面白いと思えることはどんどん取り入れていく
──今回リリースされるSawanoHiroyuki[nZk]名義でのニューシングルは両A面ですね。1曲目の「gravityWall」は「Re:CREATORS」のオープニングテーマです。
「Re:CREATORS」の劇伴を担当することになったときに、オープニングテーマのお話も同時にいただけて。今回は劇伴のほうでも歌モノの曲を入れるつもりだったので、まず最初に歌の入った曲を5、6曲作ったんですよね。どれをオープニングテーマにするか、とかはとりあえず考えないで。
──その中から「gravityWall」をオープニングテーマにした決め手は?
オープニングなのでアップテンポのほうがいいっていうのが理由だった気がします。自分としてもこれが主題歌で流れたらインパクトあるかなと思っていましたし。当初は2曲目の「sh0ut」のほうが合うかなとも思っていたんですけど、ミディアムテンポだったので。
──先日発表されましたが、「sh0ut」は「Re:CREATORS」第2期のオープニングテーマになるんですよね。
はい。なので両A面になりました。第1期はアップテンポで、第2期はミディアムでっていう、いい流れになったんじゃないかなとは思いますね。
──どちらの曲も、TielleさんとGemieさんのツインボーカルになっているのが大きなポイントですよね。
この2曲をやることに決まったときに、TielleさんとGemieさんの2人にボーカルチェックをお願いしたんですよ。その段階ではお一人ずつ2曲に振り分けようと思ってたんですけど。でも、いざボーカルチェックしてみたらどちらもすごくいいアプローチを見せてくれたんです。TielleさんにあってGemieさんにないもの、GemieさんにあってTielleさんにないものを感じることができた。だったら2人一緒に歌ってもらったほうが面白くなるだろうなと思ったんですよね。
──そのあたりはものすごく柔軟なんですね。面白そうと思ったらためらわず実行に移すっていう。
わりとそういうスタンスなんですよ(笑)。アレンジに関してはきっちりしたものを作るんですけど、ボーカルを誰にするかとか、歌や演奏のレコーディングとかについてはわりとそのときのノリを大事にするというか。フラットな感覚で面白いと思えることはどんどん取り入れていくところはあります。今回はボーカリストのお二人にものすごく力があったからこそ、より面白い形になったという部分が大きいんですけどね。
言葉の意味より響き、サウンド感を大事にしたい
──[nZk]としてはこれまでさまざまなボーカリストとコラボしてきましたが、今回の人選はどう決めたんですか?
今回は2曲共英語詞を多くするイメージがあって。そういった曲をカッコいいアプローチで歌える人ってことでパッと浮かんだのがこの2人だったんです。
──ってことはボーカルチェックの段階で歌詞もあったということですか?
いやその段階ではまだ用意してなかったです。ただ、「♪ラララ」だと歌いづらいっていうことで2人がそれぞれに仮の歌詞を書いてきてくれて、それを歌ってくれたんですよね。最近はそういうやり方が多いんですけど。で、今回に関してはTielleさんの書いてくれた英語詞のハマりが面白かったんで、それをブラッシュアップして使わせてもらうことにしたんです。
──作詞は2曲とも澤野さんとTielleさんの共作になっていますよね。
はい。日本語の部分は僕が書きました。
──澤野さんはこれまでのインタビューで、「歌詞は意味よりも響きを大事にする」といった発言をたびたびされていて。それは今回も変わらずですか?
そうですね。まあ、僕の中にはもちろん歌詞に対する意味はあるんですよ。でもそれをメッセージとして伝えるのではなく、聴いてくださる方々には自由に受け取って欲しいなっていうことで。だから毎回、そういう言い方をしてきたんですけど。
──なるほど。歌詞に込めた思いを事細かに説明して、聴き手のイメージを限定させてしまうのは野暮だと。
純粋に音楽として聴いて楽しんでもらう感覚を重要視したいんで、わざわざ説明する必要はないかなと。歌ってもらう方たちにさえ、あまり説明しないですからね。彼女たちは真面目だから、最初の頃は「この歌詞はどういう意味なんですか?」って聞いてくれてたんですけど、そのたびに「いや、大して意味なんかないんで、思いのままに歌ってもらって大丈夫ですよ」みたいな(笑)。本人たちにしたら、詞の意味合いを理解することで感情の入れ方にいい変化が生まれるのかもしれないですけどね。僕は歌に関しても響き、サウンド感のほうを大事にしたいんですよね。そこも作曲家という根底があるからなのかもしれないです。
──でも、ホントは歌詞に込めたご自身なりの思いもあると。あえて念押ししますけど。
あははは(笑)。そうですね。今まで書いてきた詞は、それぞれに書き方は違えどわりと同じ題材について言ってることが多いんですよ。その曲が使われる作品のコンセプトにリンクさせる部分は当然あるんですけど、そこには自分の日常の中で感じることを込めるようにはしているので。例えば、僕は日常の中で巨人に出くわすこともないですし(笑)、そんなに追い詰められて生きているわけでもない。でもそこには自分と共通する感覚もきっとあるはずなので、そこをすり合わせて言葉にしていくというか。
──詞についてもこだわって書かれていることが判明してうれしいです。っていうか、澤野さんの曲を聴けば、そこに意味がないわけはないということが丸わかりですしね。
そう言っていただけると光栄です。いや僕も最近ね、過去の発言を振り返ったときに、「こいつあまりにも何も考えなさすぎなんじゃねーの?」って思われるかもしれないなって思ってたんですよ。だから今、ちょっとだけ弁解しようとしたのかもしれないです(笑)。
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ツインボーカルで面白さが2倍に
- SawanoHiroyuki[nZk]「gravityWall / sh0ut」
- 2017年6月28日発売 / SACRA MUSIC
-
初回限定盤 [CD+DVD]
1620円 / VVCL-1030~1 -
通常盤 [CD]
1350円 / VVCL-1032 -
期間生産限定盤 [CD+DVD]
1620円 / VVCL-1033~4
- CD収録曲
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- gravityWall
- sh0ut
- oldToday
- gravityWall(TV size)
- gravityWall(instrumental)
- sh0ut(instrumental)
- 初回限定盤DVD収録内容
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- gravityWall
- 期間生産限定盤DVD収録内容
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- TVアニメ「Re:CREATORS」ノンクレジットオープニング映像
- 澤野弘之「Re:CREATORS Original Soundtrack」
- 2017年6月14日発売 / アニプレックス
-
[2CD]
3780円 / SVWC-70267~8
- DISC 1収録曲
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- God of ink
- rE:CRe@T0RS
- Re:3$penS
- 4GL4yu8RE:E
- Hey39-udn
- RE:3343
- HERE I AM
- 2109-a8Ru件
- AL:Lu
- 高度8b6n
- 8sawOGRE6
- Layers
- re:pianohi1tars
- ∞GodMachine
- ABYSSwaltz
- Pf:Creators
- 音:9RE:eita-zu
- BRAVE THE OCEAN
- DISC 2収録曲
-
- E:verydaytor1
- Pf:Creators II
- E:verydaytor2
- Pf:Creators III
- SawElephant4ゅ
- Pf:Creators IV
- E:verydaytor3
- Pf:Creators Ⅴ
- God々-ground2SAY310
- Pf:Creators VI
- E:verydaytor4
- ○DA-world2HEN火90
- God of ink(RE:Instrumental)
- HERE I AM(RE:Instrumental)
- Layers(RE:Instrumental)
- BRAVE THE OCEAN(RE:Instrumental)
- 澤野弘之 / KOHTA YAMAMOTO
「『CRISIS 公安機動捜査隊特捜班』ORIGINAL SOUNDTRACK」 - 2017年5月24日発売 / SME Records
-
[CD]
2700円 / SECL-2163
- 収録曲
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- 9a14s(澤野弘之)
- fire9d(澤野弘之)
- sisirc(澤野弘之)
- The Brave(澤野弘之)
- public-AN(澤野弘之)
- machine-motion-investigation-squad(澤野弘之)
- 10/9sawHALF(澤野弘之)
- undone(KOHTA YAMAMOTO)
- plastic pulse(KOHTA YAMAMOTO)
- KING KAJI(KOHTA YAMAMOTO)
- hypnotize(KOHTA YAMAMOTO)
- Trust you(KOHTA YAMAMOTO)
- KATSH(KOHTA YAMAMOTO)
- Ignore the Nation... Awake My Identity(KOHTA YAMAMOTO)
- into the deep(KOHTA YAMAMOTO)
- thinking out(KOHTA YAMAMOTO)
- Pessimism(KOHTA YAMAMOTO)
- H.I.ARMY(KOHTA YAMAMOTO)
- Trust you-pf re-(KOHTA YAMAMOTO)
- 澤野弘之(サワノヒロユキ)
- 1980年生まれ、東京都出身の作曲家、編曲家。「医龍」シリーズやNHK連続テレビ小説「まれ」、「アルドノア・ゼロ」「進撃の巨人」「キルラキル」「機動戦士ガンダムUC」シリーズなど、ドラマ、アニメ、映画など映像作品のサウンドトラックを中心に、楽曲提供や編曲をするなど精力的に音楽活動を展開している。2014年春からはボーカル楽曲に重点を置いたプロジェクト、SawanoHiroyuki[nZk]を始動。その第1弾作品として「機動戦士ガンダムUC」シリーズの楽曲も共作したAimerと、SawanoHiroyuki[nZk]:Aimer名義のアルバム「UnChild」を発表した。2015年2月にはSawanoHiroyuki[nZk]の新作「&Z」と、自身の手がけたアニメーションのサウンドトラックの中からボーカル曲のみをセレクトしたベストアルバム「BEST OF VOCAL WORKS [nZk]」をリリースしている。同年9月にSawanoHiroyuki[nZk]の1stアルバム「o1」と、澤野名義のサウンドトラックベスト「BEST OF SOUNDTRACK【emU】」を発表した。2016年5月にアニメ「甲鉄城のカバネリ」のサウンドトラックを、6月にはSawanoHiroyuki[nZk]名義でアニメ「機動戦士ガンダムユニコーン RE:0096」のオープニングテーマおよびエンディングテーマを収録したシングル「Into the Sky EP」をリリース。2017年6月には劇伴を手がけたアニメ「Re:CREATORS」のサウンドトラックと、同アニメの第1期および第2期のオープニングテーマを収録したシングル「gravityWall / sh0ut」を発表する。