音楽ナタリー Power Push - ROOT FIVE

“大逆転”を狙う覚悟

「脱・歌い手宣言」への覚悟

──今回リリースされたニューシングル「大逆転エモーション」には、ROOT FIVEの新たな決意と覚悟が詰まっていると思います。しかも本作のテーマは「脱・歌い手宣言」とのことですし。

藤谷 相当、波風が立つテーマですよね。我々のことを最初から応援してくれていた人にとっては、「え、歌い手というバックグラウンドをなくしちゃうの?」っていうことにもなるわけだから。さらに、僕らの出自を知らない人に対してもマイナスプロモーションになりかねない。なので、相当な覚悟を持って掲げたことはわかってもらえると思うんですけど。

──そこに込めた真意はどのようなものなんでしょう?

藤谷 要は「歌い手」という単語に対して貼られているレッテルを跳ねのけますよっていう意思表示です。ファンの方々はみんな変な偏見を持たずに応援してくれてはいるんだけど、僕たち自身は自分たちが歌い手出身であることに対しての劣等感を少なからず感じていたところはあったというか。

江川直樹

江川 「歌い手」という言葉には、歌うこと以外ができなくても許される大義名分があると思うんですね。だから今の僕らはそこへの甘えを払拭して、アーティストとして胸を張れるようになりたいんです。歌い手というもの自体に対する良し悪しではなく、僕らに付いているそのイメージを払拭したいなっていう。

──CDデビューからの5年間、ネット出身ということで叩かれることも多かったですか?

駒沢 うん。それはもうしょうがないことというか。

藤谷 たくさんのコメントの中でそういう批判は目立つしね。で、今まではそういう意見をなるべくスルーしてたんです。なんとか跳ねのけたいとは思ってたけど、言い返せるほど明確なものが自分たちにはなかったから。でも今はちゃんと提示できるものができたからこそ「脱・歌い手」と言えたっていう。

──これまではROOT FIVE自体が歌い手というムーブメントの盛り上がりを担っていたところもありましたからね。そこでのジレンマもあったのかもしれない。

石城 あー、確かに。ただ、それは僕ら自身の使命感っていうよりも、周りの人たちの期待っていう意味合いが強かったと思うけど。

駒沢 僕らのデビュー以降、実際歌い手の人気はすごかったですもんね。でも時代の移り変わりは早いし、世間の状況も変わってきているので、ネット出身っていう肩書きだけでやっていけるほど今は甘くはないと思うんですよ。だからこそ僕らは今、そこを捨ててプロのアーティストとしての自覚を持って活動していきたいと思ったんです。今回のシングルを引っ提げて、6年目からは変わっていくんだぞっていう覚悟と共に。

ROOT FIVEの思いを歌詞に

──シングルの表題曲「大逆転エモーション」では、そういったグループとしての思いを藤谷さんが歌詞に落とし込んでいますね。

藤谷 はい。最初は作詞家さんにお願いしてたんですけど、この曲に込めたかったメッセージを100%の形で表現するにはやっぱり自分たちで書かなきゃダメだなと思ったんですよね。なので僕がやります、と。まあ駒沢くんでもよかったんですけど。

駒沢浩人

駒沢 いや! 僕はいつもTwitterで酒飲んでることしかつぶやいてないんで、こういうメッセージを書いても説得力がないんですよ(笑)。だからまっすぐな歌詞を書くのがうまくて表現の幅も広い藤谷でよかった。

石城 藤谷さんは普段からこの歌詞のような熱いツイートをしてるからね。

藤谷 でもテーマ的な重みがあったから今までにはないプレッシャーは感じてましたよ。思いはたくさんあるけど詰め込みすぎると伝わらないし、キャッチーにするところも必要だし、そのバランスの取り方がすごく難しくて。

江川 グループとしての思いは明確だけどそれを言葉にする難しさはあるからね。結果的にすごくいい形の詞にしてくれたなと思います。

──今のROOT FIVEの気持ちがまっすぐに伝わってきますよね。

石城 自分は基本、普段は歌詞を全然気にしないんですけど、今回はじっくり読み込んじゃいましたね。「ああ、そうだよな」って改めて思うところも多いし。ただ、俺は読解力が弱いんでところどころ意味がわかんないところはありますけど。「意味わかんないけどいい詞だなあ」みたいな。

江川 嘘でしょ?(笑)

藤谷 例えばどこが意味わかんないの?(笑)

石城 「君だけのBig star 癒えない傷も」とか超意味わかんないじゃん。

駒沢 すごいディスられてる(笑)。

藤谷 その後の「冷めない愛も この手で抱きしめ信じたい」ってところまで続けて読まないとダメだよ。「癒えない傷」っていうのは「自分たちの背負いきれない過去」、「冷めない愛」っていうのはそれでも応援してくれている「ファンのみんな」って意味だからね。それらすべてを「この手で抱きしめ信じたい」ってことだから。

石城 ああ、なるほどね。カッコいいね!

──ファンに向けた温かいメッセージが込められているのも今回の詞の大きな魅力ですよね。

藤谷 そこは意識しました。自分たちの決意表明とファンに対しての感謝を軸に構成しようって。

──「あなたがずっと誇れるようにもう逃げないよ」っていうフレーズにグッときます。

駒沢 いいですよね。言葉としてはなかなか言いづらいことだけど、それを歌詞にしてくれたことでしっかり伝えられるようになったから。

藤谷 それが音楽のあるべき姿だと思いますからね。

いつもより一段階熱め

──ボーカルのレコーディングはいかがでしたか?

駒沢 今回は今まで以上にみんな熱く歌ってましたね。声色がいつもよりも一段階熱めな感じで。

石城結真

石城 「(テンションを)もっと上げて!」って言われたので、けっこうガナった歌い方をしたり。ROOT FIVEとしては案外珍しい感じもありますね。

藤谷 コーラスワーク的な部分で声を録る量が多かったのでけっこう大変ではありましたけど楽しかったですよ。歌録りは僕が最初にやりました。詞を書いた立場として全体的な歌のニュアンスは自分の中でイメージできていたので、それをそのままぶつけて。で、そこにみんながしっかり合わせてくれた感じですね。

江川 僕は2番目だったので、藤谷の2倍のテンションで歌ってます。

石城 僕は3倍エモーショナルに歌いました。

駒沢 僕は4倍盛り上がって歌いました。

藤谷 はいはい、僕は1ですよ。やかましいなお前らは!(笑)

──あははは(笑)。

藤谷 今回は江川さんと石城くんの声が一番生きる音域なのかなっていう気もするので、そのあたりに注目してもらうのもいいかなって思いますね。

石城 あー、確かにメッチャ歌いやすかった。タイトル通り、すごくエモーショナルな仕上がりになってると思いますね。

ニューシングル「大逆転エモーション」 / 2016年12月14日発売 / よしもとアール・アンド・シー
[大]盤 [CD+エムカード] / 1800円 / FSCY-0012
[逆]盤 [CD+エムカード] / 1800円 / FSCY-0013
[転]盤 [CD] / 1200円 / FSCY-0014
CD収録曲
  1. 大逆転エモーション
  2. Bremen
  3. 雑菌パーティ ※[転]盤のみ
[大]盤エムカード収録内容
  • MUSIC VIDEO+MAKING
[逆]盤エムカード収録内容
  • ROOT FIVEのP旅

ROOT FIVE STORYLIVE 2017“Q”~星のカケラと音楽隊~

  • 2017年3月17日(金)千葉県 KASHIWA PALOOZA
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  • 2017年5月14日(日)香川県 DIME
  • 2017年5月20日(土)埼玉県 HEAVEN'S ROCK さいたま新都心 VJ-3
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ROOT FIVE STORYLIVE 2017“A”~Four Elements : Four Braves~

  • 2017年6月30日(金)愛知県 芸術創造センター
  • 2017年7月1日(土)愛知県 芸術創造センター
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  • 2017年7月14日(金)大阪府 YES THEATER
  • 2017年7月15日(土)大阪府 YES THEATER
  • 2017年7月16日(日)大阪府 YES THEATER
  • 2017年7月22日(土)東京都 豊洲PIT
ROOT FIVE(ルートファイブ)
ROOT FIVE

江川直樹(ぽこた)、石城結真(みーちゃん)、藤谷慶太朗(けったろ)、駒沢浩人(koma'n)の4人からなるボーカルグループ。ニコニコ動画内の“歌ってみた”カテゴリで人気を誇る歌い手が集まって結成され、2011年12月にシングル「MERRY GO ROUND」でデビュー。2013年3月に1stアルバム「ROOT FIVE」を発表した。メンバーそれぞれがソロ活動を行うほか、ドラマやミュージカルに出演するなど多方面で活躍し、人気を集める。2015年10月にメンバーの蛇足がグループを卒業し、現在の4人体制となった。2016年12月、「脱・歌い手宣言」をテーマに掲げたニューシングル「大逆転エモーション」をリリースした。