音楽ナタリー Power Push - ReVision of Sence

とにかく売れたい!負け犬の戦い方

5人の音楽的ルーツ

──ちなみに皆さんの音楽的ルーツを教えてもらえますか?

上村元隆(B)

 最初に興味を持ったバンドはACIDMANでした。高校で流行ってたんで。そこからミスチル(Mr.Children)みたいなポップなものとか、流行りモノをちょいちょい聴きつつ、最近は「ラブライブ!」とか、アニソンばっかり聴いてますね。

上村 僕はBUMP OF CHICKENを聴いて、ロックバンドに興味を持ち始めました。ReVisonの前身バンドもギターロックだったので、自分としてもそこがよかったのかなって思います。

偉町 俺はAerosmithとか、1980~90年代のハードロックばっかりでしたね。基本洋楽でしたけど、邦楽だとB'zとか聴いてました。

嘉藤 僕も学生の頃にBUMP OF CHICKENとか、ELLEGARDENが流行ってたんで聴いてましたけど、今は別にこれが好きとかはないですね。むしろそこまで音楽を聴かないというか、興味がないというか。

嘉藤康介(G)

──参考資料的に聴く感じですか?

嘉藤 そうですね。最近はそういう感じでしか聴けないところはあります。

──河井さんは?

河井 高校の頃はめっちゃいろんな音楽を聴いてたんですよ。いわゆるレジェンドって言われてるような人たちはだいたい聴いてたし、一時期Radioheadがめっちゃ好きで、ほんまにずっと聴いてたんですけど、あるとき急につまんなく感じて。そういうことは多いですね。周りのバンドマンが「やっぱアレええわあ」って話してるのを聞いて冷めてしまうことがあって。そんな自分に悲しくなったりします。

──音楽を生業にしようと決めたことで、そういう感覚になっていった?

河井 ですかね。なんか今はもう完全に手段になっちゃってますね。「音楽は楽しんでナンボや」って売れてる人たちはおっしゃったりしますけど、今の僕にはとても言えないです。

負け犬による、ギリギリの勝ち戦

──本作のリリースツアーも決定していますが、ReVision of Senceは、通常のライブツアー以外にこれまで、ミッション付き無料ワンマンや、後払い制ライブなども実施してます。話題作りを含めた上でのライブ活動というのも意識しているんでしょうか?

ReVision of Sence

河井 してます。なんかちょっとした遊び心やアンチ精神を体現したいと思っているので。正直、この前の無料ワンマンツアーも、あんなミッションなんてやらないほうが、客が来てくれてたと思うんですよ。でも、客が入るか入らないかも重要だけど、僕らはこういうこともやってますっていうのを提示するほうがいいかなって。これで勝負だ!っていうわけじゃなくて、あくまでもその次を見据えてのものなので。

──こういう企画で売れてやろうというわけではなく。

河井 はい。それに「売れたい」とは言ってますけど、正直な話、バーン!と売れて、誰もが認める存在になって、音楽シーンのど真ん中で幸せな曲をずっと歌っていたいかと言ったら、別に歌いたくはないんですよ。矛盾してますけど。

──売れたい願望はあるけど、すべてを譲りたくない気持ちもある?

河井 もっと言えば、そこを譲ったら売れないですよ。「売れるっぽいことをやる」って僕はよく言うんですけど、そこは一般的に見てどうこうの話ではなく、あくまでも僕が考える売れるっぽいことなので。このバンドはその感覚が一番重要になるのかなと思います。

──ライブパフォーマンスとしても、振付があったり、「ヨノナカカネ」では、サークルモッシュのど真ん中に脚立を置いて、その上からお金みたいなものをばらまいたりと趣向を凝らしてますけど、活動当初からああいうパフォーマンスをしていたんですか?

河井教馬(Vo)

河井 いや、最初はONE OK ROCKになりたかったんで、とにかくカッコいい感じがよかったんですけど、目の前のお客さんを1人つかんで帰るためにはどうしたらいいのか?って手段を選ばずやってるうちに、こんなバンドになってました。だからあれは負け犬のライブですよ。負けてきた奴がやる、ギリギリの勝ち戦みたいな。自分で客観的に見てもダサいことしてるなと思うし、もし1000人規模の会場で、僕がパッて手を挙げただけでみんなが盛り上がったら、あんな無茶しないですよ。もしそうなったらそうなったで、そのタイミングではまた別のエンタテインメントがあると思うから、違う方法を見つけるとは思いますけど。

──今はこの戦い方でいこうと。

河井 そうじゃないと、僕らみたいなバンドは生き残れないんで。だから今は「ReVision of Senceってどんなバンドやった?」「お金ばらまいてた」。それでいいんですよ。

──そもそも河井さんが思う「売れた」のラインってどこなんですか?

河井 今まで俺らのことを見向きもしなかった、むしろバカにして相手にもしてなかった人たちが振り向いた瞬間ですかね。音楽で食べていきたいとか、どこでワンマンしたいというのはあくまでも結果であって、もっと内面の部分というか。

──物質的な面ではなく、精神的な意味での「売れた」を大事にしたい?

河井 そっちのほうが大きいと思います。そもそも、武道館で1回ライブをやったら売れたのか?って言ったら、別に売れてないと思うんですよ。その武道館公演の5年後に人気がなくなってるかもしれないし。だから、正しくは「売れた」というよりは「売れ続けたい」ですね。過去形にしたくないんで。ちゃんと自分が納得する形でバンドをやっていたいし、ムカつく奴ら蹴落として、見返してやりたいです。そういう器の小さい話です。

ReVision of Sence

──そういう人間がやってやろうじゃないか!と。

河井 そういう器の小さい奴が1000人とか1万人とか集めて、そこでやるライブもその器の小ささやったら、観に来てる人たちにめっちゃ勇気与えるんちゃうかなと思うんです。「こんなクソみたいな奴でも、こんなに人集めんの!?」みたいな。そこかなと思いますね、僕の仕事は。それを体現できたらなと思ってます。

ミニアルバム「八面楚歌」 / 2016年8月17日発売 / [CD] 2160円 / BUSU RECORDS / DEBU-003
「八面楚歌」
収録曲
  1. カミダノミレクイエム
  2. Yeah!めっちゃナンマイダ
  3. ヨノナカカオ
  4. あいにーじゅーあいうぉんちゅー
  5. SNSにNO・GU・SO
  6. 幸せの殺し方
  7. わたしはブロッコリー
  8. 願いが叶う時
ReVision of Sence「八面楚歌リリース記念ワンマンツアー(仮)」
2016年9月10日(土)
兵庫県 MUSIC ZOO KOBE 太陽と虎
2016年9月23日(金)
福岡県 Queblick
2016年9月28日(水)
広島県 HIROSHIMA 4.14
2016年10月10日(月・祝)
東京都 clubasia
2016年10月14日(金)
愛知県 池下CLUB UPSET
2016年10月15日(土)
大阪府 梅田CLUB QUATTRO
ReVision of Sence(リビジョンオブセンス)

ReVision of Sence

河井教馬(Vo)、辻友遥(Dr)、嘉藤康介(G)、偉町大介(G)、上村元隆(B)からなる5人組バンド。シニカルな歌詞と破天荒なパフォーマンスで、地元の大阪を中心に話題に。2015年9月に初の全国流通盤「宣戦布告の7ヵ条」をリリース。その後無料ワンマンツアーや、オフィシャルサイトでの全音源無料配信などを行い、注目を集めている。2016年8月に2ndミニアルバム「八面楚歌」を発表する。