佐々木彩夏(ももいろクローバーZ)|14歳から24歳へ 10年分の“あーりんらしさ”凝縮した1stソロアルバム

“あーりんらしさ”とは

──「ハッピー♡スイート♡バースデー!」の次に収録される新曲「Girls Meeting」は、K-POP的な雰囲気もある“女の子”をテーマにしたダンスナンバーです。

ここ4年くらい毎年ソロコンに向けたテーマ曲をリリースしていて、“あーりん”というワードを使わないソロ曲が増えてきたんですよ。“あーりん”というテーマの曲のほうが安心感があるし、「あーりんはあーりん♡」までは「ソロ曲=ライブで盛り上がる曲」というイメージだったので、急に“あーりん”と言わないソロ曲を作っていくことは挑戦だったんですけど、ソロコンと共にお届けすることでわりとすんなり受け入れてもらっていて。

──前山田さんが作るソロ曲とは違う方向の音楽にも挑戦してきましたよね。

今回も新曲を作ってもらうにあたって、“あーりん”を全面に押し出した曲とそうじゃない曲、どっちもあるといいなと思ったんです。それプラス、ダンスをがっつり踊る曲や恋愛がテーマじゃない歌が欲しいなと考えた結果、できあがったのが「Girls Meeting」です。女の子を楽しんでる女の子ってかわいいなと思うんですよ。私もそうでありたいし、来世で生まれ変わってもまた女の子でありたいと思っているタイプなので、「みんなで女の子であることを楽しもう」というメッセージを込めました。

──そして、アルバムを締めくくるもう1つの新曲「空でも虹でも星でもない」は、スローテンポでやさしいムードにあふれた楽曲です。

アルバムの最後をブチ上げて終わるか、しっとり締めるかで悩んだんですけど、誕生日に発売される予定だったのもあり、ラストの曲くらいは24歳らしいというか、ちょっとは年相応な感じで終われたらなと思って。あーりんらしさというよりは、“佐々木彩夏”らしさ、普段の私みたいなところを皆さんに垣間見てもらえるような曲を作っていただきました。

──「あーりんらしさ=佐々木彩夏らしさ」ではないんですね。

そうですね。私もあーりんに対してこうであってほしいという思いがあるし、「あーりんだったら許されるっしょ」みたいに感じているところがあるんです。あーりんはちょっと非現実的というか、ファンタジーみたいな存在なのかもしれません。あーりんらしさと佐々木彩夏らしさは紙一重ではあると思うんですけど、「空でも虹でも星でもない」は、佐々木彩夏から伝えたいことに寄った内容になりました。

──普段は「あーりんを自己プロデュースしている」という感覚に近いんですかね。スターダストプロモーションのアイドルセクション「STARDUST PLANET」所属のメンバーで構成され、福島・双葉郡浪江町を中心に活動しているユニット・浪江女子発組合ではプレイングプロデューサーを務めていますが、プロデュースという仕事が好きなんですか?

浪江女子発組合。中央が佐々木彩夏。

うーん、自己プロデュースは好きかもしれないです。人にアドバイスすると全部あーりんっぽくしようとしちゃうので、自分以外の人をプロデュースするのは得意かどうかは正直わからないんですけど、「こうしたらもっとあーりんっぽいんじゃない?」という考え方は自分が一番得意だと思ってます。あと「こんなあーりんを見てみたいな」というのも常に考えてますね。ソロコンの演出だったら、あーりんがいきなりウサギの耳を付けて出てきたらかわいいだろうな、とか妄想して。

──自分のことをファン目線というか、客観的に見てるんですね。

ナルシストなんですかね(笑)。「こう見られたい、こう思われたい」という気持ちが強いのかもしれないです。浪江女子発組合もメンバーの中にいることでよりインスピレーションが湧いてくるというか、完全に裏方に徹してグループをプロデュースするよりは、自分もメンバーとして活動することで「もしかしたらファンの人はこう思ってるかも」という発想が生まれてくるのかなと。

無観客ライブってこんなに楽しめるんだ!

──7月12日にはソロコンの代替企画として生配信ライブ「A-CHANNEL」が行われます。6月25日のももクロの無観客ライブではZoomでモノノフとつながる演出などが行われましたが、誰もいない客席に向かってパフォーマンスするのに戸惑いのようなものはありませんでしたか?

ももいろクローバーZの無観客ライブ「Behind closed doors『2020 次が始まり』」出演時の佐々木彩夏。(撮影:上飯坂一)

ライブが始まるまでは、本番もリハーサルみたいな感じになっちゃうのかなと思ってたんですけど、実際はそんなことなくて。「こんなに楽しめるんだ!」と自分でもびっくりしました。生配信後もいつものライブが終わったあとのような疲労感がありましたし。リハってなんか孤独なんですよね。ほとんど誰も観てないし、どうせあとでダンスの先生に注意されるだけだし、疲れるし(笑)。あまり楽しいものではないんですけど、無観客ライブはそれとは全然違って。事前に募集したコールの音声を流したり、モノノフさんとZoomでつながったり、コメントを通してやり取りしたりしたのもあって、みんなの姿は見えなくても孤独感はなかったです。モノノフさんが協力してくれたおかげで、ちゃんとライブにできたと思います。

── “with コロナ”の時代における、1つの新しいエンタテインメントの形が見えた気がしました。

マスクを付けながらライブをするという珍しい試みも賛否両論あるかなと思ってたんですが、みんな「ももクロらしいね」と受け入れてくれました。

──7月12日の生配信ライブへ向けて励みにもなったんじゃないですか?

とりあえず6月25日のライブをやってみないとわからないなと思っていたので、それを終えたことで徐々に方向性が決まってきました。セトリも「AYAKA NATION 2020」でやる予定だったものとは変えていこうと考えてるんです。ただ、配信だからこそできることの引き出しが全然ないので、そこはプロの皆さんの話を聞いて進めてます。

誰も疎外感を感じないアイドル界に

──佐々木さんは昨年末にほかの事務所のアイドルグループを招いたライブイベント「AYAKARNIVAL 2019」を開催したり、自粛期間中に東京パフォーマンスドールの高嶋菜七さんとInstagramでコラボ配信を行ったりしていましたが、ももクロにおける外交官的な役割を担っていこうという意識があるんでしょうか?

いや、それはないですね(笑)。単純にアイドルが好きだからやっていて、普段からほかのアイドルの映像をファン的な目線でチェックしているんです。でも、「めっちゃかわいいな、このアイドル」と思う子たちって、もはやみんな年下なわけですよ。実際に会ったら「あーりんさん……!」って感激してくれるし、気付けば私たちもかなり古参のグループなわけじゃないですか。アイドル界をざっくり分類したときに48と坂道系、ハロプロ、スタダみたいに分けられるくらい、私たちも認めてもらえてきたと思うので、その立場としてできることはないかなと考えることはあります。もうアイドルもバチバチする時代じゃないし、みんなでアイドル界を盛り上げていくことが大事だなって。

──ここ数年、解散するグループが多いですからね。

そうなんです。寂しいんですよ。大それたことはできないんですけど、みんなの気持ちが1つになるような、疎外感を感じるアイドルが誰もいない世の中になればいいなと思っています。これからのアイドル界を引っ張っていくのは若い世代のアイドルたちなので、そういう子たちがどんどん辞めていっちゃうのは悲しいんです。これからのアイドル界に対してもっとわくわくするような未来を作っていきたいし、若い世代のみんなにも作ってもらいたいなと思っています。

ライブ情報

佐々木彩夏「A-CHANNEL」

配信日時:2020年7月12日(日)18:30~

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