音楽ナタリー Power Push - RYO from ORANGE RANGE

ソロデビューして気付いた俺の役割

ORANGE RANGEのボーカルRYOがソロデビューアルバム「DELIGHT」を9月16日にリリースする。本作には、昨年配信限定でリリースした「Tim Don!-Don!」のアルバムミックスや、私立恵比寿中学への提供曲「夏だぜジョニー」のセルフカバー、元キマグレンのISEKIとの共作曲「Whisper feat. ISEKI」など全13曲を収録。サウンドプロデューサーにORANGE RANGEの作品でもおなじみのシライシ紗トリを迎え、1人のボーカリスト、そしてアーティストとしてのカラーを打ち出している。今回音楽ナタリーではアルバムのリリースを機に、今なぜソロ活動をするのかなど、アーティストRYOのスタンスについて聞いた。

取材・文 / 石角友香 撮影 / 中島未来

自分を客観的に見る大切さに気付かせてくれた

──RYOさんがソロでやってみたい気持ちが起こったのはいつ頃なんですか?

RYO

最初は、2年前にトラックメーカーのDJ KEINと出会ったくらいの時期なんですけど、その頃から1人でイベントには出ていて。そこから去年配信した「Tim Don!-Don! Feat. DJ KEIN」につながったんです。最初に出すならこの曲だろうということで。

──そのときにアルバム制作も視野に入れていたんでしょうか。

最初はライブしか想定してなかったんです。でも、もし作るなら「ライブでやってる曲を出そう」とは思っていて。そこから、今度はシライシ(紗トリ)さんに再会するんです。

──シライシさんとタッグを組むのは6年ぶりぐらい?

そうですね。やりとりはちょいちょいあったんですけど、シライシさんから「じゃあやろうよ!」って言葉をもらったことで、「ああ、ここだ! ここで作らなきゃ」と思って、本決まりになりましたね。

──シライシさんをサウンドプロデューサーに迎えた理由は?

以前一緒にやってた頃から、絶対的な信頼があるし、師匠みたいな人なんですよ。自分の中から新しいテイストを導き出してくれたりするので。このアルバムに入ってる「GLAMOROUS RIDDIM」もそうだったんですけど、ちょっとファンクテイストというか。俺、そういうの全然聴いてなかったんですけど、シライシさんが「これもいいよ、これもいいよ」っていろんな人の音楽を教えてくれたときに、それらが全部好きだったんです。「EDMはちょっと……」って食わず嫌いだったのも、シライシさんが要所要所で聴かせてくれるので最終的に好きになってたし。

──「Pump it up」なんて思いっきりEDMですからね。

RYO

そう(笑)。アルバムの構想をシライシさんと練ってたら、 完全にテンション上がっちゃってこの曲ができました。いろんな発見をさせてもらいましたね。

──いろんな発見をさせてもらえるというのは、ORANGE RANGEのプロデュースを手がけていた時期もそうだったんですか?

うん、もうずっとそうです。自分をボーカリストとして成長させてくれた人なので、完全に信頼があります。しかも俺の言うこともちゃんと立ててやってくれる、対等の立場でやってくれるプロデューサーなので。まあデビューしたての頃はプロデューサーなんて偉い人だし、「なんでしたいようにさせてくれないんだろう?」みたいに思ってた時期もありましたけど。いつ頃かな? レンジのアルバムで言えば「ИATURAL」(2005年)、俺が20歳ぐらいの頃だと思うんですけど、ちゃんと俺たちとハンドルを一緒に握りながら、バンドの世界を広げて、新しいテイストを入れてくれていることに気付いて。

──EDMの話からもわかる通り、その時代時代のものを持ってきて、その人の個性に寄せてくれる?

そうですね。 そしてそれだけでなく、自分を客観的に見ることの大切さに自分で気付けるように導いてくれた気もします。

実は自分の中に「シュール」という要素はない

──ソロではどんな方法で曲作りをしているんですか?

RYO

だいたいレンジと一緒で、まず音を決めてサビから作って、そのあとAメロ、Bメロって作っていきますね。サビがピークになるように考えるから、1曲につきサビは2つ、3つ作るようにしてますね。

──このアルバムを聴いて、RYOさんってR&Bやヒップホップ系のキャッチーな曲がうまいなと分かったんですが。

あ、それ、自分でも思ったんですけど、たぶんレンジの中で一番ポップスが大好きかもしれない。このアルバムを聴いて「わかりやすいのが好きだな」って、客観的に思いました。

──それは分かりやすいものを作ろうとしたわけじゃなくて、結果的にですか?

というか、そういうふうにしか作れなかったんです。自分でも「ああっ! 俺って分かりやすい曲しか作れないんだ 」って感じです。強引に自分の色を突っ込むっていうのは、もうあんまりやらなくなってて。ライブやお客さんの盛り上がりを考えたら分かりやすくやったほうがいいなって、結局自然とそうなっていくんですよね。

──比べて申し訳ないんですが、レンジは今回のニューアルバム「TEN」も振り切り方が半端ないというか。

そうですね(笑)。

──それと比べるとRYOさんのソロはいい意味でJ-POPに聴こえるんですよ。

はいはい。よかったっすわー。実はシュールとか、ちょっとひねったとかいう要素は、あんまり自分の中にないものだったので、ORANGE RANGEのメンバーといて「やっとそのよさがわかってきた」ぐらいのレベルなんです。どっちかというとストレートにバーン!と出すほうが好きだったりするんで、逆にストレートなものに飢えていたのかもしれないですね。

──飢えてくるものなんですね(笑)。

そう(笑)。当たり前のことがいい。あとは、自分のソロ活動をレンジの新しい入口にしたいっていう気持ちもあるので。だから、歌う場所もクラブイベントだったり、ちょっと違うことをやったほうが、聴いてる人も楽しいかな、というのはあります。

ニューアルバム「DELIGHT」 / 2015年9月16日発売 / 日本クラウン
[CD] 3000円/ CRCP-40429
収録曲
  1. ~DELIGHT~
  2. Pump it up
  3. GLAMOROUS RIDDIM
  4. 夏だぜジョニー
  5. 愛のキセキ with 果山サキ
  6. Whisper feat. ISEKI
  7. SHAKE IT
  8. Go! Go!
  9. Tim Don!-Don!(DELIGHT MIX)
  10. pa mai ti-da feat. Kina & Kalani
  11. DRIVE feat. N.O.B.U!!!
  12. My Love
  13. GLAMOROUS RIDDIM -REPRISE-

※「pa mai ti-da feat. Kina & Kalani」の最初の「a」は長音記号付きが正式表記となります。

フリー・ミニLIVE & CD購入者特典会
2015年9月19日(土)東京都 タワーレコード渋谷店9F TOWER RECORDS SKYGARDEN
START 15:30
RYO from ORANGE RANGE "DELIGHT" RELEASE PARTY
2015年9月19日(土)東京都 UNIT / SALOON
START 23:00
前売:3500円 / 当日:4000円
<出演者>
DELIGHT FLOOR
LIVE:RYO from ORANGE RANGE / ISEKI / N.O.B.U!!! / 果山サキ / Kina & Kalani / 大志 from 1 FINGER / Do The Right Inc
DJ:大蔵 from ケツメイシ / DJ KEIN / DJ NIRAI
LIVE PAINT:Kento Yukizaki
SALOON(brix FLOOR)
DJ:naotohiroyama / MOA(CARIZMA) / Lichard(from OKINAWA) / ui_nyan / SIEGZEON / Yu Matsumoto
RYO from ORANGE RANGE
(リョウフロムオレンジレンジ)

RYO from ORANGE RANGE

ORANGE RANGEの低音域ボーカル担当。2014年8月に初のソロ曲「Tim Don!-Don! feat. DJ KEIN」を配信リリースし、「RYO from ORANGE RANGE」名義での活動をスタートさせた。2015年6月には私立恵比寿中学のシングル「夏だぜジョニー」の作詞・作曲・編曲をシライシ紗トリと共同で担当。2015年9月には1stソロアルバム「DELIGHT」をリリースする。