カッコいいセリフをさらっと言えちゃう
佐々木直人(B, Vo / リアクション ザ ブッタ) お二人は撮影が終わってからも、仕事で一緒になることってあるんですか?
長妻怜央 わりとありますね。こういう取材もそうですし、こないだはTBS系「究極の男は誰だ!?最強スポーツ男子頂上決戦2024秋」(10月放送)の収録で一緒でした。
大野宏二朗(Dr / リアクション ザ ブッタ) 「筋肉番付」シリーズの番組ですよね? 体育大会みたいな。
鈴木曉 そうです。池谷直樹さん監修で、ケイン・コスギさんも出演されてて。
佐々木 ケイン・コスギさん! マジですか! 俺らめっちゃ世代なんですよ。
大野 俺、ケイン・コスギさんが跳び箱を跳ぶのを泣きながら見てましたもん。20段以上あって「いけるか?」みたいな雰囲気になるけど、それでもバーンと跳んでいく。それを見て「やったー!」と言いながら、気付いたら涙が……。
鈴木 ケインさん、めっちゃカッコよかったです。
大野 いいなあ、会いてえ……!
木田健太郎(G, Cho / リアクション ザ ブッタ) 放送されたら絶対観よう(※取材は9月下旬に実施)。
長妻 「何の話?」って感じですけど。脱線しちゃってすみません(笑)。
──いえいえ。ではまず、オリジナルの「Love in The Air」に対する皆さんの印象を教えてください。
鈴木 僕は河合風磨を演じていて、オリジナルではPrapaiという役名なんですが、Prapaiさんを見て、自分と似ているなと思いました。明るくて、ちょっと遊び人で、一見性格が悪いんですけど。
長妻 そこが似ていると?(笑)
鈴木 誤解を呼ぶか(笑)。PrapaiさんはSkyと出会って変わっていくんですけど、この変化を自分はどう演じようかと考えながら観てました。「Love in The Air」は1つの作品の中に2つのストーリーがあるのが魅力ですよね。しかも2つとも違う恋愛が描かれていて。
佐々木 BGMや効果音も含めて最初はポップなシーンが目立つけど、どんどん深い愛の話になっていくというグラデーションも印象的でした。タイのドラマの特質なのかわからないですけど、男性同士の恋愛が自然と進行していくじゃないですか。周りも「そうなんだね」と受け入れていて、特別驚いたりしない。それがあちらのスタンダードだとしたら、そこが日本との違いなのかなと。壁がない分ポップに観られるし、深い話もすごく入ってきやすかったです。あと、男性同士が絡むシーンもがっつりあるじゃないですか。そういうの観たことなかったから「すごいぜ……」って(笑)。
長妻 (笑)。日本のドラマに出てくる人たちはもうちょっと内気なイメージがありますけど、「Love in The Air」の登場人物たちはすごくオープンで。そこが海外の作品ならではのポイントなのかなと思いつつ、みんな自分の気持ちをちゃんと伝えることを大事にしているから、僕は安心して観られました。「もう修復不可能なんじゃないか?」というくらい思いっ切りケンカすることもあるけど、変なこじれ方をしないから観ていて気持ちいいんですよ。
木田 わかります。「一応仲直りしたけど、ずっと引きずっている」みたいなことがないというか。解決したら「もう乗り越えたね」って、2人してすっきりしている感じがありますよね。あと、「僕の妻になる?」みたいなことをけっこうすぐ言うからびっくりしました。みんな素直でまっすぐだから、熱量が上がるのも、相手との将来を考える段階に入るのもすごく早い。
大野 本当にまっすぐだよね。俺は恋愛でも友人関係でもPrapaiのようにまっすぐに伝えられないから、カッコいいセリフをさらっと、はっきり言えちゃうのはうらやましいなと思いました。俺も言ってみたい。
長妻 今度言ってみてくださいよ。
鈴木 これを機にぜひ。僕も普段はキザなこととか全然言えないんですよ。だけど撮影中は特に言いづらいと思わなかったから、風磨になりきっていたのかな。あと、相手役の空野快の返しがうまかったというのもあるかもしれない。
長妻 それは俺がかわいかったってこと?(笑)
鈴木 そうですね、かわいすぎました(笑)。
長妻 僕、風磨さんってマジですごいなと思うんですよ。最初はめちゃくちゃ断られるじゃないですか。いい感じになっても「やっぱり僕なんか……」ってバッドに入っちゃうし。「俺だったらここであきらめるかも」って何回も思ったし、「風磨さんを救いたい」とすら思いました。
木田 職業がレーサーで、常に極限状態で戦っているからメンタルが強靭なのかな?
鈴木 確かにそれもあるかもしれない。命懸けで走ってますからね。あのスピードで走りながら、膝がガーッと擦れるほど地面に近付いて。
大野 膝で距離を測っているらしいですね。曲がりすぎないように。
長妻 レーサーならではの我慢強さもありつつ、風磨はどれだけ断られてもあきらめずに快の心を解きほぐしていく。幸せにしたいと本気で思える人が現れると、人はああやって愛を伝えるんだなと感動しました。
「Love in The Air-恋の予感-」から生まれた曲はほかにも
──鈴木さんは「あやとり」という自作曲をご自身のSNSにアップしていましたね。「恋の予感 君とのあやとり 大空にかける虹のアーチ」という歌詞が印象的でした。
鈴木 いろいろ言い合いながら難しいものを乗り越えていく快と風磨の関係性は、例えるならあやとりだなと思って。普段から曲を書いていて、いつも歌詞で悩むんですけど、「Love in The Air-恋の予感-」のストーリーや風磨として僕が経験してきたことについてだったら書けそうだなと思ったんです。そう思ってからはすぐに、パンッ!と書けましたね。快とも交わって、いろいろな感情とともに過ごした時間があったからこそ書けた曲だし、もっと書けそうです。
長妻 10曲くらい書けそう? そしたらアルバムができるね。
鈴木 アルバム全部「Love in The Air-恋の予感-」の曲だったら、しつこくない?(笑)
長妻 さすがにやりすぎか(笑)。
鈴木 僕はドラマの主演をやるのが初めてで、本当に濃い1カ月でめちゃくちゃ刺激を受けました。風磨はお金持ちで、次期社長。だったらどんな振る舞いをするのか、どんな音楽を聴いて、どんなものを身に着けているのか……と深掘りしていきました。自分も撮影期間中はクラシックを聴いたり、品のない言葉を使わないようにしたり、姿勢をよくしたりしようと。WATWINGというグループに所属していて、ダンスの練習をしているときに、メンバーに向かって平気で屁をこくんですよ(笑)。だけど「いや、風磨は絶対そんなことしない」と思ったから、この期間は屁を我慢しましたし……。
長妻 よく我慢しました(笑)。つらかったな?
鈴木 つらかった(笑)。やっぱり品とか人柄って行動に出ると思うんですよ。
長妻 わかる。僕は逆に、快を意識して背筋を伸ばしすぎないようにしていました。例えば歩いているときに手はどうしているかって、普段はほとんど意識しないじゃないですか。セリフに夢中になって、身体表現に長妻怜央が出てしまわないように気を付けましたね。
鈴木 面白いのが、彼の本来の性格が快とは真逆だということ。本読み中に何回も「怜央が出ちゃってる」と言われていたんですよ。でもそう言われたらすぐに直せる。すごいなと思いながら見てました。
長妻 確かに「出ちゃってる」ってよく言われましたね。快は色白で、マッシュヘアで、はかない雰囲気のキャラクターなんですけど、僕、最初に衣装合わせのとき、ロケ帰りで日焼けして真っ黒だったんですよ。しかも柄シャツを着てて、ロン毛で。
佐々木 本当に真逆。
長妻 そしたら「イメージがつかないから」って顔を隠されて。「俺でいいのかな?」と思いつつ、撮影に入りましたね(笑)。
次のページ »
恋人同士になるには