恋人同士になるには
佐々木 リハのあとに2人で磯丸水産でごはんを食べて、一緒に泊まったんですよね? 相手役の人とそこまで時間をともにするのは今回が初めてでしたか?
長妻 初めてでした。僕、いわゆるボトム(受け)の役が初めてで、どういうふうになるのか想像がつかなかったんですよ。それで演出やお芝居の指導の方に聞いてみたら、「相手のことを本当に好きになるのが一番早い」と言われて。「なるほど。撮影中にお互いのことを知っていけばいいのか」と思いつつも、「じゃあ、最初に撮るシーンはどうするんだ?」とまた別の疑問が湧いてきたんです。そうやって悩んでたら、ちょうど本読みで曉と会う機会があって。その日が会うの2回目くらいだったよね?
鈴木 うん、そうだったと思う。
長妻 終わったあとLINEグループで「今からごはん行ける人いる?」と聞いたら、曉が「行ける」と返事をくれて。そこから2人で磯丸水産に行って、貝をめっちゃ焼きました。
鈴木 すごかったですよ。最初から最後まで、貝縛り!
佐々木 ポッドキャストで「快は貝を焼くのがうまい」って言ってましたよね? 特につぶ貝を焼くのが上手だと。
鈴木 マジでうまいんですよ! あんなおいしい貝、初めて食べました。
長妻 つぶ貝をホタテの貝殻の上に全部出して、醤油とバターで一緒に焼くとめっちゃうまいんですよ。
鈴木 そうやって、もてなしてもらいました。磯丸水産で、さっき玲央が言っていたような話を2人でしたんですよ。「急に恋人同士になるのは難しいよね」とか「綾野剛さんと妻夫木聡さんは役作りのために一緒に住んだっていう話を聞いたことがあるよ」とか。そしたら彼が「じゃあ泊まろっか。うち来ていいよ」と言ってくれて。
大野 すごい! そこで泊まることになったんですね。
木田 そういうときって、ちょっとカップル感を出しながら過ごすんですか?
長妻 いろいろなやり方があるらしいんですけど、僕らはもともとお互いを知っていて関係性があったので、普通に友達としてうちに呼びました。
鈴木 彼は僕よりも演技の経験があるので、一緒に台本を読んだり、セリフを入れるコツを教えてもらったりしました。泣き方の講座も開いてくれて。
佐々木 涙が大事な作品ですもんね。
長妻 そうですね。涙を流すシーンはいっぱいありました。快はコミュニケーションにすごく臆病になってしまっているんですよ。それには過去の出来事が関わっていて、恋愛からも距離を置いているんだけど、自分がつらい思いをしたからこそ、相手の嫌なことはしないような、誰にでも優しく接する人になった。それなのに風磨にはすごく強く当たるんですよね。最初は風磨を遠ざけるためなんだけど、だんだんそうじゃなくなっていくから、僕は「あっ、この人には心を許してるのかな」というふうに解釈して。
鈴木 うんうん。
長妻 そのコントラストを大事にしながら演じる中で、涙を流すようなシーンは確かにたくさんありました。
第1稿は風磨と快の歌詞だった
佐々木 主題歌の「Inside you」を書き下ろすにあたって、「どこを軸に曲を作ろう?」と考えながら原作の「Love in The Air」を観ていたんですけど、SkyとPrapai=快と風磨の関係性が軸になったのは間違いなくて。
鈴木 えっ、うれしい!
長妻 歌詞を見て「もしかしたら」と思っていたんですけど、本当にそうだったんですね!
佐々木 2人が涙しながら思いを言い合うシーンが僕には一番響いて。この感情で曲を書きたいなと思ったんです。僕は、快のように傷を抱えている人に対してなんとか歌を届けられないだろうかと思いながら、バンドを続けているので。風磨が快の心をほぐしていく過程もすごく丁寧で、風磨は快の、快は風磨の尊厳を尊重しているんだなと感じられた。2人の関係性を見ていてグッと熱くなりました。
──「Inside you」は1番で嵐士と玲、2番で風磨と快のことを歌っていますね。
木田 佐々木からもらった第1稿は、最初から最後まで風磨と快の歌詞でした。
長妻 へえー!
佐々木 第1稿は1コーラスだけの状態だったけど、フルコーラスを仕上げていくにあたって、やっぱり4人が出てくる歌にしたいなと。俺が「誰目線で書いたらいいと思う?」とメンバーに相談したときに、木田から「玲から嵐士への言葉と、風磨から快への言葉を歌詞にするのはどう?」と言われたんですよ。心に闇が見えるほうに向けて書いてみたらいいんじゃないかという話だったよね?
木田 うん。2組のカップルに共通するのは“孤独”で、嵐士と快が救われる側、玲と風磨が救う側なんじゃないかと思ったんです。嵐士は人と真剣に向き合おうと思っても相手が離れていっちゃうことが多くて、「この人だ」という人に出会えていなかった。だけど玲に出会って救われた。快は過去の経験から臆病になってしまっていたけど、風磨に包み込まれることで、ほぐされて救われた。そういう関係性を佐々木が歌詞に落とし込んでくれたという感じですね。
長妻 歌詞はスッと出てきましたか? それともけっこう悩みましたか?
佐々木 曲のきっかけになった風磨と快についてはわりと書きやすかったけど、嵐士の孤独を表現するのが難しくて。でもメンバーといろいろ話したり、全話観終えてからまた前半に戻って「これはこういうことだったのかな?」と自分の中でストーリーを膨らませていったりする中で、少しずつ孤独を見つけられた。
木田 この主題歌、1~4話では1番が流れて、5~8話では2番が流れるんですよ。
佐々木 元からそう決まっていたわけではなくて。監督さんたちが曲を聴いて、そうしてくれたんです。だから、僕らの気持ちを汲んでもらえたことがすごくうれしくて。
鈴木 そうですよね。
佐々木 なので、トライしてよかったです。主人公たちを表す「嵐」「雨」「空」「風」という言葉を入れるのも、ちょっと露骨すぎるかなと思ったんですよ。だけど絶対一度はトライするべきだと思ってやってみたら、いい表現ができてよかったなと。
鈴木 無理に歌詞に入れている感じがしないですよね。Bメロラストの「雨になって一緒に泣くから」という歌詞、本当にスッと入ってたし、俺、佐々木さんの歌う「て」の響きが好きだなと思いました。
佐々木 うれしい。
「イントロを聴いた瞬間、あの4人の顔が思い浮かんだ!」と言ってもらいたい
鈴木 トラックの話になってしまうんですけど、Aメロの「ドゥンドゥン」っていうギターもいいですね。
長妻 聴いてるとめっちゃワクワクするよね。このイントロ、ちょっと懐かしくて「これぞ主題歌!」という感じがする。情緒を感じさせるアルペジオから曲に入っていくから、歌詞もスッと入ってきますし。
木田 Aメロのギターはブリッジミュートと言うんですけど、あれを入れると、歌っている人と聴いている人が1対1になる感覚があって。ギターと歌だけになる分、言葉に集中して聴いてもらえる。語りかけるようなテンションにしたいときは、こういうアレンジにすることが多いです。
鈴木 へえ。勉強になります!
木田 「懐かしい」と言ってもらえたのもうれしいな。最近の音楽には、歌えるイントロが多いなと思うんですよ。パッと口ずさめるくらいフレーズがキャッチーだったり、覚えやすいように同じフレーズを繰り返していたり。だけどこの曲は主題歌だから、楽曲の世界観からドラマの世界観へときれいに流れていくことが大事。だったらイントロは歌えなくてもいい、覚えてもらえなくてもいいと思いながら作りました。それで懐かしく感じてもらえたのかな。
長妻 なるほど。
大野 曲を聴いたらその作品が観たくなる。そんな主題歌にしたかったんですよね。例えばYOASOBIの「アイドル」(アニメ「【推しの子】」主題歌)や、マカロニえんぴつの「リンジュー・ラヴ」(ドラマ「100万回 言えばよかった」主題歌)のように。僕自身いち視聴者としてアニメやドラマを観ながら、そういう曲っていいなと思っていたんです。ドラマから入って曲を聴いた人にとっても、曲から入ってドラマを観始めた人にとっても、しっくりくる曲になっていたらいいな。我々の「Inside you」を聴いて「Love in The Air-恋の予感-」を観たくなったという人が増えたらうれしいです。
鈴木 改めて、めちゃくちゃいい曲をありがとうございます!
長妻 ありがとうございます!
木田 特に聴いてもらいたかった2人から直接感想をもらえてうれしかったです。
長妻 「lowkey」もめっちゃカッコいいですよね。
鈴木 うん、すごく素敵。ティザーで聴かせていただいたんですけど、早く本編を観たくなるようなワクワク感がありました。
長妻 やっぱり主題歌とドラマは切っても切り離せないなと感じています。今日一緒にお話しして、リアクション ザ ブッタの皆さんも「Love in The Air-恋の予感-」に寄り添って曲を作ってくれたんだなと知ることができました。同じように僕らも全力でお芝居させていただいたので、これはいい作品になる予感しかしないなと。
鈴木 快と風磨の恋愛ストーリーを皆さんにも楽しんでいただけたらうれしいです。ちょっと濃厚なシーンも撮っているので、それもお楽しみに。
佐々木 僕らも完成した映像はまだ観ていないのですごく楽しみです。例えば「イントロを聴いた瞬間、あの4人の顔が思い浮かんだ!」と言ってもらえるような関わり方が音楽を通してできていたらうれしいですね。
大野 とにかく作品と曲を楽しんでいただきたいよね。
佐々木 うん。切にそう思う。
木田 僕ら17年バンドやってて、こないだようやくメジャーレーベルからリリースできたんですよ。今回の「Inside you」はメジャー移籍後初のタイアップ主題歌。テンションもモチベーションも上がった状態で、渾身の1曲ができたなと思っています。作品とともに、音楽も楽しんでいただけたらうれしいです。
公演情報
リアクション ザ ブッタ ONEMAN TOUR 2025
- 2025年2月11日(火・祝)愛知県 ElectricLadyLand
- 2025年2月22日(土)広島県 広島セカンド・クラッチ
- 2025年2月23日(日)香川県 DIME
- 2025年3月1日(土)北海道 PLANT
- 2025年3月8日(土)福岡県 DRUM SON
- 2025年3月9日(日)大阪府 Shangri-La
- 2025年3月15日(土)宮城県 enn 2nd
- 2025年3月20日(木・祝)東京都 LIQUIDROOM
プロフィール
リアクション ザ ブッタ
佐々木直人(B, Vo)、木田健太郎(G, Cho)、大野宏二朗(Dr)からなる3ピースロックバンド。2009年に行われたバンド選手権「TEENS ROCK IN HITACHINAKA 2009」で最優秀賞を受賞し、同年夏に開催されたロックフェス「ROCK IN JAPAN FES.2009」への出演を果たす。2010年に初のアルバム「MORATORIUM」を自主制作し、ライブ会場限定盤としてリリース。2014年にはバンドオーディション「RO69 JACK」で優勝した。2017年には「SANUKI ROCK COLOSSEUM」「HAPPY JACK 2017」「NUMBER SHOT 2017」「ap bank fes 2017」などさまざまなライブイベントに出場し、その知名度を高めていく。2024年5月にベストアルバム「REACTION THE BEST」をSACRA MUSICよりリリース。最新作はFODドラマ「Love in The Air-恋の予感-」の主題歌としても話題となっている、2024年11月リリースの「Inside you」。2025年2月から3月にかけてライブツアー「リアクション ザ ブッタ ONEMAN TOUR 2025」を行う。
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南雲奨馬(ナグモショウマ)
2002年2月20日生まれ、東京都出身の俳優、モデル、DJにして、現役の建築士でもある。テレビ東京系ドラマ「みなと商事コインランドリー」やMBSほかドラマ「教祖のムスメ」に出演。海外発のファッションやビューティ情報を発信する「ELLEgirl」発のメンズユニット・UNIboysとしても活躍中。ドラマ「Love in The Air-恋の予感-」では早瀬嵐士を演じている。
南雲 奨馬 (@shoma8108) | Instagram
濱屋拓斗(ハマヤタクト)
1999年1月20日生まれ、富山県出身の俳優、アーティスト。BSフジ系ドラマ「ウイスキペディア」やミュージカル「テニスの王子様」に出演。ドラマ「Love in The Air-恋の予感-」では雨宮玲を演じている。メンズアイドルグループ・禁断の方程式のメンバーとしても活躍している。
濱屋拓斗 - TAKUTO HAMAYA / 有限会社アーティストボックス
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濱屋拓斗(Hamaya Takuto) (@takuto_hamaya) | Instagram
鈴木曉(スズキアサヒ)
1998年2月15日生まれ、宮城県出身の俳優、アーティスト。テレビ東京系ドラマ「イケメン共よ メシを喰え」に出演。ドラマ「Love in The Air-恋の予感-」では河合風磨を演じている。男性ダンス&ボーカルグループ・WATWINGのメンバーとしても活躍しており、Date fm「SESSION! ~WATWING EDITION~」にレギュラー出演中。
鈴木 曉 / moni (@asahi_watwing) | Instagram
長妻怜央(ナガツマレオ)
1998年6月5日生まれ、茨城県出身の俳優、アーティスト、モデル。TOKYO MXドラマ「その結婚、正気ですか?」「Sugar Sugar Honey」などに出演。ドラマ「Love in The Air-恋の予感-」では空野快を演じている。7ORDERのメンバーとしても活躍中。