とにかく一緒に走んない?
──ゆるラップとミディアムバラードを経て、5曲目の「Your Way My Way」はスカ調でかなり勢いのある曲です。まっすぐに道を突き進んでいくような、斉藤さんらしい1曲ですね。
私は日頃から「今を生きたい」「とりあえず今日がんばろう」とよく言っていて、そういう気持ちを汲み取ってもらえたのが「Your Way My Way」かなって。ただただがむしゃらに生きている斉藤朱夏が見える曲になっていると思います(笑)。
──ご自身とリスナーの両方を奮い立たせるような曲になっていて、私もがんばるからあなたもがんばってというような関係性が素敵ですね。一緒に歩いてる感じがあるというか。
「一緒にがんばろうね!」という気持ちはすごく大きくて。今自分がこうやって全力でまっすぐ道を駆け抜けていけているのはみんながいるからなんです。正直、みんながいなかったら全然走れていなかったと思うんですよ。その道を一緒に走りたいのがみんなだからこそ「とにかく一緒に走んない?」という。
──大変な世の中だからこそ「進め Your Way My Way」というメッセージはリスナーの方々の心にも響くのではないでしょうか。
そうですね。2020年、いろんなものが止まっちゃって、走りたくても走れなかった時期が長くて……。
──止まらざるをえなかったですよね。
「えっ、なんで止めさせんの? 私、走りたいのに!」って。「とりあえず自分の道を走らせてください!」という気持ちをぶつけているのが「Your Way My Way」ですね。この曲を歌っていると、すごく私らしいなと感じるんです。自分が走っている姿が見えるというか、「なんか、斉藤朱夏走っていっちゃった」「えー、そんなスピードで!?」みたいな(笑)。
みんなの手を引っ張っていきたい
──ラストを飾るのは、ミニアルバムのタイトルともつながる楽曲「ひまわり」です。ひまわりという花はもともとお好きだったんですか?
そうです。もともとすごく好きで。ひまわりって見ているだけで元気になりますよね。
──斉藤さんのようですね。
えー!(笑) すごくエネルギーを感じる花なんですよね。ちゃんと自分というものを持って、太陽を見上げてどんどんどんどん育っていく姿がとても力強くて。その中に見えるかわいさも好きなんです。
──未来に向かって行く等身大の気持ちやファンの方々への思いをまっすぐに歌われています。作詞作曲はケイさんですが、この曲も斉藤さんが歌詞のプロットを書いているんですか?
いや、これは書いていなくて。ケイさんからの“お手紙”なんです。ミニアルバムの制作途中で「SUNFLOWER」というタイトルを決めてから「ひまわりの曲を作りたいな」と思い浮かんで、打ち合わせでケイさんにお伝えして。なので、「ひまわり」は最後にできた楽曲なんです。この曲の歌詞を見たとき、ケイさんに「斉藤朱夏、そのまま行け」って言われたような気がして……。ケイさんには「この曲の“ひまわり”というのは朱夏さんです」と言われたんですけど、正直に言うと、私は自分のことをひまわりみたいな人だとは思えていないんですよ。太陽みたいに光り輝いている人だとも思っていない。
──でも先ほどおっしゃっていたように、斉藤さんには明るく元気な人だと思われたい気持ちがあって、実際、周りやファンの方々からはまさにひまわりや太陽のような人だと思われているかと。
ありがとうございます。でもミニアルバムの“太陽”というコンセプトがいざ決まったとき、私の中で戸惑いもあったんです。私、みんなのことをちゃんと照らせるのかなって……でも最後にこの「ひまわり」という楽曲をもらったとき、その不安を取り除いてもらえたというか、「このままでいいんだ」と思えたんですよね。アーティストとして1年やってきて「アーティストってなんだろう?」「自分ってなんだろう?」って考えることも多かったんですが、そんなに深く考えないでいいんだな、斉藤朱夏は斉藤朱夏でいいんだなと。ケイさんから直接そう言われたわけじゃないんですけど、この曲の歌詞から勇気をもらいました。とても背中を押された1曲です。
──サビの「強く笑って ひまわり」というフレーズも、きっとケイさんからのメッセージですよね。言い換えると……。
「強く笑えよ、斉藤朱夏」って言われているようなものですよね(笑)。たぶん、「もっと自然に笑えよ」って言われているんだと思います。私、強がってヘラヘラしてるときもたくさんあるんですよ。笑ってないとちょっとやってられないなっていう。だから、この「強く笑って ひまわり」に関しては「自然でいいんだよ」というメッセージが含まれてるのかなって。ケイさんと楽曲を作り始めてから1年経ちましたけど、私のことを近くで見てくれているからこそ生まれた曲なんだろうなと思います。
──リスナーの方々への思いがたくさん詰まったミニアルバムになっていますが、この作品をどういうふうに受け取ってほしいですか?
とにかく「斉藤朱夏が隣にいる」って感じてくれたらいいなと思っています。でも、「斉藤朱夏、また走って行っちゃったわ」という作品にもなっているかも(笑)。そこでみんなも走って来てくれて手をつなげたら、このミニアルバムはきっと完成するんじゃないかな。今までは背中を押していく人間になりたいと思っていましたけど、今はみんなの手を引っ張っていきたいという気持ちが強いんです。この作品を聴いて「今日もがんばろう」という気持ちになってくれたら、すごくうれしいです。