音楽ナタリー PowerPush - Royz

ここが新たなスタート地点

メンバー脱退を乗り越えて

──改めてお伺いしますけど、メンバー脱退の影響はやはり大きかったですか?

 大きすぎましたね。バンドの年表を作ったとしたら、赤文字で書くような大事件なんで。

公大 赤文字かつ太文字だよね(笑)。

 今はこうやって笑って話せますけど、当時はボロボロになりました。このバンドの活動を始めたとき、「誰かメンバーが抜けたら解散しよう」っていう話をしてたんです。車の中で「メンバーが抜ける」という話をしたときも、公大が「1人でも抜けたら解散って言ってたけど、みんなはどう?」っていうことを言って。

公大 うん。

Royz

 「誰かが抜けたら解散ね」って一番言ってたのは、実は俺なんですよ。でも、実際にそういう状況になったら、自分でもビックリするほど踏ん切りがつかなくて。「このまま辞めたら、死ぬときに絶対に後悔する」って思ったし。自分やメンバーにとっても、お客さんや事務所にとっても、マジで大事件でしたね。「THE BEGINNING」というタイトルも、「ここがスタートラインだ」という意味で付けたので。

──“4人のRoyz”で前回のツアーを乗り切ったのも自信になったのでは?

 ツアーが始まる前は正直、自分たちがどんな気持ちでツアーを回るのか、どんなライブになるのかわからないと思ってたんです。活動を始めてから5年になるんですけど、メンバーが抜けたときは、それこそ家族が1人いなくなった感じだったんで。でも、ライブをやっていく中で、少しずつ気持ちの変化が見えてきて。

智也 地方に行くと、お客さんが減っているところと増えているところがあったんですよね。でも前回のツアーファイナル(参照:Royz、ダイバーシティで有終の美飾ったツアー千秋楽)はちゃんと形になったし、楽しい空間を作ることもできて。感情の高鳴りのピークでした、あのライブは。

 ライブ中、泣いてたもんね。

智也 はい(笑)。

──ギタリストが抜けたことで、当然アンサンブルやサウンドにも影響があったと思います。

公大 確かにサウンドのシステムはすごく変わりました。ギタリストの杙凪が一番大変だっていうのはわかってたので、それに比べたら僕の負担は大したことないですけどね。ただ、ステージの下手(しもて)が僕だけになったので、そこはガラッと変わりました。やっぱり4人になって「劣化した」と思われるのはイヤだし、だったら自分がもっとカッコよくなればいいだけっていうか。今の状態が完成形ではないですけどね、もちろん。

──4人になって、さらにパワーアップしたと思わせないといけないですよね。

公大 実際、パワーアップしてると思います。あとは頑なに「昔のほうがよかった」と言ってる人たちにも認めさせるようなライブをすることが大事かな、と。

杙凪 4人でツアーをやっただけでは、お客さんの不安は完全に消えているわけではないと思うんですよ。僕以外のメンバーのファンからも「ギターが抜けて大変だと思いますが、がんばってください」っていうメッセージが来るくらいなので。

 そうなんだ。

杙凪 もちろん、自分たちの気持ちはまっすぐにしか向いてないので、それをしっかりお客さんに伝えたいと思いますね。

すべてはファンのために

──Royzはすべての活動において「ファンのためになるかどうか」というところに意識を向けていますよね。

智也 ファン様様ですから。

 誰のおかげで活動できてるのか?ということですよね。アーティストは「これが自分の表現だ」というものを押し出していくべきだということもわかってるんだけど、自分たちのワガママを押し付けて微妙な反応をされるくらいなら、お客さんが喜んでくれるものを作りたいっていう。

公大 10代のときに自分が夢中になってたバンドに対して、「これをやられるとうれしい」「こういうことをやられるとイヤ」っていうのをすごく覚えていて。例えば中学生の頃とか、買ったシングルのカップリングがつまんなかったときはホントにイヤだったから。

 わかる! 「一体、何がやりたいねん!」って。

公大 あと、一概にはもちろん言えないですけど、カップリングが(既存曲の)ライブバージョンだったときも「手抜きじゃん!」って(笑)。自分たちはそういうことをやりたくないんですよね。

Royz

 媚びてるのとは違うんですよ。せっかくバンドをやるんだったら、喜んでもらえたほうがいいっていうだけで。

──5月からスタートする初の47都道府県ツアー「The 47th Beginners」も「ファンのため」という思いから生まれたプランなんでしょうか?

 まだ行ったことのない県も15くらいありますからね。1人でも「Royzが好き」って言ってくれる人がいれば、そこに行ってライブをやりたいと思うし。もちろん自分たちにとってもすごく大きいツアーです。

公大 ライブを観に行くって、本当に大変ですからね。高校生くらいだと使えるお金は限られてるじゃないですか。会場に来てくれたお客さんには、ライブが「自分もがんばろう」って思えるきっかけになったらいいなと思うし。

杙凪 楽しみ以外はないですね。ギターのデータの整理とか、現時点でまだ終わってない部分もあるんですけど、そういう作業も楽しみなんですよ。そのときは大変だけど、それが形になったときは「ウェーイ! さすがやろ?」ってなれるし(笑)。見方を変えれば、なんでも楽しいですよ。

智也 ライブはもちろんですけど、オフも楽しみなんですよね。夏のツアーなんで、海にも行きたいし。

 お祭りも行きたいね。

智也 リフレッシュも大事なんで。

公大 でもこの人(智也)、海に行った次の日「筋肉痛でドラム叩けない」とか言うんですよ。あれはホントにイヤです。

──(笑)。最後にもう1つ。己龍、カメレオも同じ時期に47都道府県ツアーを行うなど、ライブに力を入れているヴィジュアル系バンドが増えている印象がありますが、皆さんは今のシーンをどんなふうに捉えてますか?

 今のヴィジュアル系のシーンって、実は解散ラッシュなんです。だからといって流れがよくないとは捉えずに、今残っているバンド同士で協力してシーンを盛り上げるように活動すれば、そこから新しいブームが作れるんじゃないかと思っていて。

公大 カメレオとは仲がよくて、よくごはんを食べに行ったりしてます。彼らから学ぶことは多いですね、ギブアンドテイクの意識がしっかりしているというか、こちらが何かで力を貸せば、必ず返してくれるし。

 ちょっと前まで、同期のバンドはお互いにつぶし合いをしてた感じもあって。でもここ1、2年くらいで流れが変わったんですよね。結束して、みんなでのし上がっていこうという意識が強くなってきたというか。

──それが形になれば、ネオヴィジュアル系に続くムーブメントが生まれるのかも。

 今って「これが流行ってる」みたいなものがないですからね。

公大 そうだね。スタイルが多様化し過ぎてるというか。「今、これをやれば売れる」っていうものはないですね。

 個性的なバンドは多いのでそれに比べたら、僕らは王道だと思うんですよ。その“王道”って部分を自分たちの個性として打ち出していきたいですね、ここからは。

ニューシングル「THE BEGINNING」 / 2015年5月6日発売 / BP Records
初回限定盤A-Type [CD+DVD] 1944円 / BPRVD-168
初回限定盤B-Type [CD+DVD] 1944円 / BPRVD-169
通常盤C-Type [CD] 1620円 / BPRVD-170
通常盤D-Type [CD] 1620円 / BPRVD-171
初回限定盤A-Type、初回限定盤B-Type CD収録曲
  1. THE BEGINNING
  2. 0
初回限定盤A-Type DVD収録内容
  • 「THE BEGINNING」PV+オフショット
初回限定盤B-Type DVD収録内容
  • 「THE BEGINNING」マルチアングルPV
通常盤C-Type CD収録曲
  1. THE BEGINNING
  2. 0
  3. HEIL
  4. THE BEGINNING(instrumental)
  5. 0(instrumental)
  6. HEIL(instrumental)
通常盤D-Type CD収録曲
  1. THE BEGINNING
  2. 0
  3. umbrella.
  4. THE BEGINNING(instrumental)
  5. 0(instrumental)
  6. umbrella.(instrumental)
Royz(ロイズ)

昴(Vo)、杙凪(G)、公大(B)、智也(Dr)からなるネオヴィジュアル系バンド。2009年9月より活動を開始し、デジタルロックサウンド、切なさや愛を歌った歌詞、昴の透明感あふれる歌声を武器に着実に知名度を上げている。2010年1月にライブ会場限定シングル「星に願いを」を発表し、4月に初の自主企画「季節はずれの打上げ花火~Royzと一緒におバカさん~」を開催した。2011年4月にB.P.RECORDSに所属し、リリースのペースを落とさずにインストアイベント、ワンマンツアーなどで積極的に全国各地を回り続けている。2014年6月の東京・赤坂BLITZ公演をもってオリジナルメンバーの和稀(G)が脱退するも、翌7月からアジア公演を含むツアーを敢行。同年12月から2015年3月にかけて行ったツアー「Royz WINTER ONEMAN TOUR『N.E.S』」のファイナル、東京・Zepp DiverCity TOKYO公演で、5月6日に通算11枚目のシングル「THE BEGINNING」をリリースすることと、初の47都道府県ツアー「Royz 47都道府県 ONEMAN TOUR『The 47th Beginners』」を開催することを発表した。9月には大阪・なんばHatchでバンドの活動開始6周年を記念したワンマンライブ「6HEAVENS」を実施する。