないんですけど、気持ちの入り方や伝えたいことが少し変わったのかなって。

まうる 5人のときは、ずっと笑顔でいるきれいな自分を見せ続けてきた気がする。例えば「哀唄日夜」のような切ない曲でもずっとキレイな自分を見せるようにしていたんですけど、3人になってからは今の自分の気持ちをそのままお客さんに伝えなきゃいけないと思うようになって。感情をさらけ出して、柵につかまらないと歌えないようなときもありました。これまでは「かわいいね」と言われることが多かったけど、最近は「カッコいいね」と言ってもらえることが増えたんです。

とわ 感情があふれ出てくることが多くなったよね。泣こうと思ってなくても勝手にボロボロ涙が出てきて、なんなら声を上げて泣いちゃうし。今はお客さんが声を出すことができないから、ライブ中にすごくシーンとする瞬間があるんですけど、この間そこで「ヒィッヒィッ」って、自分の声が響いちゃって(笑)。もちろん恥ずかしかったんですけど、それがちょっとうれしくもあったんです。私、すごく恥ずかしがり屋で、人の前で自分の感情を出すのが苦手だったのに、こんなに素直に泣くことができるようになったんだって。

こもち ある意味、心の壁が壊れた感じがあるよね。

とわ うん。心が一歩裸に近付いたかも。

まうる 星歴13夜ってコドモメンタルの中ではちょっと異色のグループだったんです。でも感情をさらけ出すライブができるようになって、ほかのグループにちょっと似てきたかもしれないなと思って。ただ、最初はそれでいいのかすごく悩んだんです。

──その悩みというのは、星歴13夜としてこれまで作り上げてきたアーティスト像とは異なるライブをすることに対してですよね?

まうる はい。これまで自分たちがやってきたことと、求められてきたこととは違う表現になってきていることはわかっていて、これでいいのかどうかはすごく考えました。

寝こもち

こもち そういうことも含めて、3人で話し合う機会はものすごく増えました。3人だけじゃなくて、スタッフさんも交えて。ちょっとでも引っかかることがライブ中にあったら、なんでも話すようにしています。5人のライブでは話さなかったような細かいことまで話すよね?

まうる うん。今思うと、5人のときはお互いに気を遣ってたのかもしれないね。

こもち どう言っていいかすごく難しいけど、3人になってからは「嫌われないように」みたいな気持ちがなくなった感覚があって。2年以上ずっと一緒にいるし、何があっても一緒に歩んでいく関係性だからこそ、腹を割ってなんでも話し合えるようになったのかな。それよりもライブを面白くするためにはどうしたらいいか、もっと深いところまで自分たちで考えてやらなきゃいけないということに、全員が気付けたからだと思います。

──こもちさんはもともとしっかりした人という印象でしたが、3人体制になってもっと頼りがいが出てきた気がします。

こもち わーい!

とわ 私も感じてました。すごく助けられているし、私たちも力をちゃんと貸さなきゃって思う。

まうる こもちととわがしっかり担当なので、まうるは自由にやらせてもらっています(笑)。

こもち その自由さが好き(笑)。

まうる よかったあ。

5人の声で聴かせてあげたい

──現在は3人でライブを行っていますが、アルバム「MythEpoc」の音源は5人の声が入ったアルバムですよね。

とわ はい。私たち3人は「5人で表現してきたものだから、5人の声で出したい」と思っていたんですが、アルバムをどういう形で出すかについてはいろんな意見があって、スタッフさんたちと一緒にすごく話し合いました。5人で発表したシングル曲も入っているし、アルバムの制作自体は5人で取りかかっていたので、5人の星歴の作品としてリリースしたい気持ちがメンバーの中では強くて。5人でやってきた時間がなくなるわけじゃないし、何度も一緒にライブで歌ってきた曲をどう届けるべきか考えていたら、お客さんの顔が頭に浮かんだんですよね。この曲たちは5人の声で聴かせたい、と思ったんです。

左から天まうる、寝こもち、色とわ。

こもち 3人の声で録り直してリリースしたとしても、それは不正解ではないと思うんです。でも、星歴13夜が生き続ける限り、あかねの気持ちも、活動を休止しているほまれの気持ちもなくなるわけじゃなくて。星歴13夜を止めない決断をしたなら、どんな過去も背負って前に進むしかないから、何かをなかったことにしたくない。メンバーはもちろん、夜僕さん1人ひとりを全員離さずに前に走っていく、決意のようなアルバムにしたくて、絶対に5人の声で出したいと言いました。

まうる いろんな大人の意見もあって、どれも気持ちはわかるんですよ。今走っているのが3人だから3人で出すべき、というのもわかる。でも5人で歌ってきた曲だからそのまま出したほうがいいんじゃないか、というのもわかる。私も2人が話したように、5人で歌割りとか振り付けをしてきた曲ばかりだったから、5人で出したいなと思っていて。

こもち みんな同じ気持ちだったんだよね。

とわ もしかしたらアルバムをリリースしないことにもなっていたかもしれないので、アルバムが出ることになって超ハッピーです(笑)。

まうる うん。早く聴いてほしい曲ばっかりだし。

こもち 私たちメンバーの気持ちを汲んでくれたからどうかはわからないけど、最終的には3人の気持ちに寄り添った決断をしてもらったんです。悩んだ挙句、社長に相談したら「そんなもん当然5人」って言ってくれて(笑)。私たちは本当に幸せ者だと思いました。