ナタリー PowerPush - SCREW×PENICILLIN

世代を超えた美麗ボーカリスト対談

バンドメンバーは人間性とか相性が大事なんだと思う

──キャリアを積んだからこそ体験できることですよね。20年の中で、一番印象に残っている出来事はどんなことですか?

HAKUEI 大きなポイントが2つあって。1つはちょうど10年目くらいのときに、所属事務所を辞めたこと。もう1つは15周年のタイミングでベースのGISHOが脱退したことですね。両方ともバンドにとってはネガティブな要素だったと思うんだけど、まず事務所を辞めて独立したときは本当に大変でしたね。3人ともそういうこと(事務所の運営)に関しては素人だったし、いろんな人にだまされたし……。

──シビアですね、それは。

HAKUEI

HAKUEI ただ、メンバー同士で曲を作ってるときとライブだけは薄汚い世の中とは関係ないというか、そこにウソはないじゃないですか。

 そうですよね。

HAKUEI チケットを買って会場に来てくれる人に嘘はないし、俺はその人たちに向かって歌ってるわけだから。そういう間違いのない空間、裏切らない空間をより大切にするようになったし、そのことによってバンドの結束力も固まったんですよね。GISHOが脱退したときもやっぱりそうで。15年間、僕の右隣にいた人がいなくなるわけだから、最初は正直言って寂しかったし、どうやって乗り越えていいかわからなかったんです。もちろん他のメンバーもつらかったと思うけど、一緒にいると抱えているポイントが少しずつ違っていることがわかってきて、話しているうちに徐々に気持ちがほぐれてきて。GISHOは曲も作ってたから、「抜けたぶん、曲を作らないと」っていう気持ちも生まれたんですよね。脱退してから最初のアルバムを作るとき、みんながんばって、いつもの倍くらい曲が集まったんですよ。逆境をバネにするというか、そういうパワーがあったからこそ、現在があるんじゃないかな、と。

 僕らのポイントもメンバーチェンジでした。ベースが脱退したんですけど、そのときに人間が信じられなくなったというか……。SCREWはもともと「音楽性なんかはどうにでもなる。それよりも信用できるメンバーと一緒にやりたい」という思いで組んだバンドなんです。だからベースが脱退したときは「もうこのバンドは終わりかな」って、一度気持ちが切れてしまって……。でも、そのときに周りのメンバーが支えてくれて。なんとか乗り越えたのは本当に大きかったです。

HAKUEI それはすごくよくわかりますね。技術だけを求めて一緒にバンドをやっていたとしたら、ベーシストが脱退したときもそこまで落ち込まないでしょ?

 そうですね。

HAKUEI 技術だけだったら「じゃあ、代わりのメンバーを探せばいい」ってことになるだろうし。そこじゃなくて、人間性とか相性みたいなものが大事なんだと思うんですよ。「こいつらだったら、大丈夫だ」って思えるような……。技術、センスだけを求めていたら、バンドはなかなか続かないでしょうね。

客に「なんでみんな来ないんだ?」って思わせればいい

──この先の展開についても聞かせてください。まずPENICILLINは20周年のツアーが2月にファイナルを迎えます。

HAKUEI あとは渋谷公会堂(2月16日)だけですね。でも、3月にもライブがあるんですよ。20周年でいろんなことをたくさんやったんですけど、間を置かずに活動するほうがいいかな、と。「20周年、ありがとう。でも、来月もライブあるよ。21年目の一発目、行くぜ!」っていう。3月のライブは「未来」っていうタイトルなんですけどね。

──あくまでも攻め続ける、と。SCREWは2月6日にメジャー2ndシングル「Teardrop」をリリースしたばかりです。

鋲

 はい。あとは4月20日のSHIBUYA-AXのライブですね。

──以前のインタビューで「“このライブが成功しなかったらバンドは終わり”くらいの覚悟で臨みたい」とコメントしてましたよね。

 それくらいの気持ちでいたほうがいいと思っています。どうでしょうか……?

HAKUEI まあ、結果というのは自分の力だけではどうしようもない部分もあると思うけどね。世の中の流れにもハマらないといけないだろうし、いろいろな要素が絡んでくるので。何が成功で何が失敗かを決めつけるんじゃなくて、「会場に来たヤツをいかに熱狂させられるか」っていうほうが大事というか。パンパンに人が入ったとしても、クソみたいなライブだったら失敗かもしれないし。

 AXでワンマンをやるのは初めてなんで、動員も気になるというか……。

HAKUEI 動員のことはいいよ。

 え、動員は捨てていいですか?

HAKUEI いや、捨てちゃだめだけど(笑)、思ったほど入らなかったとしても、そこまでガッカリする必要はないんじゃないかって。ものすごくいいライブをやって、客に「なんでみんな来ないんだ?」って思わせればいい……と思ってるんですけど、なかなか難しいですよね。

 ハハハハハ!(笑)

ちょっと陰のある仮面ライダーをやってみるといいんじゃない?

──最後にモデルとしての活動についても少し教えてもらえますか?

HAKUEI あ、見たよ。渋谷109MEN'Sの(鋲の)でっかいポスター。あそこは昔、よく鼻ピアスを買いに行ってました(笑)。

 あ、そうなんですか。まさか自分があそこに飾られるとは思ってなかったですけどね。

HAKUEI 僕もモデルの仕事はウエルカムですね。スチール作品を撮るのも好きだし、アクセサリーや洋服のデザインもやってるので。

 楽しいですよね。僕も服が好きだし、なんだかんだ言って、見られるのも好きなんで。

──HAKUEIさんは俳優としての作品もいくつかありますよね。

HAKUEI 何度かやっただけですけどね。基本的にはあんまりやりたくないので……。鋲くんは俳優もイケそうじゃない?

 そうですか? 興味はありますけど。

HAKUEI ヒーロー物とかいいんじゃない? ちょっと陰のある仮面ライダーとか(笑)。

SCREW 7th Anniversary Live 「NEVERENDING BREATH」

  • 2013年4月13日(土)大阪府 ESAKA MUSE
  • 2013年4月14日(日)愛知県 名古屋ell.FITS ALL
  • 2013年4月20日(土)東京都 SHIBUYA-AX
SCREW 2ndシングル「Teardrop」 / 2013年2月6日発売 / 徳間ジャパンコミュニケーションズ
初回限定盤A [CD+DVD] 1890円 / TKCA-73871
初回限定盤B [CD+DVD] 1890円 / TKCA-73832
通常盤 [CD] 1575円 / TKCA-73873
CD収録曲
  1. Teardrop
  2. Blood Sucking Freak
  3. ANIMA(通常盤のみ収録)
初回限定盤A DVD収録内容
  1. Teardrop MUSIC CLIP
  2. MUSIC CLIP MAKING
  3. XANADU(Live at Shibuya O-WEST 2012.10.17)
初回限定盤B DVD収録内容
  • DOCUMENT of Shibuya O-WEST(2012.10.17)
PENICILLIN ベストアルバム「20th Anniversary Member Selection Best album PHOENIX STAR」 / 2013年2月6日発売 / 徳間ジャパンコミュニケーションズ
初回限定盤 [CD+DVD2枚組] 6900円 / エイベックス・マーケティング / XNBG-10013/B~C
通常盤 [CD] 3360円 / エイベックス・マーケティング / XNBG-10014
CD収録曲
  1. 太陽
  2. God of grind - 20th Ver. -
  3. 99番目の夜 - 20th Ver. -
  4. make love
  5. CRASH
  6. Japanese Industrial Students
  7. JUMP#1 - 20th Ver. -
  8. 冷たい風 - 20th Ver. -
  9. 腐海の砂
  10. ×・×・× - 20th Ver. -
  11. WARP
  12. fantasia - 20th Ver. -
  13. 螺旋階段 - 20th Ver. -
  14. REAL××× - 20th Ver. -
  15. PHOENIX STAR(新曲 / 通常盤のみ収録)
初回限定盤DVD収録内容
DISC1
  1. 夜をぶっとばせ(1999年7月ON AIR)
  2. CRASH(1998年9月ON AIR)
  3. Butterfly(1998年12月ON AIR)
  4. ロマンス(1999年9月ON AIR)
  5. NICE IN LIP+L(1999年9月ON AIR)
  6. ウルトライダー(2000年5月ON AIR)
DISC2<ビデオクリップ集>
  1. Blue Moon
  2. 言葉にならない愛
  3. make love
  4. CRASH
  5. Japanese Industrial Students
  6. 白髏の舞
  7. PHOENIX STAR(新曲)
SCREW(すくりゅー)

プロフィール写真

2006年に結成されたPS COMPANY所属のヴィジュアル系バンド。現在のメンバーは鋲(Vo)、和己(G)、マナブ(G)、ルイ(B)、ジン(Dr)の5人。抜群の容姿と音楽性で着実にライブの動員を増やし続け、2012年には10カ国13会場を回るヨーロッパツアーを成功させるなど、国境を超えてファン層を拡大させている。2012年10月に徳間ジャパンコミュニケーションズからメジャーデビューシングル「XANADU」(ザナドゥ)をリリースし、2013年2月には2ndシングル「Teardrop」を発表。4月20日にはバンド結成7周年を記念した東京・SHIBUYA-AX公演を控えている。

PENICILLIN(ぺにしりん)

プロフィール写真

1992年に結成されたヴィジュアル系バンドで、現在のメンバーはHAKUEI(Vo)、千聖(G)、O-JIRO(Dr)。インディーズシーンにて熱狂的な人気を誇るバンドとなり、1996年にシングル「Blue Moon / 天使よ目覚めて」でメジャーデビュー。シリアスでありながら、ときにコミカルなパフォーマンスでファンを魅了している。1998年にはアニメ「セクシーコマンドー外伝 すごいよ!!マサルさん」のオープニングテーマ「ロマンス」が大ヒットを記録。各メンバーはバンド以外にも、別名義でのユニットやファッションデザインなど、さまざまな場で個性を発揮している。2007年にはオリジナルメンバーであるGISHO(B)が脱退し、以降は3人で活動を継続。2012年には結成20周年を記念して「20th Anniversary Fan Selection Best DRAGON HEARTS」「20th Anniversary Member Selection Best album PHOENIX STAR」という2作のベストアルバムを発表した。