音楽ナタリー Power Push - Ryu☆

古川未鈴対談&ソロインタビューで紐解くベスト盤

日本で一番ビーマニが好きだった

──キャリア初期の頃のお話も伺いたいのですが、Ryu☆さんが「beatmania」でトラックメーカーとしてデビューする以前はどういうふうにこのゲームに触れていたんですか?

Ryu☆

僕が「starmine」で合格した理由って、日本で一番ビーマニが好きだったというところが大きかったんじゃないかなあと思っているんです。うまさは置いといて、好きという感情では日本一だった。

──日本一を自負するエピソードはありますか?

例えばビーマニのPlayStation版が1998年に発売されるんですけど、その発売日が僕の誕生日と一緒なんですよ。10月1日なんです。

──(笑)。でもそれは偶然ですよね。

そうなんですけど、その発売日を見た瞬間に僕は「あ、これは運命なんだな」って思ったんです。もちろんそれだけではなくて、もともと僕は地元の福岡でクラブによく行ってたんですけど、ある日「beatmania」というゲームが登場することを知りまして。それこそ1997年12月10日のゲーム稼働初日に遊びに行って「これは面白い!」と思ったのが出会いですし。

──ビーマニからクラブ文化に足を踏み入れた人が多くいるようですが、Ryu☆さんはその逆なんですね。

そうなんです。だから実際にDJがやってることとは違うなと思っていたんですけど、単純に曲もよかったし、ゲームも面白かったんですよね。ビーマニの公募を知ったのは締切ギリギリだったんですけど、すぐに曲を送って。それで拾ってもらったのが最初ですね。

プロデューサーとしての活動に力を

──目標としていた7枚のオリジナルアルバムとキャリアと総括するベスト盤をリリースしたわけですが、今後の目標はあるんですか?

Ryu☆

今回のベスト盤は「明日死んでもいいくらいの心構えで作ろう」って決めていたので、今はちょっと燃え尽きていて……。だから先のことをまったく考えていないんですよね(笑)。次の展開は見えていないんですけど、これから力を入れていきたいなと考えているのは、プロデューサーとしての活動ですね。「EXIT TUNES DANCE PARTY」のようなイベント開催の裏方だったり、公募企画のようなクリエイターを目指している方への道筋を作ったり。あとは音ゲーシーンをもっと広げるために自分が今できることをしたいですね。

──トラックメーカーとしての活動も継続はしながら、ですよね?

もちろん、オファーがある限りはやらせていただきます(笑)。だから本当に時間が足りないですね。曲を作って、イベントの調整して、ステージにも立つわけですから。ただ今の若手陣、かめりあやP*Lightといった面々がしっかり実力を持ってますから、若い世代に受け継ぐものはしっかり託していこうと思ってるんですよね。これからのシーンを担う彼らがしっかり育っているのは、僕にとって喜ばしいことですね。

──3月に東京・豊洲PITで開催されるライブイベント「EXIT TUNES DANCE PARTY 2016-SOUND VOLTEX FLOOR ANTHEM & beatnation summit-」では、それこそP*Lightさんら若い世代のトラックメーカーたちと肩を並べるわけですからね。

去年より会場がさらに大きくなりまして。今回は「beatmania」の作家だけでなく「SOUND VOLTEX」の作家陣にも参加してもらうんです。それこそ10代から20代のトラックメーカーも登場しますから、僕としても彼らのパフォーマンスは楽しみですね。若手にはやっぱり勢いがありますし、昔だったら作り手やエンジニアさんだけが持っていた技術や経験みたいなものがあったんですけど、今の若い世代は情報交換も盛んですから、すぐに情報を共有してお互い高め合っている。すごく賢いんですよね。まあだからといって、競演者としてイベントで負けるわけにはいきませんけど(笑)。

ライブ情報
EXIT TUNES DANCE PARTY 2016-SOUND VOLTEX FLOOR ANTHEM & beatnation summit-

2016年3月5日(土)東京都 豊洲PIT
OPEN 14:00 / START 15:00
<出演者>
dj TAKA / DJ YOSHITAKA / Sota Fujimori / L.E.D. / kors k / 猫叉Master / Ryu☆ / DJ TOTTO / PHQUASE / RoughSketch / P*Light / かめりあ / OSTER project / Hommarju / VENUS / TAG / wac / Cody / U1-ASAMi / SUPER STAR満-MITSURU- / BlackY / Yooh / C-Show / cosMo@暴走P / 源屋 / kamome sano / lapix / siromaru / MAD CHILD / Daisuke Ohnuma / kanone / t+pazolite / 黒魔 / Team Grimoire / はるなば / Hate / Brilliance / ginkiha / Ayatsugu_Otowa / nora2r / Shiron / ke-ji / Yu_Asahina / 上村香月 / かぼちゃ / SOPHY / みゅい / ぁゅ / みかん汁 / Kuroa* / SOUND HOLIC / ビートまりお / ARM(IOSYS) / Mayumi Morinaga / Prim / Dai. / Yossy / Starving Trancer / Xceon / and more
Laser Show Designer:MIU
VJ:MotionCombat

Ryu☆(リュウ)
Ryu☆

男性ダンストラッククリエイター。2000年、コナミの音楽ゲーム「beatmania IIDX 3rd style」の公募に送った楽曲が同ゲームに採用され、以来「beatmania」シリーズの主力トラックメーカーとして活躍。2009年にRyu☆名義の1stアルバム「starmine」を発表して以来、ゲームのサントラを多数手がけている。またその一方でトラックメーカーStarving Trancerとプロデューサーユニット、Another Infinityを結成。「beatmania」シリーズに楽曲を提供するほか、女性ボーカリストDaisy×Daisyの歌うテレビアニメ「FAIRY TAIL」のオープニングテーマ「永久のキズナ」を制作し、Another Infinity feat. Mayumi Morinaga名義でアニメ「ゆゆ式」エンディングテーマ「Affection」を発表している。2016年2月、ベストアルバムとして「Ryu☆BEST -STARLiGHT-」「Ryu☆BEST -MOONLiGHT-」の2作品を同時リリースした。