「アイドリッシュセブン」特集 保志総一朗&立花慎之介インタビュー|Re:valeに吹き込んだ新たな風 (2/3)

千と百が酒を飲みながら話しているような「Storyteller」

──では2ndアルバム「Re:flect In」の収録曲について聞かせてください。新曲の「Storyteller」はw-inds.や関ジャニ∞に楽曲提供をしている葉山拓亮さんが手がけた楽曲です。お二人はデモを聴いたときにどんな印象を受けましたか?

保志 Re:valeの楽曲の中でも特に今までにないテイストだなと思いました。淡々としたシンプルなメロディなんだけどクセになりそうで。もうデモの時点で完成していたから、これをどう味付けしたらRe:valeの世界観に持っていけるのかなと変な緊張感がありましたね。

立花 Aメロやサビがしっかり分かれていないというか、わかりやすく盛り上がるようなパートがなくて。でも一度聴くと頭に残る、不思議な曲だなと感じました。レコーディングでは歌っているというよりかは、千と百が酒を飲みながら話しているような感じでアプローチしましたね。歌詞については、アイドルらしくないというか、どことなくダークな香りがして不穏な印象を受けました。アイドルが「倦怠感」と連発することなかなかなさそうだなって(笑)。

保志 最初から最後まで倦怠感にこだわってるよね(笑)。

保志総一朗

保志総一朗

立花 皮肉った言い方をしてる部分や世の中の真理をついたような歌詞もあって面白いですよね。僕の一番好きなフレーズは「そうヒトは忘れる事で 潤滑になって平和」。嫌なことを覚えてたらいざこざにつながるけど、忘れてしまえばいいのかという。なるほどねと思いました。

保志 いいよね。俺は「もうそろそろベテランの風味 困ったもんだななんて 十年先も 同じ会話だろう」が印象的だった。

立花 わかります。自分自身、周りから見るとベテランと思われているかもしれないけど、そんな感覚がなくて。そういう感覚ってありません? 実年齢と精神年齢に乖離があるというか。

保志 俺はちょっと最近、精神的に成長しちゃったかなと思ってる。

立花 ははは(笑)。

保志 でもその気持ちはわかるし「十年先も 同じ会話だろう」にも共感できるよ。

立花 僕と保志さんって「アイナナ」キャストの中では年齢が高いほうなので、この曲の歌詞が理解できるし親近感が湧くんでしょうね。

保志 Re:valeというより、こちら寄りの歌詞だよね(笑)。

立花 なるほど! その感覚はなかったですけど言われてみればそうですね。

保志 Re:valeがもっと年齢を重ねて、いろんなものを見てきてこういう境地に至ったのかなって感じの歌詞な気がする。

立花 そういう意味でも今までにない曲ですよね。

──これまでの「アイナナ」の楽曲は、真崎エリカさん、結城アイラさん、安藤紗々さんなど、初期から作品に携わっている方が作詞を手がけることが多かったですよね。「Storyteller」は作詞、作曲、編曲まですベて葉山さんが担当されています。

保志 以前から作品に携わっている方が作る楽曲ももちろん好きだけど、イメージに囚われずに作られた楽曲も、「アイナナ」やRe:valeに必要なタイミングなのかなと思いました。まあ、この曲を作ったのは千なんだけどね(笑)。

──劇中ではRe:valeの楽曲は千さんが制作されていますが、第4部からは百さんが作詞に挑戦されていますね。

保志 百からこの歌詞が出てきたかもしれないと思うとヤバいな(笑)。

立花 なんかあったのかなって思っちゃいますね(笑)。

体に馴染んだ伊秩節

──もう1つの新曲「夢雫」についても聞かせてください。SPEEDの音楽プロデューサーとして知られる伊秩弘将さんが作詞と作曲を手がけていて、90年代感のあるビートが印象的ですね。

保志 伊秩節を感じながらデモを聴きましたね。懐かしさと情熱を感じましたし、Re:valeの王道感があふれるメロディでいいなと。

立花 冒頭は和のテイストで雅と艶を感じたんですけど、次の瞬間にはアップテンポなビートが刻まれていて。歌詞に関しては、これまでのRe:valeの曲の中で一番英語が多いんじゃないかな。メロディも歌詞も和と洋が混ざっているようなイメージを受けました。最初にデモを聴いたときに思ったのは、これをライブで歌ったときにみんながどういうノリ方をするのかなって。ノれるところはノれるけど、次の瞬間には落ち着いていたりするので、ライブでのパフォーマンスや演出は悩みますね。

保志 ライブでのことはまだ考えてなかったな。確かに不思議な構成というか、曲がBメロから始まるからちょっと意表を突かれるよね。

立花 そこもRe:valeに新たな風が吹いた感じがします。

保志 あと、この曲は立花くんのあとにレコーディングをしたんですけど、千の「Hot Passion」というパートを聴いて、歌詞通りすごくパッションを感じた。

立花 普段の千のテンションを考えると、この曲は歌いづらいと思うので、いつもよりはちょっとテンション高めでアゲアゲの千でアプローチしました。

保志 なるほどね。俺としては伊秩さんの音楽は自分の中に染み付いているので、「夢雫」はすんなり体に馴染んで歌いやすかったですね。レコーディングまでに曲を体に馴染ませるのは難しいことなんですけど、この曲はスムーズにレコーディングできました。