ナタリー PowerPush - Rihwa
ドラマ「ラスト・シンデレラ」を彩る“最後まで貫く愛”の歌
挿入歌としての役割をしっかり果たせる歌
──「Last Love」の歌詞をすべて英語にしたのはなぜですか?
最初は全部日本語で書いてたんです。でも完成して冷静に考えてみたら、挿入歌として流れるなら日本語より英語のほうがスッと心に響くんじゃないかと思って。内容的にも少しシリアスな状況を描いているから、日本語だと人によっては重いと感じちゃうかもしれない……ということで、一度潔く英語に書き換えてみたんです。
──それは思い切った決断でしたね。
はい。ただ、日本語の歌詞もすごく気に入っていたので、その世界観を大事にしながら英語にそのまま書き換えて。そしたら予想以上にいい仕上がりになったので、これなら先ほどお話した“挿入歌としての役割”を果たせるんじゃないかって。
──Rihwaさんは学生時代カナダへ留学されていますが、英語で歌うことに関してはどう捉えてますか?
インディーズ時代から英語曲も書いてたし、私にとってはそんなに不自然なことではないです。でもやっぱり英語は使わないとどんどん忘れていっちゃうので、こうして英語の歌を作って自分の中で(英語を)大切にしていきたいっていう気持ちもあるんですよね。
──そうなんですね。でも、ドラマサイドはできあがってきた曲が全英語詞でビックリしたんじゃないですかね?
どうなんでしょう?(笑) でも、すごく気に入ってくださってたというのを人づてに聞いて、よかったなーって。
──Rihwaさんが実際に第1話で流れたのを聴いたときはいかがでした?
ドラマで曲を聴くまでは、ちゃんとハマってるかな?って不安な気持ちもあったんですけど、第1話ではほとんどセリフのないシーンでワンコーラスをフルでかけていただいてて。そこで初めて「あ、よかった。ちゃんとドラマに合ってる!」って実感できて、すごくうれしかったです。
子供に一番きれいなはっぴを着せてあげる気持ち
──レコーディングは、どんなことを意識して歌いましたか?
曲作りのときもなんですが、ドラマの内容ともリンクするように少し大人っぽさを意識しました。あとは女性らしさ、優しさ、柔らかさ……ですかね。
──全体的に女性らしい繊細な歌声という印象でしたが、Dメロだけガラッと毛色が変わりますよね?
そうなんですよ。ドラマでは流れるかわからないんですけど、フルで聴いたときにDメロだけちょっとロックな感じになるよう雰囲気を変えてます。
──わかりやすいのはそのDメロですが、Aメロ、Bメロ、サビと、1曲全体を見ても声の表情が少しずつ変わっているのが印象的でした。
やっぱり、その曲に対して一番いい声というものがあると思うので。1曲の中でもブロックごとに一番いい声の状態で届いてほしいし、例えるなら、自分の子供に一番きれいなはっぴを着せてあげる気持ちですかね(笑)。ここに一番合う声は……というのを、いつも探りながら歌っています。
──あと、2番からはリズムが徐々にテンポアップしていくのも面白いなって。
はい。バラードと思いきや実はどんどん盛り上がっていくんです(笑)。ドラマで流れる部分だけだとわからないですが、最終的にはミドルテンポのバラードになっていて。でも、どちらかというともともと頭の中で鳴ってた音は2番のほうが強くて、1番はドラマのイメージも考えつつ、あとからストレートなバラードにしたって感じ。自分でも、こういうクレッシェンドのような展開はすごく気に入っています。
日本語の歌詞も見てもらいたくてリリックビデオを制作
──YouTubeでは「Last Love」のリリックビデオが公開されてますね。歌とともに日本語の歌詞がテロップで流れる映像ですが、これはどういった経緯で作られたんですか?
やっぱり最初に作った日本語詞もすごく大事にしたかったし、日本でリリースするということは、当たり前ですけど日本語が一番伝わる言語じゃないですか。日本語の歌詞もぜひみんなにも見てもらいたいと思って、その気持ちをスタッフさんに伝えたら、リリックビデオなる映像を作ってもらえたんです。ドラマの放送のたびに再生回数も増えているようで、本当にうれしいです。
──インタビュー冒頭でもお話されてましたが、ドラマの挿入歌というのは影響力がやっぱりすごいんですね。もちろん、それは楽曲のよさもあってこそですが。
そうですね。スタッフさんから着うたのダウンロード数もいい、ということを聞いて、自分でもビックリしています。そうやって1人でも多くの人に聴いていただけたことが心からうれしいし、この歌詞が心のどこかに引っかかって共感してくれてるのかなって思うと、世の中まだ捨てたもんじゃないなって(笑)。多少なりとも、みんなやっぱり一途な愛に憧れを持っていたりするのかなって思うと幸せな気分になりますね。
収録曲
- Last Love
Rihwa(りふぁ)
札幌出身の女性シンガーソングライター。中学卒業後にカナダに留学し、滞在中に音楽に目覚める。帰国後より地元のライブハウスなどで活動を始め、インディーズでシングル3枚とアルバム1枚をリリースする。2012年は「JOIN ALIVE 2012」「SUMMER SONIC 2012」「a-nation 2012 stadium fes.」などの大型ライブイベントに出演、パワフルな歌声とチャーミングなキャラクターで多くのファンを獲得する。同年7月にシングル「CHANGE」でTOY'S FACTORYからメジャーデビューし、10月に映画「劇場版 TIGER & BUNNY -The Beginning-」の挿入歌「約束」を2ndシングルとして発売。2013年2月には3rdシングル「モンスターのかくれんぼ / GOOD LOVE with Michelle Branch」を発表した。同年6月5日、フジテレビ系連続ドラマ「ラスト・シンデレラ」の挿入歌として書き下ろした「Last Love」をワンコインシングルでリリースした。