ここからは2016年1月1日に配信されるサウンドドラマ「厨病激発ボーイ」にフィーチャー。ドラマ収録当日のスタジオにお邪魔して、このドラマにヒロイン・下川美咲役として出演する真山りか（私立恵比寿中学）と、原案という形で携わったれるりりの対談を実施した。映画版「脳漿炸裂ガール」を巡る一連の作品群ですでにコラボレーション済みの両者。そんな2人に、ドラマについて、れるりり楽曲を起点に拡散し始めた「厨病激発ボーイ」ワールドについて何を思うのか、大いに語り合ってもらった。

歌っているところしか知らなかったがゆえの感動が

──収録おつかれさまでしたっ！

真山りか　ありがとうございますっ！

──いかがでした？

真山　緊張しました！ 以前にもアフレコは経験していたんですけど（参照：エビ中真山「龍ヶ嬢七々々の埋蔵金」で念願の声優デビュー）、それでも共演者の皆さんにご挨拶しているときから「どうしよう、どうしよう」ってなっちゃってました（笑）。

──でも堂々と演技なさってましたよね。以前、真山さんはオラオラ系かオタク系かと聞かれれば後者だと言っていて……（参照：ニコナタ（音楽）私立恵比寿中学インタビュー）。

真山　完全なるインキャラです（笑）。

──でも今日はバッチリ、リア充女子・下川美咲になりきっていた。

真山　ホントですか？

れるりり　うん、すごかったよ。

真山　うーん……（笑）。私が演じさせてもらった美咲ちゃんは、主役の残念キャラ4人組のことを「あっ、普通の女の子の目から見ても残念なんだな」って思ってもらうための引き立て役で。だからサウンドドラマを聴く人が共感できるお芝居ができたら、と思ってはいたんですけど、それがなんとか形になったのは、共演者の皆さんに引っ張っていただいたからというか……。

──でもれるりりさんは「すごかった」と言っています。

れるりり　ええ。歌っているところしか知らなかったから、余計に感動しちゃいました。

私のほうがれるりりさんのことを知ってるのに

──あっ、そうか。映画「脳漿炸裂ガール」に柏木（ひなた）さんが主演して、真山さんもエビ中として楽曲版「脳漿炸裂ガール」をカバーしているし（参照：エビ中夏の新作に「脳漿」カバー、チャランポ小春と井手コウジの楽曲も）、面識は……。

真山　「脳漿炸裂ガール」のレコーディングに立ち会っていただきました。でもその日は緊張のあまりうまく歌えなくて、後日また録り直すという（笑）。

──ニコニコ動画を好きで観ていた真山さんだからなおのこと。

真山　まさか好きなボカロPの前で好きな曲を歌うとは思わないじゃないですか。ビックリですよ（笑）。しかもエビ中のために原曲をアレンジしてくださって。

れるりり　したっけ？

──あはははは（笑）。

れるりり　ああ、キーを落としたりしたかな。でもレコーディングはスポーツみたいだったよね。「この小節からこの小節まで息継ぎしないで歌えるか」みたいな。

真山　あの曲以来、速い曲が歌えるようになりました（笑）。

れるりり　滑舌もよくなりそうだよね（笑）。あの歌って完璧に歌える人間はまずいないはずなんですよ。

──ボカロ＝シンセに歌わせるために書いた曲ですもんね。

真山　なので人間の私たちは好き勝手に楽しく歌わせてもらいました（笑）。でもアニメ化されるコミックのマンガ家さんにも思うんですけど、サウンドドラマとか、映画とか、私たちのカバーみたいに、ご自分の曲がいろんな形で広がっていくのってどういう感じなんですか？

れるりり　「僕の曲をダシにみんなで遊んでくれや」と。ひと言で言うとそんな感じですね。

真山　心が広い（笑）。

れるりり　だからエビ中の「脳漿炸裂ガール」もすごくよくて。僕は「音楽って楽しいんだぞ」っていう気持ちをみんなと共有したいから、曲や小説や映画を聴いたり、読んだり、観たりした人にも楽しくなってもらいたいし、カバー曲や小説や映画を作ってる人にも楽しく作ってもらいたいので。好き勝手に解釈して楽しく歌ってもらえるのはうれしいんですよね。

真山　あっ、でも映画は……。

──おっ、何か映画に含むところが？

真山　私、柏木（ひなた）が主演に決まったのって、確かナタリーさんで知ったんですけど……。

れるりり　はははは（笑）。

真山　その記事を見たとき「私のほうがれるりりさんのことを知ってるのに……」って悔しかったんですよ（笑）。だからまたこうやってご一緒できているのが本当にありがたいんですよね。

傍目に見ている中二病は心から面白いですね

──ただ、今日のご一緒の仕方はちょっと面白い。れるりりさんは「厨病激発ボーイ」という曲を書きはすれ今回のサウンドドラマには……。

れるりり　ノータッチですね。

──じゃあ客観的にサウンドドラマはいかがでした？

れるりり　主人公4人がすごく個性的で、しゃべってるのを聴いてるだけで面白い。ちゃんとサウンドドラマ向けのストーリー、キャラクターになっててすごいなあって感じでしたね。

──熱血ヒーロー志望、二次元萌え、妙なリアリスト、自分をクールな魔法使いだと信じている“邪気眼”系。4人とも立派な中二病ですもんね。一方声優として「厨病激発ボーイ」にタッチした真山さんはこのお話をどう読みました？

真山　うーん……癒される？

れるりり　この話に？（笑）

真山　休み時間に男子が会話しているのを、スクフェス（スマートフォン用ゲーム「ラブライブ！スクールアイドルフェスティバル」）とかをしながら「なんか面白いこと話してんなあ」って聞いていた光景を思い出すというか。その光景を俯瞰している感じで、なんかほっこりしちゃいました。「中二病っていい病気だなあ」って（笑）。

──中二病に憧れますか（笑）。

真山　自分がやってた中二病っぽい行動はただの黒歴史なんですけど、傍目に見ている中二病は心から面白いですね（笑）。

──で、今回のサウンドドラマは元日に刊行される小説版「厨病激発ボーイ」とどういう関係に？

真山　前日の話というか、時間的には小説の前に起きたエピソードです。

──じゃあ今後小説が続刊されれば、巻と巻の間の物語を描くサウンドドラマが作られることも？

真山　だといいですねえ。期待してます！

れるりり　じゃあ続編ができるように……。

──さすが原作者！

れるりり　いや、僕にはそんなパワーはないので、真山さんの事務所さんのほうから働きかけてもらえたら（笑）。

真山　がんばりますっ！