SCANDAL「LOVE, SPARK, JOY!」特集|自信を胸に結成20周年へ向かって (2/3)

4人で歌えたのも新鮮でよかった

──「Terra Boy」は本当に楽しい曲で。中毒性のある呪文のようなサビが脳内をぐるぐるループしちゃいますよね。

HARUNA あははは。本当に楽しいですよね。

TOMOMI その呪文というのがいいんですよ。めちゃくちゃ意味のあるワードじゃないところが。今の自分たちにはそういうのは思い付かないから(笑)。

HARUNA つい歌詞に意味を持たせちゃうからね。

TOMOMI 自分たちが作るということだけで、そこに意味が加わっちゃうし。これは本当に自分たち以外からしか生まれなかった曲だと思います。

RINA 演奏に関しても、メッセージを伝えるという感じではなかったしね。何も考えず、思いっ切り楽しんで弾ける感覚のほうが強かったかもしれない。

MAMI ただねえ、アレンジが川口さんなので、演奏は鬼難しくて(笑)。いつも「目をつぶってても弾けるようなフレーズにしてください」とリクエストするんですけど、まあそうはならない。今回も難しさが勝ってたレコーディングではありましたけど、でもやっぱり学びもたくさんあって。高いハードルを乗り越えられたときに感じる楽しい気持ち、それを川口さんはいつも用意してくれているんだなってことをめっちゃ感じましたね。

MAMI(G, Vo)

MAMI(G, Vo)

TOMOMI レコーディングでは川口さんもすごく楽しんでくれてたんですよ。「自分も参加したい!」って言って、急に鍵盤を弾き始めて(笑)。もともとのアレンジにはなかったのに、2番目のAメロとかには川口さんの鍵盤の音が入ってます。指じゃなく、腕で弾くぐらいのハードなサウンドを、楽しみながら入れ込んでくれたのが実験的でよかったですね。

RINA 全力で音楽で遊ぶ気持ちをみんなひさびさに感じられたよね。

──1曲の中で4人のボーカルが聴けるのもテンションの上がるポイントで。

HARUNA 4人の声が入る曲はひさしぶりですからね。初期を思い出してエモい気持ちになりました。最近の自分たちでは、ここまで突き抜けた明るい曲はなかなか作ることができなかっただろうし、作れたとしても4人では歌わなかったと思うので、このタイミングで4人で歌えたのも新鮮でよかったです。ファンのみんなが喜んでくれるだろうなって、レコーディングのときから感じてました。

──ミュージックビデオで確認できますが、サビには振りもついてますよね。

HARUNA あれはMVの監督が考えてくれたんですよ。

TOMOMI 制作の段階から「振りがあってもいいよね」みたいな話は出ていて。最初はメンバーで考えようかって話だったんですけど、今回は曲もお任せしているし、振りも任せちゃっていいかなと。MVの撮影当日に教えてもらって踊ったんですけど、面白かったです。

RINA 自分たちじゃあの振付は絶対に思い付かないよね。監督(YODEN)は20代半ばなので、上半身だけで踊る能力が自然に備わってる世代なんだと思います。

──それこそTikTokとかでバズりそうな振りですもんね。

RINA そうそう。お正月に実家に帰ったら、小学6年生の弟が「この振りかわいい」って踊ってましたから(笑)。若い世代はああいうのが好きなんだなって、リアルに感じました。ライブでみんなやってくれたらうれしいですね。

HARUNA ただ、テンポが速くて忙しいからね。「無理しなくていいですよ」とは言いたい(笑)。

MAMI “考えたら終わり”みたいな振付だからね(笑)。何も考えずに楽しんでもらえたら。

SCANDAL

この曲を聴いたとき、あまりのよさにひっくり返りました

──2曲目の「どうかしてるって」は、作詞にRINAさんの名前もクレジットされていますね。これはどういった流れで?

RINA もともと、ひでさんの歌詞がフルであったんですけど、それがキュートなラブソングで。そのよさももちろんあったんですけど、ここから4人で長く歌っていくことを考えると、もう少しリアリティをプラスしたほうがいいかもねという話になって、私もフルで歌詞を書き、お互いの好きなところをピックアップしながらパズルみたいに組み合わせて1曲にしていきました。そういう歌詞の作り方もひさびさだったので、楽しかったです。

──サウンドはバンドサウンドにホーンが盛り込まれた、最高に踊れる仕上がりになっています。

MAMI ホーンも生で録ってもらったので、すごく臨場感がありますよね。私はこの曲を聴いたとき、あまりのよさにひっくり返りました(笑)。ひでさんのいいところが詰まっていると同時に、SCANDALらしい王道J-POPにもなっていて。これもまた自分たちでは作ることができない曲だと感じたし、それを今の自分たちで演奏できることがすごくうれしかったです。これもアレンジは川口さんなので、演奏はもちろん難しかったです。何を言っても「できるよ、大丈夫だよ。いつもやってるじゃん」みたいなことを言ってくれるんですけどね(笑)。

TOMOMI そう(笑)。でも私たちも難しいと言いながらも結局できるようになるんです。そうやってずっと鍛えてもらってきたってことだね。

MAMI うん。「これ弾けたらカッコいい!」って感じのフレーズが盛り込まれているので、完璧に弾けたときの達成感がめちゃくちゃある曲ですね。

RINA ドラムに関してはけっこうシンプルなので、特に難しさはなかったかな。ただ、今回はレコーディングするまでにたっぷり4人でリハーサルができて。しっかり演奏を詰めた状態で本番に臨めたのがよかったです。作詞作曲の時間をお任せできた分、演奏の練習や、できあがった曲をどう見せていきたいかを考えることに時間を割けたのは、今回のEPならではだったと思います。

──HARUNAさん、ボーカルのレコーディングはどうでしたか?

HARUNA メロディがもう抜群によくて、めちゃくちゃキャッチーなんですけど、その分、技術がいるんですよ。ひでさんのメロディを歌いこなすのが難しいって十数年ぶりに思い出しました。普通に歌うと、メロディが持つ明るさに届き切らない気がしちゃうんですよね。しっかり気持ちの照準を合わせて歌いきるのはなかなか大変な作業ではありましたけど、でもそれもまた自分自身の新たな挑戦だと思いながらしっかり向き合ってレコーディングできました。

HARUNA(Vo, G)

HARUNA(Vo, G)

──ひさしぶりだったからこそ、田中さんはHARUNAさんのボーカリストとしての成長を感じてくれたところもあったんじゃないですかね。

HARUNA どうですかね(笑)。昔は一緒に作業することがほぼなかったので、ひでさんの曲が持っている意図を、私が勝手に作り上げてしまっていたところもあったと思うんですよ。でも今回はレコーディングにも立ち会ってもらって、すごく細かい部分まで直接ディレクションを受けながら歌えたんです。そういう意味では、当時よりも、ひでさんの曲を、ひでさんが思っている通りに表現できたかなとは思います。

──これもMVで提示されていますが、ライブではクラップでぜひ参加したい曲ですね。

HARUNA クラップもムズいんですよね……。

MAMI まあムズいよね(笑)。

TOMOMI ファンからの「難しい」という声がすでに届いてます(笑)。まあそこは自由に楽しんでもらえたらと。

RINA 自由に気持ちよくノッてもらえたらいいよね。