音楽ナタリー Power Push - ReVision of Sence
とにかく売れたい!負け犬の戦い方
ReVision of Senceがミニアルバム「八面楚歌」を8月17日にリリースする。「八面楚歌」にはラウドな「SNSにNO・GU・SO」や、バラード「わたしはブロッコリー」など、インパクトのある多彩な楽曲群が収録されている。
音楽ナタリーでは今作の発売を記念して、メンバー全員にインタビューを実施。バンドの結成の経緯や今作の収録曲について、さらに「ミッション付き無料ライブ」や「全曲無料配信」といった斬新な活動を行う理由など、たっぷりと話を聞いた。
取材・文 / 山口哲生 撮影 / 後藤壮太郎
どんな手を使ってでも興味を引きたい
──先日行われた「ReVision of Sence vs 既読GENJI ~ミッションクリアでチケット代タダ~」の東京公演を拝見しました(参照:ReVision of Sence、デコ出しファンとワンマン&試聴会堪能)。ツアーはワンマンライブと先行視聴会を無料で開催するという特殊な内容でしたが、振り返ってみていかがです?
河井教馬(Vo) あの日は全然大したことなかったですね。
──そう思うのは自分に対してですか?
河井 もちろん。東京で結果を出したいと思いつつ、客に全然届いていないと思うので、毎回悔しいです。ホームである大阪のライブがいくら盛り上がっても、東京でも盛り上げられなきゃ意味がないので。
──実際、MCでも「悔しい」と話していましたよね。
河井 あれを言うのはたぶんダメだし、プロとしては禁じ手だと思うんですけどね。でも大したことないライブだったのに「今日は楽しかった! サイコー!」と言ってステージを降りてしまったら、試しに1回観に来た人は、二度と来てくれないかもしれないなと思って。そこはどんな手を使ってでも興味を引きたいんで。でもまあ、ほんまにめちゃくちゃ悔しかったかというと、そうでもないんです。
──そうなんですか?
河井 その場の空気を見て、わざとちょっと失敗寄りに持ってったろかなっていうのはありましたね。東京の人間に対してはそういう駆け引きをします。みんな腐るほどいろんなライブを観てきてると思うんで。
辻友遥(Dr) 僕個人が思っていることなんですけど、東京は敵なんですよ。ここまで3、4年やってきて、わりかし早い段階から東京には来てたんですけど、今年の4月に初めて有料のワンマンをやって、そのときに初めて「ちょっと味方かも」って思えたんです。でもこの前のワンマンでやっぱり東京は手強いなって思いました。ライブ自体は楽しかったですけど、まだまだ種まきしないとなって思いながらやってましたね。
──ReVision of Senceは無料ワンマンツアーだったり、全楽曲をフリーダウンロードできるようにしていたり(一昨年に終了)、一風変わった活動をされていますが、結成当初からそういう展開をしていこうと考えていたんですか?
河井 考えてました。CDを出す必要なんてあるのかなってずっと思ってたし、いい曲をやることでライブに人を集めたいという理想があるので、CDの売り上げよりもまず、ライブに人を集めることを目的にしていました。活動していくうちに、必要かもしれないなと思ってCDを作ったり、今でこそ年間120本ぐらいライブするようになってしまっているんですけど、本当はCDをたくさんリリースしたり、ライブの回数を重ねたりするのではなく、新しいことをやってライブの動員を増やしていきたいと思ってたんで。
とにかく売れるものがやりたい
──ReVision of Senceはもともと同じバンドで活動していた河井さんと辻さんが中心になって始めたそうですね。
辻 はい。とりあえず5人編成がいいって思ってたんで、まずはギター2人とベースを見つけようって。
──結成時はどんなバンドをやろうと思っていたんですか?
河井 今もですけど「こういう音楽がやりたい」っていうのは特にないんですよ。僕らはとにかく売れるものがやりたいので。何が売れるかなんてわかんないですけど、これが売れるんじゃないか、これが世の中に評価されるんじゃないかという曲を作って、自分たちの出した答えが正しいことを証明していこうっていう感じですね。
──曲作りはどうやって?
河井 曲を作る前に、いろんな人の曲を聴いて研究しています。だからアーティスト的な作り方じゃないですね。打算的というか、凡人の作り方やと思う。凡人たちが凡人っぽく見えないように考えて、ほんまのアーティストに戦いを挑みに行ってる感じです。
──メンバーを探すにあたって、加入条件みたいなものはあったんですか?
河井 最初はバンドのために一旦すべてを捨ててくれる人であれば、別に楽器が弾けようが弾けまいが関係ないって、思ってました。今、5人全員同じ家に住んでるんですけど、それも条件の1つとしてあって。売れるまでは一緒に住んで、泣きごと言わずにバンドをやって、売れたら出ていこうって。だから条件としては、そういう覚悟を持った人、決めた覚悟に対してちゃんと責任を持てる人ですかね。
──偉町さんと嘉藤さんは「一緒に住めるか?」って誘われたんですか?
偉町大介(G) 最初にその話はされましたね。そのとき自分は、やってたバンドが解散してふらふらしてたんですけど、もう1回ちゃんとバンドをやろうと思ってて。入るバンドは曲を聴いてから決めたかったんで、いろんなバンドのWebサイトを見てたんです。そのとき教馬たちがやっていたバンドがギターを募集してるのを見つけて。曲もサイトに上がってたので聴いて。
──どうでした?
偉町 今とは全然違う感じで、もっとポップでしたけど、教馬の声がよかったんで一緒にやりたいなと思いました。そこからは家探しから曲作りまで、何から何までずっと一緒です。
嘉藤康介(G) 僕も加入の経緯は大ちゃんとほぼ同じです。でも僕の場合は1回スタジオに入ってから、その2カ月後ぐらいに連絡がきて。で、教馬から「こういう感じでバンドをしたい」って聞かされたんですけど、そのときにデモ音源「21g」がもうあって。それが単純によかったから、僕も入れてほしいって言って加入しました。
──そこからバンドがスタートして、あとから上村さんが加入されたと。
上村元隆(B) 僕はReVision of Senceの前に2人(河井、辻)がやってたバンドのファンだったんですよ。でも活動休止になってしまい、そこからReVision of Senceになって。で、曲を聴いたらやっぱりカッコいいなと思って、もしバンドやるならここに入りたいと思ったのが、高校2年生の終盤ぐらい。そのときReVision of Senceにはベースがいなかったんですけど、僕もベースはやったことなかったんですよ。だからとりあえず大阪に行って1年くらい修業してからアプローチしようと思ってたんですけど、高校卒業直前ぐらいに、ベースを募集しているのをTwitterで見て、これはもういくしかないと思って、DMして。で、まあそれから……。
──上村さんがReVision of Senceに入りたいと思ったきっかけになった曲はなんだったんですか?
上村 「ALIVE」です。バラードなんですけど、聴いたときに「俺、大丈夫だ」って思ったんですよ。「ここから先の人生、たぶん大丈夫だ」って、今まで音楽を聴いて感じたことのなかった感情が出てきて。
──「ALIVE」だけは今でもフリーダウンロードにできるようになってますよね。歌詞は、自分で命を絶ってしまった人のことを思いながら、生きることに悩んでいる人たちへ向けたメッセージが書かれています。
河井 そういうことに思い悩んでいる人って、ライブハウスに来ないと思うんですよ。来ないというか、来れないと思うんで。でもそういう人がこの曲を聴いたときに、もしかしたら大丈夫かもしれへんなって、1秒でも思ってもらえればいいなと思って、この曲だけはまだ置いてます。
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収録曲
- カミダノミレクイエム
- Yeah!めっちゃナンマイダ
- ヨノナカカオ
- あいにーじゅーあいうぉんちゅー
- SNSにNO・GU・SO
- 幸せの殺し方
- わたしはブロッコリー
- 願いが叶う時
- ReVision of Sence「八面楚歌リリース記念ワンマンツアー(仮)」
- 2016年9月10日(土)
兵庫県 MUSIC ZOO KOBE 太陽と虎 - 2016年9月23日(金)
福岡県 Queblick - 2016年9月28日(水)
広島県 HIROSHIMA 4.14 - 2016年10月10日(月・祝)
東京都 clubasia - 2016年10月14日(金)
愛知県 池下CLUB UPSET - 2016年10月15日(土)
大阪府 梅田CLUB QUATTRO
ReVision of Sence(リビジョンオブセンス)
河井教馬(Vo)、辻友遥(Dr)、嘉藤康介(G)、偉町大介(G)、上村元隆(B)からなる5人組バンド。シニカルな歌詞と破天荒なパフォーマンスで、地元の大阪を中心に話題に。2015年9月に初の全国流通盤「宣戦布告の7ヵ条」をリリース。その後無料ワンマンツアーや、オフィシャルサイトでの全音源無料配信などを行い、注目を集めている。2016年8月に2ndミニアルバム「八面楚歌」を発表する。