斉藤朱夏|エンジン全開!笑顔満開!みんなの手を取って輝く未来へ

畑さんからのラブレター

──2曲目の「月で星で太陽だ!」は畑亜貴さんが作詞した楽曲です。畑さんはAqoursの全楽曲の作詞を手がけているので斉藤さんのことをよく理解されているお方で、先日ミニアルバムの収録内容発表のタイミングで「しゅかしゅーは月で星で太陽だ!」というコメントも出されていました(参照:斉藤朱夏のミニアルバムにDJみそしるとMCごはんや畑亜貴ら参加、初めてラップに挑戦)。

いやー、そのコメントを見てもうびっくりしましたよ。そんなふうに見てもらえているんだなって本当にうれしくて。畑さんは私のことを5年も見続けてくれているので、その畑さんに歌詞を書いていただけるのはとてもありがたいことです。この曲を作るにあたって、「みんなから見た“斉藤朱夏”というものを書いてほしい」というリクエストを出させていただいていたので、「どんな歌詞になるんだろう?」ってけっこうドキドキしていたんですよ。めちゃくちゃ暗いことが書いてあったらどうしよう、みたいな。そしたら「君は月で星で太陽だ!」という歌詞がきて、「いやいや、すごいな!」って(笑)。

──「斉藤朱夏はこういう人です!」という畑さんからの紹介ソングですよね。

プレゼンしていただいてます(笑)。しかも、世界観が広いなあって思いました。

──月、星、太陽という。

この曲は畑さんからのラブレターだと思っています。愛がいっぱい詰まっているからこそ、どうやってこのラブレターにお返事しようかなあとドキドキしました。この曲の歌詞、めちゃめちゃ畑さん節なんですよ。特に「ありがとやっほー!」とか、畑さんだから思いつくパワーワードだなって。あと、歌詞がほとんど言いきった形になっていたり。

──「なりたい なってやる!」とか。

そうやって見えてるんだなあって……私自身、明るく元気でポジティブな人に見られたいという気持ちがあったので、自分が見せたい姿をちゃんと見せられてるんだなという答え合わせにもなりました。私的にはこうやって見せたいけど、ちゃんと見せられているかわからないしっていう中で、畑さんが「大正解」と言ってくれているような感じで。今まで自分がやってきたことが間違いではなかったんだなってホッとしましたね。

みんなとデートしてるような気持ちで

──エネルギッシュな冒頭の2曲を経て、3曲目にはDJみそしるとMCごはんさん提供のラップ曲「親愛なるMyメン」がきます。ラップは初めてなんですよね?

初めてでした。ミニアルバムを作っていく中で、ゆるラップで好きな食べ物を歌う楽曲を作ってみようという話になって。それで、この曲では最初から最後までずーっと“麺”のことを歌っています(笑)。新しい挑戦ですよね。

──―おみそはんさんと今まで接点はあったんですか?

いえ、私が一方的に楽曲を聴かせてもらっているという感じでした。まだ直接お会いできていないんですが、この曲を作ってもらうにあたってリモートで打ち合わせをして。私の好きな麺に関するお話をずっとするという、とても不思議な打ち合わせでした(笑)。

──斉藤さんといえばハンバーグがお好きなイメージがあるんですが、好きな食べ物の中でも麺を選んだ決め手はなんだったんでしょう?

確かにハンバーグ、お子様ランチ、オムライスとか、小さい子が食べるようなものがめっちゃ好きなんですよ。でもずっと長く歌っていく曲だし、歳を取っても「お子様ランチ」って歌っているのは「年齢制限オーバーですよ」ってなっちゃうかなあと思って(笑)。あとは納豆巻きが好きだけど、あんまりかわいくないかなとか。そんなふうにいろいろ考えていく中で、ちょうどそのとき麺全般にすごくハマっていたんです。もう毎日食べられるくらい。それで「麺の曲いいじゃん!」と思って、おみそはんさんと1時間ずーっと麺の話をしていました。

──初対面で(笑)。

いやあ、こんなことなかなかないですよね。「私、あの麺が好きで!」って(笑)。その打ち合わせで話に挙がった麺は、全部この曲に入っているんです。1時間話したことをおみそはんさんがギュッと詰めてくれました。

──ラーメン、カレーうどん、ボロネーゼと、いろんな麺が出てきますもんね。曲が上がってきたときの印象はどうでしたか?

「私、これ歌えるのかな?」という。私自身がいつもせかせかしている人間だから、どうゆるく歌えばいいんだろうって……基本的に“ゆるい”を知らないんです。

──とってもかわいいゆるラップをナチュラルに歌われていて、ご自身のラップの完成型を見つけているようにすら思えたのですが。

いや、めちゃめちゃ難しかったですよ。家でずっと練習してましたもん。ゆるさ加減が難しくて。自分的にはゆるく歌っているつもりだけど、ちょっと気だるい感じに聞こえてしまったり。ともかくいろんな方のラップの楽曲を聴きまくって勉強したんですが、もはやラップって感覚的なのかもしれないなと思ったりもして。とりあえず自分なりのラップをしてみようという気持ちでレコーディングに挑みました。

──「マイ麺」と「Myメン」をかけているのがユニークですが、この曲の「Myメン」はどういうイメージで歌ったんですか?

私の解釈としては、この曲はみんなの夢の中のお話なんです。私とみんなが夢の中で一緒にラーメンやそば、うどんを食べるデートをして、最後の「ざるでチャッチャッチャ」というフレーズで目が覚めて「ああ、夢だったんだ」と気付くんです。だからみんなとデートをしてるような気持ちでずーっと歌ってましたね。

斉藤朱夏

女子の代表として言いたい

──ポジティブで勢いのある曲が多い中、4曲目の「シャボン」は情緒的なミディアムバラードです。こちらはケイさんの作詞作曲ですね。

デビューミニアルバムでちょっと落ち着いた斉藤朱夏を見せられたので、今作でもやっぱりそういう一面もあるんだよというのを見せたくて。この曲は私が書いた2つの歌詞のプロットを、ケイさんがミックスさせて書いてくれたんです。

──“君”への大切な思いを抱いてそっと歩いていくような曲ですね。

少女マンガ大好き人間なので、やっぱり絶対1曲は恋愛の楽曲を入れたくて。女子の代表としてちょっと言いたいんですけど、みたいな(笑)。

──(笑)。プロットにはどういうことを書いていたんですか?

片思いのことを書いていました。人を好きになるときって、知らない間にどんどん好きになっていて、ある日急に気付くことが多いと思うんですよ。「いつの間にかあの人のことを目で追ってた。私ってあの人のこと好きなの?」みたいな。それでその人のことを意識し始めてドキドキしちゃって、昨日まであんなに「おはよう」とか言えたのになんかもう言えないっていう……。

──斉藤さんはそういうタイプなんですか?

いや、私は「この人が好き!」と思ったら好きっていう感じだと思います(笑)。でも、日常生活の中でいきなり自分の気持ちに気付くようなことってけっこうあるんじゃないかなと思って、そういう女の子の気持ちをつづりました。もう1つは……私、ドラマの「愛の不時着」が大好きで。「なんて複雑な恋愛なんだ!」って思いました。あのドラマを観たとき、本当に衝撃を受けて、これでもかっていうぐらい泣いたんですよ(笑)。

──涙が枯れ果てて……。

「もう無理だよ!」みたいな(笑)。あと、友達から「好きになってはいけない人を好きになった」とか聞いたりして、いろんな恋愛があるなと思ったんです。でも、私はその“好き”という感情に対してダメって思わなくてもいいんだよということをすごく言いたくて。いろんな“好き”があっていいし、人を好きになるってすごく素敵なことだから、その気持ちを大切にしてほしい。プロットにはそういうことを書いていました。

──ほかの収録曲とは系統は異なれど、この曲もリスナーの背中を押す曲になっていると。

そうです。自分の中でぐるぐる悩んで苦しくて悲しくて、最終的に「君と出会ってよかったな 口にはしないままで まだしまっておくよ」って自己解決しているだけかもしれないんですけど、それでいいと思うんです。相手に気持ちを伝えなくても、好きな気持ちはそれでいいと思う。今恋愛をしている人たちに届けたい曲です。

──主人公の繊細な心情を歌い上げるにあたって、どういうことを意識しましたか?

1人の少女の気持ちになって「今、彼女は何を考えているんだろう? どういう気持ちなんだろう?」ということをすごく考えながら歌っていきました。ケイさんからは「とにかく切なく歌ってください。涙を流しながら笑っているような感じで」と言われて、「えっ、待って待って。それめっちゃ切ない!」みたいな(笑)。特にDメロは繊細で消えそうな感じだけど、どこか芯があるように……って意識しながら歌いましたね。