ナタリー PowerPush - SCREW×PENICILLIN
世代を超えた美麗ボーカリスト対談
しっかりバンドを固めて、存在感を出してからメジャーに
──PENICILLINがメジャーデビューした頃(1996年)は、ヴィジュアル系という言葉が生まれた時期ですよね。
HAKUEI 結成した当初は「ポジパン」とか言われてたかな。ポジティブパンクの略なんだけど。D'ERLANGERとかZI:KILLとかも、そんな言われ方だった気がしますね。hideさんが「VISUAL SHOCK」というコンセプトを提唱して、その後「SHOXX」という雑誌が創刊されて。そのあたりからじゃないですか、ヴィジュアル系は。いまはシーン自体が進化してるし、細分化されたり新しいジャンルも生まれたりして、面白くなってると思いますけどね。
鋲 僕自身、ヴィジュアル系というものが大好きで、そこに行きたいと思ってバンドを始めたんですよね。ライブをやるんだったら、絶対にメイクしようって。
──SCREWはヴィジュアル系の王道という印象もあります。そして昨年、念願のメジャーデビューを果たして。
鋲 バンド自体はけっこう長いんですけどね。6年半くらいインディーズでやってたので。
HAKUEI 6年半は長いね。第三者的には「あ、メジャーじゃなかったんだ?」っていう感じだけどね。まあ、インディーズとメジャーの境目もないし、受け手もそこまで気にしないでしょ?
鋲 そうですね。イメージとしては(メジャーデビューによって)ファンの子が離れるっていう感じもあったんですけど、実際はそういうこともなく。結果的に見ると、6年半はちょっと長かったと思いますけど。
HAKUEI 僕らは1992年に結成して、メジャーデビューが1996年だから、その間は3~4年なんだよね。みんなが知ってるようなヒット曲(「ロマンス」 / 1998年)を出せたのが、メジャーデビューしてから3年目かな。レコード会社も大らかだったからね。今は結果が出なければすぐに……まあ、しょうがないけど。
鋲 ハハハハハ(笑)。
HAKUEI そういう意味では6年半くらいインディーズでやってたのはよかったんじゃない? しっかりバンドを固めて、存在感を出してからメジャーに行くっていう。
鋲 そうかもしれないですね。バンドを始めたときに思い描いたこととはだいぶ違ってましたけど(笑)。
レコーディングが好きなボーカリストはいないと思うけどね
──HAKUEIさんはバンドを結成したとき、どんなビジョンを描いてたんですか?
HAKUEI なかったですね、それは。鋲くんの世代だと、先輩のバンドもたくさんいるし、「こんな感じでやっていくんだろうな」っていうのがある程度わかるじゃない? 俺らのときはそういう状況じゃなかったからね。CDを出すこと自体がすごく大変だったし、インディーズとメジャーの差もすごくあったし……こうやって話してると、すげえ年寄りみたいだけど。
鋲 (笑)。
HAKUEI とにかくライブをコンスタントにやるってことしか考えてなかったですね。
鋲 僕らも同じです。完全にライブバンドというか、ライブのために曲も作ってますし。活動の8割、9割はライブでしたね。もともとライブしか好きじゃないですよ。レコーディングは……。
HAKUEI また違いますからね。
鋲 プリプロは好きなんですけど、レコーディングの本番ではすごく神経を使うし、身を削る思いです。詞がよくて、メロディがよくても、歌がダメだったら……っていう。今まではそこまで意識してなかったんですけど、環境が変わって、すごくプレッシャーを感じるようになって。
HAKUEI レコーディングが好きなボーカリストはいないと思うけどね。俺もすごくナーバスになるというか、コンディションによって天と地ほど違いがあるじゃない? 気持ちよくいけたらホッとするけど、ちょっとでもトラブルがあると死にたくなる(笑)。
鋲 わかります。
HAKUEI 普段はできることができないときはすごく情けないし、メンバーにも悪いしね。満足のいくものができたときはすごくうれしいんだけど、結果がすべてだから。
鋲 いい作品ができると、今度は「それを超えていかないと」っていうプレッシャーが生まれるんですよね。
「これは修行だね」って言いながらリハーサル
──PENICILLINは昨年、20周年アニーバーサリーの一環として、これまでに発表した約200曲の楽曲をすべて演奏するライブシリーズを行いました。1つひとつの楽曲ごとにレコーディングの思い出などもよみがえってきたんじゃないですか?
HAKUEI いや、そんな余裕はなかったですね。すぐにライブでやれるのは100曲くらいで、残りの100曲はコピーし直す感じだったんですよ。新譜の楽曲だったらそれなりに体に入ってますけど、18年くらい前のアルバムに入ってる、ライブで1回くらいしかやったことのない曲なんて、新曲よりタチが悪いですから。スタジオでも「これは修行だね」って言いながらリハーサルしてました。
鋲 (笑)。ウチらは6年半くらいで100曲くらいなんですけど、それでもHAKUEIさんの気持ちはわかります。結成当初に作った曲なんて、「この歌詞、ホントに自分で書いたのかな?」っていう感じですからね。
HAKUEI イントロを聴いても「これ、誰の曲?」みたいな。でも、当時よりもいい感じでやれる曲もあるんですよ。変拍子のアンニュイな雰囲気の曲とか、作ったときはライブでやれなかったんですけど、今やってみるとすごくよくて。背伸びしていた自分に追いついたというか、それは面白い発見でしたね。
- SCREW 2ndシングル「Teardrop」 / 2013年2月6日発売 / 徳間ジャパンコミュニケーションズ
- 初回限定盤A [CD+DVD] 1890円 / TKCA-73871
- 初回限定盤B [CD+DVD] 1890円 / TKCA-73832
- 通常盤 [CD] 1575円 / TKCA-73873
CD収録曲
- Teardrop
- Blood Sucking Freak
- ANIMA(通常盤のみ収録)
初回限定盤A DVD収録内容
- Teardrop MUSIC CLIP
- MUSIC CLIP MAKING
- XANADU(Live at Shibuya O-WEST 2012.10.17)
初回限定盤B DVD収録内容
- DOCUMENT of Shibuya O-WEST(2012.10.17)
- PENICILLIN ベストアルバム「20th Anniversary Member Selection Best album PHOENIX STAR」 / 2013年2月6日発売 / 徳間ジャパンコミュニケーションズ
- 初回限定盤 [CD+DVD2枚組] 6900円 / エイベックス・マーケティング / XNBG-10013/B~C
- 通常盤 [CD] 3360円 / エイベックス・マーケティング / XNBG-10014
CD収録曲
- 太陽
- God of grind - 20th Ver. -
- 99番目の夜 - 20th Ver. -
- make love
- CRASH
- Japanese Industrial Students
- JUMP#1 - 20th Ver. -
- 冷たい風 - 20th Ver. -
- 腐海の砂
- ×・×・× - 20th Ver. -
- WARP
- fantasia - 20th Ver. -
- 螺旋階段 - 20th Ver. -
- REAL××× - 20th Ver. -
- PHOENIX STAR(新曲 / 通常盤のみ収録)
初回限定盤DVD収録内容
DISC1
- 夜をぶっとばせ(1999年7月ON AIR)
- CRASH(1998年9月ON AIR)
- Butterfly(1998年12月ON AIR)
- ロマンス(1999年9月ON AIR)
- NICE IN LIP+L(1999年9月ON AIR)
- ウルトライダー(2000年5月ON AIR)
DISC2<ビデオクリップ集>
- Blue Moon
- 言葉にならない愛
- make love
- CRASH
- Japanese Industrial Students
- 白髏の舞
- PHOENIX STAR(新曲)
SCREW(すくりゅー)
2006年に結成されたPS COMPANY所属のヴィジュアル系バンド。現在のメンバーは鋲(Vo)、和己(G)、マナブ(G)、ルイ(B)、ジン(Dr)の5人。抜群の容姿と音楽性で着実にライブの動員を増やし続け、2012年には10カ国13会場を回るヨーロッパツアーを成功させるなど、国境を超えてファン層を拡大させている。2012年10月に徳間ジャパンコミュニケーションズからメジャーデビューシングル「XANADU」(ザナドゥ)をリリースし、2013年2月には2ndシングル「Teardrop」を発表。4月20日にはバンド結成7周年を記念した東京・SHIBUYA-AX公演を控えている。
PENICILLIN(ぺにしりん)
1992年に結成されたヴィジュアル系バンドで、現在のメンバーはHAKUEI(Vo)、千聖(G)、O-JIRO(Dr)。インディーズシーンにて熱狂的な人気を誇るバンドとなり、1996年にシングル「Blue Moon / 天使よ目覚めて」でメジャーデビュー。シリアスでありながら、ときにコミカルなパフォーマンスでファンを魅了している。1998年にはアニメ「セクシーコマンドー外伝 すごいよ!!マサルさん」のオープニングテーマ「ロマンス」が大ヒットを記録。各メンバーはバンド以外にも、別名義でのユニットやファッションデザインなど、さまざまな場で個性を発揮している。2007年にはオリジナルメンバーであるGISHO(B)が脱退し、以降は3人で活動を継続。2012年には結成20周年を記念して「20th Anniversary Fan Selection Best DRAGON HEARTS」「20th Anniversary Member Selection Best album PHOENIX STAR」という2作のベストアルバムを発表した。