ナタリー PowerPush - Salley
音楽で生きていく決意表明 新作「その先の景色を」
PVが提示する新たなSalleyの世界観
──今回のビデオクリップも幻想的な作品ですね。
うらら 「赤い靴」や「green」と同じ佐渡恵理監督に撮っていただきました。前の2作品ほどわかりやすくはないかもしれませんが、不思議な世界観だと思います。
──ずっとスモークに包まれながら歌っていますよね。
うらら 1日中スモークに巻かれていたので、喉が変になっちゃって。翌朝起きたら、なんかうまく息が吸えないかもって。
──体張ってますね(笑)。
うらら 「赤い靴」のときは極寒の森の中で撮影して、「green」はずっと木の上に座っていて、今回は煙に巻かれ続けるっていう(笑)。
上口 僕は途中から合流して撮影したので、全体像がよくわからないまま撮っていたんですけど、仕上がりを観たら監督のカラーが出ていて素敵な作品だと思いました。
──具体的にどんなところが?
上口 普通じゃないというか、ちょっとトゲのある感じですね。スローモーションのシーンを織り交ぜたり、色彩にコントラストがある感じとか。視覚的に中毒性のあるPVだと思います。
──それはSalleyの世界観とマッチしている?
上口 似てると思うんですけど、佐渡さんに「こういうSalleyもいいんじゃない?」って提示されている感じもしますね。最近では楽曲を作る際に意識するようになりました。映像化するときのことを考えたらもうちょっとこのパートを落ち着かせてみようとか。
「各駅停車」は一番思い入れの強い曲
──初回限定盤のカップリング「きみのヒーロー」は「その先の景色を」と似た風景を歌った曲ですね。
うらら シチュエーションとしては同じ場面ですね。でも書いた時期は全然違うので、私は言ってることが全然変わってないんだなと思いました。私自身「すごくがんばってるよね」とか「強い人だよね」って言われることがあるんですけど、実は全然そんなことなくて弱い人間だし、逃げ道があればすぐ逃げるし。でも、そう言ってくれる人の前では強くありたいという気持ちもあって。みんながかけてくれる言葉が前に進む活力になってるんだよっていうことを伝えたくて。
──同じく初回限定盤に収録される「各駅停車」はフォーキーな楽曲で。
上口 こういう曲調はうららに合うだろうなと思っていて、うららが1人で川辺でギターをつま弾きながら歌っているのを想像しながら作りました。直球のフォークソングはSalleyっぽくないなと思って、コードの積み方でちょっと変化をつけられるようにアレンジして。
うらら これは私が今まで作詞してきた中で一番強く思い入れを持っている曲なんです。自分で歌いながら泣いちゃったくらい。
──そうなんですか?
うらら この曲のデモが送られてきたとき、たまたま私が小学校の友達と東京で会うっていう日だったんですね。みんなもう大人だし、いろいろなことを経験してきたと思うんですけど、その日集まったその場所には昔と何も変わらない空気が流れていて。本当にくだらないことで笑い合って、地元の風景は変わっているのに私たちは何も変わってないということにすごく感動したんです。ちょうどそのときに上口くんがこういうフォーキーな曲を送ってくれたので、私にはもう自分の地元の風景しか浮かばなくて。その日のうちに歌詞を書いて、すぐ返しました。
──すごく郷愁感がありますよね。
うらら 書いてあることは実話ばっかりですね。レコーディングでは1人ぽつんと昔を思い出しながら口ずさんでいるイメージで歌いました。でもそれは孤独なんじゃなくて、むしろ温かい感情に包まれているっていう。
- ニューシングル「その先の景色を」/ 2013年10月2日発売 / Victor Entertainment
- 初回限定盤 [CD+DVD] 1500円 / VIZL-589
- 通常盤 [CD] 1050円 / VICL-36834
- 期間限定盤 [CD+グッズ] 800円 / VIZL-597
初回限定盤CD収録曲
- その先の景色を
- きみのヒーロー
- 各駅停車
- その先の景色を(Instrumental)
初回限定盤DVD収録内容
- 「その先の景色を」ミュージックビデオ
通常盤CD収録曲
- その先の景色を
- fragile
- green(acoustic studio session)
- その先の景色を(Instrumental)
期間限定盤CD収録曲
- その先の景色を
- その先の景色を(Instrumental)
期間限定盤封入特典
- タブロイド紙
Salley(さりー)
大阪出身のうらら(Vo)と福井出身の上口浩平(G)により2012年に結成された男女デュオ。2013年5月にフジテレビ系アニメ「トリコ」のエンディングテーマ「赤い靴」でデビュー。透き通るようなうららの歌声と哀愁を帯びたロックサウンドで描くオリジナルの世界観が話題になり、同作は「2013上半期USEN HITランキング」のJ-POP部門で1位に輝いた。7月31日にニューシングル「green」をタワーレコード限定でリリースし、全国のタワーレコード5店舗にてミニライブ&サイン会を実施した。10月2日にニューシングル「その先の景色を」をリリース。