「RUSH BALL」は和気あいあいとしたロックフェス
──では「RUSH BALL 2025」について聞かせてください。1999年に第1回が行われ、2005年からは現在の大阪・泉大津フェニックスで開催されています。関西を代表するフェスですが、皆さんの中ではどんな存在ですか?
GEN ウチのギターのRYU-TAがめちゃくちゃバンドキッズで、10代の頃からライブやフェスに行きまくってたんですよ。そのおかげで「RUSH BALL」の存在も早くから知っていて。自分の中では「Dragon AshやKen Yokoyamaがいつも出ているフェス」というイメージがあったし、ライブハウスの匂いがするフェスだなと。バンドを始めてからもずっと憧れがあって、今こうやって出させてもらえてるのはすごく光栄ですね。あと「RUSH BALL」っていう名前が圧倒的にカッコいい。
橋本 そうっすね(笑)。
GEN 「AIR JAM」(Hi-STANDARDを中心に企画されたロックフェス)もそうですけど、“フェス”が付いてないフェスの名前ってカッコいいなと思うんですよね。自分たちのイベントには「YON FES」って“フェス”が付いてますけど(笑)。名前を付けるとき、実は「『RUSH BALL』とか『AIR JAM』みたいなのがいい」って言ってたんですよ。「YON FES」自体は仮タイトルだったけど、最終的に「もうこれでいいんじゃない?」ってあきらめました(笑)。
橋本 そうだったんですね(笑)。自分はそんなにライブハウスに行くほうじゃないし、フェスがあることも知らなくて。「RUSH BALL」の存在を知ったのもバンドを始めてからなんですよ。今年、初めて出させてもらうんですけど、皆さんのいろんな思いがあるのはわかっているし、下手なことは言えないなという感じがあります。
石原 自分たちは大阪で結成されたバンドというのもあって、「RUSH BALL」は身近な存在です。僕の実家はお盆とかにめっちゃ親戚が集まってたんですけど、それと似ているというか(笑)、知った顔がいっぱいある居心地のいいフェスなんですよね。最初に出させてもらった頃は先輩のバンドに対して恐縮してたんですけど、それこそGENさんがつないでくれたり。猪狩(秀平 / HEY-SMITH)さんと初めて会ったのも「RUSH BALL」だし、「Saucy Dogは熱いものを持ってるバンドだ」と思ってもらえるきっかけになったんじゃないかなと。
谷口 バックヤードも和気あいあいとしていて、みんなその空気を満喫している雰囲気がある。そこはバンドマン全員が感じてることじゃないかなと。個人的には「地元のフェス」という感覚が強いですね。そこにあぐらをかくんじゃなくて──もちろん毎回出られるチャンスがあるわけではないので、しっかりと胸を張って「ホームのフェスです」と言えるようになりたいという思いがずっとあります。
「RUSH BALL」の思い出
──KANA-BOONのキャリアにとっても大事なフェスですよね。初出演は2013年。ATMC(サブステージ)のクロージングアクトでした。
谷口 サカナクションがメインステージの大トリをやったあと、お客さんたちの帰り道にあるステージでやらせてもらたんです。「立ち止まってくれるかな?」という心配もあったんですけど、「お、KANA-BOONってどんなもんかな?」という感じでけっこう足を止めてくれて。めちゃくちゃうれしかったし、「RUSH BALL」のお客さんは垣根なく楽しんでくれるんやなって実感しましたね。
──そして2022年には初めてメインステージの大トリを務めました。
谷口 2022年のラインナップは同世代のバンドが多かったから、けっこうプレッシャーでしたね。朝からずっと会場にいて、みんなの気持ちを全部持ってステージに立とうと思って。だいぶ気負ってました。Saucyがトリ前だったんですけど、ずっと一緒にいてくれて。
石原 俺もいてもたってもいられなくて、朝からずっとライブ観てました。
GEN トリとトリ前のバンドが朝イチから会場にいたんだ(笑)。
谷口 そうそう(笑)。なんとか気合いでやり切りました。「RUSH BALL」の皆さんも“バンドのストーリーを完成させる”みたいな気持ちを持ってくれてたと思うし、それも“ライブハウスからフェスへ”“フェスからライブハウスへ”というコンセプトに通じているのかなと。バンドを後押ししてくれるフェスだと思います。
──確かに。2022年はまだコロナの影響があった時期ですよね。
GEN 「RUSH BALL」はコロナ禍でもずっと開催してましたからね。特に2020年は音楽シーン全体が沈んでましたけど、「RUSH BALL」はやれる方法をめちゃくちゃ模索して。
橋本 新しいやり方を作り出したというか。
GEN うん。僕らもフェスを主催させてもらってるので、開催に至るまでの準備がどれだけ大変だったかわかって。「RUSH BALL」が開催されたときは、感慨深い気持ちになりました。
──そして一昨年、去年は「RUSH BALL」にとって苦難の年でした。2023年は初日(8月26日)が雷雨の影響で中止。去年は台風の影響で2日間とも中止になりました。
谷口 すげえ悔しかったですけど、お客さんの安全が一番大事ですからね。
GEN うん。もちろん「どうにかして開催したい」という気持ちは強かったと思いますけど、中止の決断をしたのはすごいと思います。
谷口 すぐに「来年に向けて力を溜めておこう」という気持ちになりましたね。
幅広い世代のバンドが集結する2日間に
──「RUSH BALL」は今年がリベンジの年ですね。しかも初日(8月30日)のKANA-BOON、クリープハイプ、[Alexandros]という並びは2024年に予定されていたラインナップと同じという。
谷口 そうですね。パワーアップした姿を「RUSH BALL」で観てもらえるのもうれしいし、クリープハイプ、[Alexandros]もそれぞれの思いでリベンジしてくるんじゃないかなと。
石原 僕らも初日なんですけど、同世代のヤングスキニー、シンガーズハイもいて。先輩たちに少しでも追いつけるようにがんばりたいですね。
──フォーリミ、ハルカミライが出演する2日目(8月31日)は、BRAHMAN、Dragon Ash、MONOEYES、SiM、The BONEZなどが出演します。
橋本 ゴリゴリに強いバンドばっかりですよね。
GEN TOSHI-LOWさん、Kjさん、細美武士さん、JESSEさんだからね。
橋本 そこにどう食らいついていくか? どれだけ爪痕を残せるか? ですよね。自分たちの普段からのマインドとして、先輩バンドには「こいつらが同世代じゃなくてよかったわ」と言われたいし、同世代には「こういうライバルがいてよかった」と思われるようなライブをしたくて。「RUSH BALL」にもそういう気持ちで臨みたいと思ってます。ATMCステージには対バンしたことがあるバンドもけっこう出てるし、負けないようにやりたいですね。
GEN このラインナップを見ると、「俺ら、まだ後輩なんだ?」って思います(笑)。上の世代のバンドを見ると「この人たち、いつまでカッコいいんだよ」と思うし、自分たちも「世代交代しないと」くらいの気持ちでやらないと。今は全国各地にいろんなフェスがありますけど、主催者や主催している会社の私情が見えるフェスが好きで。そのときに人気があるバンドを集まれば成功しやすいかもしれないけど、「RUSH BALL」は出演しているバンドのストーリーとか、バンドと主催者の関係性が見えてくるのがいいなと。さっきも言ったように“ライブハウスからフェスへ”“フェスからライブハウスへ”というところも貫かれてるし、普段からライブハウスを熱くさせてるバンドも出てますからね。あと、会場の泉大津フェニックスはかなりデカい音が出せるんですよ。デカけりゃいいってもんでもないけど(笑)、やっぱり気持ちいいですよね。とにかく大好きな先輩たちにぶつかっていけるのがうれしいです。
谷口 自分たちとしてはピリッとしたいと思ってるんですよ。もしかしたらお客さんは「こんな感じの日かな」と思ってるかもしれないけど、フワフワやってもしょうがないというか。後輩のバンドもいるし、2日目に負けないくらいのエネルギーを持ってやりたいですね。
石原 ヒリヒリさせたいという気持ちはありますね。両日来るお客さんに、31日の体力を残させないくらいのライブをやりたいです。
公演情報
「RUSH BALL 2025」
2025年8月30日(土)大阪府 泉大津フェニックス
<出演者>
MAINステージ
[Alexandros] / cinema staff / go!go!vanillas / KANA-BOON / Saucy Dog / w.o.d. / クリープハイプ / シンガーズハイ / ハンブレッダーズ / ヤングスキニー / 梅田サイファー(オープニングアクト)
ATMCステージ
Haze / Laura day romance / Q.I.S. / ZION / えんぷてい / ちゃくら / チョーキューメイ / 超☆社会的サンダル / にしな / (夜と)SAMP
2025年8月31日(日)大阪府 泉大津フェニックス
<出演者>
MAINステージ
BRAHMAN / Dragon Ash / MONOEYES / SCAFULL KING / SiM / The BONEZ / THE ORAL CIGARETTES / 04 Limited Sazabys / ハルカミライ / KUZIRA(オープニングアクト)
ATMCステージ
bokula. / COPES / LAST ALLIANCE / Rhythmic Toy World / SHADOWS / THE FOREVER YOUNG / カメレオン・ライム・ウーピーパイ / 神聖かまってちゃん / つきみ / トップシークレットマン
プロフィール
04 Limited Sazabys(フォーリミテッドサザビーズ)
2008年に愛知県名古屋市にて結成された、GEN(B, Vo)、HIROKAZ(G)、RYU-TA(G, Cho)、KOUHEI(Dr, Cho)によるロックバンド。2013年5月に発表した2ndミニアルバム「sonor」より日本語詞を多く取り入れ、楽曲の幅を広げる。メロディックパンクやギターロック、ラウドロックなど、さまざまなジャンルのバンドと競演を重ね、2016年から主催フェス「YON FES」を開催している。2025年6⽉に8回目となる主催フェス「YON FES」を2DAYS開催し、成功を収めた。11月8、9日には東京・TOYOTA ARENA TOKYOにてアリーナ単独公演「YON EXPO'25」を開催する。
04 Limited Sazabys OFFICIAL WEB SITE
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ハルカミライ
橋本学(Vo)、須藤俊(B, Cho)、関大地(G, Cho)、小松謙太(Dr, Cho)からなるバンド。2012年に八王子で結成された。2016年7月にTHE NINTH APOLLOに所属を発表し、2017年2月に初の全国流通盤「センスオブワンダー」を発売した。2019年1月に1stフルアルバム「永遠の花」でメジャーデビューして以降も精力的なライブ活動を続け、2023年には2月と12月に東京・日本武道館公演を行った。2025年2月に4thフルアルバム「生きるとは鼻くそくらいの希望を持つことだ」を発表。5月から2026年2月まで全国ツアー「ヨーロー劇場 2025-2026 47都道府県ワンマンツアー -BOOGER JOE-」を開催中。
ハルカミライ (@harukamirai_info) | Instagram
Saucy Dog(サウシードッグ)
石原慎也(Vo, G)、秋澤和貴(B)、せとゆいか(Dr, Cho)からなる3ピースバンド。2013年11月に結成され、2016年8月より現在の体制で活動をスタートさせる。「MASH FIGHT!vol.5」でグランプリを受賞。2019年4月に大阪・大阪城音楽堂、東京・日比谷公園大音楽堂(日比谷野音)でワンマンライブ、2021年2月に初の東京・日本武道館単独公演を開催した。2022年12月に「第73回NHK紅白歌合戦」に初出場し、「シンデレラボーイ」を披露。2023年3月から1年間限定で石原の出身地・島根の松江駅の発車メロディに「優しさに溢れた世界で」が採用される。2025年4月から8月にかけてホールツアー「Saucy Dog HALL TOUR 2025 ONE FOR hALL, hALL FOR ONE one TOUR」を開催。8月に公開される映画「映画クレヨンしんちゃん 超華麗!灼熱のカスカベダンサーズ」の主題歌を担当する。
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KANA-BOON(カナブーン)
谷口鮪(Vo, G)と遠藤昌巳(B)からなる大阪・堺出身のロックバンド。2012年に参加した「キューン20イヤーズオーディション」で4000組の中から見事優勝を射止める。2013年4月には活動の拠点を東京に移し、同年9月にシングル「盛者必衰の理、お断り」でメジャーデビューを果たす。2018年にはメジャーデビュー5周年企画として、新作のリリースやライブイベントの開催を5シーズンにわたり展開するプロジェクト「KANA-BOONのGO!GO!5周年!」を展開した。2022年4月に新メンバーとして遠藤が加入。2023年6月、テレビアニメ「山田くんとLv999の恋をする」のオープニングテーマ「ぐらでーしょん feat. 北澤ゆうほ」を含むラブソング縛りのコンセプトアルバム「恋愛至上主義」を発表。同月から8月にかけて対バン形式のライブツアー「KANA-BOON Jack in tour 2023」を行った。2025年7月にテレビアニメ「Dr.STONE SCIENCE FUTURE」第2クールのオープニングテーマ「SUPERNOVA」を発表。2026年2月から7月まで47都道府県ツアーを行う。
KANA-BOON OFFICIAL SITE|FANCLUB「カナブーンメイト」