佐々木彩夏(ももいろクローバーZ)|14歳から24歳へ 10年分の“あーりんらしさ”凝縮した1stソロアルバム

14歳から24歳までの変化

──14歳から24歳までの10年間を通して、佐々木さん自身の中で何が一番変わりましたか?

うーん、性格は変わったと思います。ももクロに入る前は自分から人を笑わせにいったりしないタイプでしたし。でも、昔から目立ちたがり屋ではあったんです。何かとリーダーとか班長とかやりたがってて。ただ、恥ずかしい気持ちが勝っちゃって、面白いことを自分でやるという発想はなかったです。子役時代は「これはお仕事なんだ」と思って活動していたし、頭が固かったんだと思います。だから、ももクロに入って「お仕事っぽくないな」「こういう活動の仕方もあるんだ」とびっくりしました。マネージャーさんがスーツを着てなくてマネージャーっぽくないし、メンバーと仲よくしていて。昔習っていたダンスの先生もけっこう怖かったので、先生やマネージャーは怖いというイメージが強かったんです。メンバーや川上(アキラ。現ももクロのプロデューサー)さんにたくさん影響を受けたし、そういう環境じゃなかったらももクロを続けられてないと思いますね。ママに産んでもらって川上さんに育ててもらったみたいな感覚で、佐々木家だけで育ってたら今の私はいないと思います。

──ちなみに、ももクロに入らずに24歳を迎えていたらどんな女性になっていたと思います?

女子高行って、女子大行って、お医者さんの卵とかと合コンしてたのかな?(笑) そのあとは受付嬢とか、アパレル系の仕事とかして。

──なるほど(笑)。ももクロの活動の中でキャラいじりを受けたりすることもあると思いますが、最初の頃はそれにも抵抗がありました?

「ももいろパンチ」リリース時のももクロメンバー。左端が佐々木彩夏。

ありましたね。ももクロ加入前はいじられたり、自虐ネタを言ったりすることがなかったので。ませてたって言うのかな。ももクロに入ってしばらくはメンバーもいじりづらかったと思います。加入したとき私は小6だったので、中3のれにちゃんのことはすごくお姉さんに見えてました。それまで中学生と関わることがなかったし、「うわ、中3だ!」って(笑)。当時はれにちゃんと同い年のメンバーが何人かいて、年上のメンバーが多くいることがちょっと怖かったんですよね。でも「ももいろパンチ」(2009年8月発表のインディーズデビューシングル)のツアーで一緒にいたら仲よくなって、自分のことでみんなに笑ってもらうことがうれしくなってきて。それはメンバーのおかげです。

──子役時代にすでに“あーりん像”が確立されていて、それ以降ずっとぶれずに活動してきたイメージが強いですが、いろいろと大きな変化があったんですね。

はい。ただ、自分のやりたいことという話だと、新曲の「ハッピー♡スイート♡バースデー!」のミュージックビデオを観る限り、10年間でまったく変わってないのかなと思います(笑)。

「あーりんの誕生日って俺らもおめでたいよな!」

──「ハッピー♡スイート♡バースデー!」はケーキの妖精に扮したあーりんが自身の誕生日をパレードのように盛り上げるという、なんともあーりんらしい“圧”がある曲です。佐々木さんはセルフプロデュースという形で制作に参加したそうですね。

そもそも「A-rin Assort」全体の制作に、最初の打ち合わせから関わらせてもらったんです。タイトルやジャケ写、収録曲も決まってない段階から宮本純乃介さんをはじめレコード会社の人と話し合って、コンセプトを決めるところから口を挟ませてもらいました。

──この“THE アイドル”なジャケット写真も佐々木さんが希望して?

佐々木彩夏「A-rin Assort」通常盤ジャケット

そうですね。最初の打ち合わせに臨むにあたって、どんなコンセプトのアルバムにしようかいろいろ考えたんですよ。大人っぽいあーりんとか、クールなあーりんとか、もっとコンセプチュアルなアルバムにしようかとも思ったんですけど、初めてのアルバムで奇をてらうようなことをするのもちょっと違うかなと感じて。プニノフさんみんながイメージするあーりん像を保ちつつ、その期待を超えるようなことがしたいと思ったんです。新曲についてもそのテーマに合った曲、ソロコンで映えそうな曲、アルバムの締めになる曲を作りたいというお願いを出しました。

──「ハッピー♡スイート♡バースデー!」は、サビの「あーりんと 同じ時代生まれたみんな おめでとう!」という歌詞が最高ですね。

あはははは! なんかすみません(笑)。既発曲の並びを見たときに、半分くらいの曲に前山田健一というクレジットが書いてあって、「やっぱり新曲は健ちゃんに作ってもらわないとな」と思ったんです。それでリード曲をお願いすることにして打ち合わせをさせてもらったんですけど、話し合いの段階でもう曲ができあがってましたね。それくらい前山田さんからぼんぼこぼんぼこアイデアが出てきて。次々に突飛な発想が飛び出してくるから「この人何言ってるんだろう?」とも思ったんですが(笑)、前山田さんもあーりん推しという気持ちで曲を作ってくださって、「あーりんの誕生日って俺らもおめでたいよな!」「推しの誕生日を祝えるってホントに幸せなことだよ!」って言い出したんですよ。そうやって生まれたサビです。

──「変えるわよ~」というフレーズのあとに曲調が変わって甘いものの名前を連発するという、「だてあり」をオマージュした展開もありますね。

打ち合わせで出たアイデアが全部1曲に詰まっていてびっくりしました(笑)。「だてあり」あっての私だし、この曲がソロ活動の軸になっているし、甘いものは女の子の象徴的なものの1つなので、そういう要素を曲に入れたいという話をしたんですよ。ただ、今回はもっと大人っぽいものの名前を入れようという話になり、「シャンパン リキュール ウイスキーボンボン」という歌詞になりました。