音楽ナタリー Power Push - ササノマリイ
異色シンガーソングライターが明かす“おもちゃ箱”の中身
自分自身の姿も表現のひとつにしていけたら
──「共感覚おばけ」のミュージックビデオはかなり作り込まれていますよね。
はい、ありがたいことに。制作してくださった牧野(惇)さんを大いに崇めたいです。今までは映像も全部1人で作ってきましたから、人にやってもらうということに全然慣れてなくて。ああいう形で作ってもらうことで、また曲の違う表情が見えてくるなと思いました。
──ミュージックビデオに主人公として登場したことについてはいかがですか?
自分から「僕でーす!」って感じで出て行きたいタイプじゃないので、やる前は「どうなるんだろう、ちょっと怖いな」という部分はあったんですが。形になったものを観て「ああ、こんなに素晴らしいものにしてくれるんだ、出てよかった」と感じましたね。
──すごく大きな一歩になったと。
はい。今までは映像としての自分というものをまったく想像していなかったんですけど、これからは自分自身の姿も表現の1つにしていけたらいいですね。
吹奏楽部の経験が生きた曲順
──あと、今回のアルバムの特徴として、曲順がすごくライブ的だなという印象があって。オープニングのSEから入って、インスト曲も挟んだりして。
そうですね、流れにはすごく気を使いました。僕、学生時代に吹奏楽部だったんですけども、その経験が生きているかもしれませんね。曲の流れを考える力みたいなものはその当時に培われたと思います。
──「あいのうた」から一度インスト曲の「アンブレラ」に入るところとか。
はい。「雨」が歌詞に入った「あいのうた」から「アンブレラ」、さらに「サニーサニー」に行って、まあ天気に関する流れというか「雨のち晴れ」みたいな流れで。文字的にもうまくつなげられたかな、というところは気に入ってます。
──そうやって考えると、おもちゃ箱と言いつつもちゃんときれいな流れになってるわけですね。
最初は「ごちゃごちゃしすぎじゃないかな」って思ってたんですけど、1つにまとめてみたら考えていたよりもうまく入ったな、という感じはありますね。
曲に光が当たらなければ意味がない
──2ndアルバムが出て、さらに曲を聴く人も増えると思うのですが、リスナーや世間の人たちにどう受け止めてほしい、みたいなものはありますか?
そうですね……自分が作った曲はできるだけいろんな人に聴いてほしいし、聴いてくれる人を増やしていきたいと思ってるんですけど、自分自身が有名になりたいわけじゃないんですよ。僕という人間がいて、こういう曲を歌ってるってことは知ってもらいたいしできれば好かれたいけど、僕自自身がスポットライトを浴びても曲に光が当たらなければ意味がないというか。それなら曲が有名になってくれたほうがうれしいですね。
──ちなみに4月に「ニコニコ超会議2015」で初めてバンドセットでのライブをしたそうですが、これからもライブ活動は行っていくんでしょうか。
はい、ライブはやっていきたいと思ってます。自分だけだと思い付かないような、ドラムのフィルとかギターのリフとかが入ってくることが「あ、自分の曲をこんな感じにしてくれるんだ」ってすごく楽しかったので、バンドでのライブはまたやりたいです。でも自分1人での弾き語りでもやっていきたいし、場所や曲に合わせていろいろな形で見せていけたらなと考えています。
収録曲
- オバケトオモチャバコ
- 共感覚おばけ
- きかせたいのは
- あいのうた
- アンブレラ
- サニーサニー
- てのひらワンダーランド
- 公園と少女
- ライア
ササノマリイ
2009年にVOCALOIDシーンで「ねこぼーろ」として音楽活動を本格的に開始。「戯言スピーカー」「自傷無色」などの楽曲で人気を集めた。2014年よりシンガーソングライター「ササノマリイ」としての活動をスタートさせ、同年10月に1stアルバム「シノニムとヒポクリト」をリリース。アルバムの発売当日にはニコニコ生放送で初のネットライブも実施した。2015年4月には「ニコニコ超会議2015」にて初のバンドセットでのライブを行う。7月22日、2ndアルバム「おばけとおもちゃ箱」をリリースする。