フォークな「Lights」、ビート&グルーヴな「LIFE SAVER」
──アルバム全体の印象として、ビート感のある「Life Saver」「DREAM」、ピアノの音色が印象的なバラード「Tell Me Why」、コーラスワークが美しい「PASSION」などアレンジの幅が広がった印象を受けました。
「Lights」はフォークっぽいイメージが強い作品になったから、強いビートが欲しかったんです。どうしてもギター1本で作るとビートは後回しになってしまうから。いろんな手法で作曲していった結果、自分が心地よく曲を作れるのはいいビートやグルーヴが見つかったときだとわかったので、今回はその2点を意識したんです。
──「Little Green Bird」や「Moonlight」など、去年の12月のワンマンで披露された曲も何曲か入ってますが、アレンジは変えましたか?
「Little Green Bird」は歌詞の言い回しを変えました。もともとCDに残すつもりはなかった曲なんですけど、ライブでの評判がよかったのと、このアルバムのコンセプトにピッタリだったので入れることにしたんです。一緒に暮らしているインコのココちゃんのことを歌った曲なんですけど、ずっとペットショップにいたココちゃんを連れて帰ってきたことも「LIFE SAVER」したことになるんじゃないかなと思って。「Moonlight」は今回収録するにあたって、イメージ通りのアレンジを施すことができました。
──「Little Green Bird」はワンマンでも制作時のエピソードをたくさん話していたので、印象的だったんです。
ココちゃん、僕になかなか懐かないんですけどね(笑)。最近やっと「バイバイ」とか、ちょっとずつ言葉を覚えてきてます。
──「Little Green Bird」だけがすべて英語詞になっているのですが、これはなぜ?
ココちゃんはあんまり日本語を覚えないので……生まれがきっと英語圏だから(笑)、生まれた場所の言葉を使ったほうが、もしかしたら心を開いてくれるんじゃないかと思って英語で歌詞を作ったんです。歌うときは日本語に直そうとも思っていたんですけど、あえてこのままにしました。
すべての曲がギター1本で弾けて当たり前
──エドから「いろんな楽器を使う」「いまいちだと思っても最後まで作ってみる」など、さまざまな作曲のコツを対談で伺っていました。その中でもアルバム制作中、特にピンときた方法はありましたか?
音楽の作り方としては特別珍しいものではないんですけど、先にビートを作ったり、音を重ねていって、あとから言葉を乗せていくっていう方法はこれまで試したことがなかったんです。今まではギターでメロディやコードを鳴らして、そこに言葉を当てはめていたんですけど、それだと出てくる言葉があまり広がらなかったんです。今回さまざまな方法で曲を作れるってことがわかったし、それが僕にとって新しかった。それから、どんな曲でも最後まで書いてみるのも大事なことで。自分ではボツだと思っても、ほかの人が聴いてみたらいい曲だと思うかもしれないんですよね。今回の制作を通じて、自分の楽曲を客観的にとらえられるようになりました。
──作曲の手法だけでなく、曲作りに対する意識も変わってきた?
そうですね。そこに関してもやっぱりエドと話せたことが大きくて。僕は彼のルーツやセンスだけでなく、どんなメンタリティで音楽を作っているのかにすごく興味を持っていたんです。ある1つの出来事に対して、エドはどのように接するのか、またその接し方には僕と共通している部分があるんじゃないか、とか。だから「こういうふうに感じるよ」とか「こういうときはこんな歌が書ける」みたいな話を聞けたことが僕にとっては大きかった。あとは何よりも楽しんで曲を作ること、いっぱい曲を作ることとか、当たり前のように思えるけど、実はすごく大切なことを教えてもらって。
──今回のアルバムでは「Life Saver」がオリジナルバージョンとアコースティックバージョンの2種類用意されていますが、前作「Lights」にも「生きる」が2バージョン収録されていました。必ずアコースティックバージョンを入れている理由は?
「Life Saver」のオリジナルバージョンはアコースティックからちょっとはみ出たテイストになったので、2つのテイクを用意しました。前作の「生きる」は僕が一番最初に作った曲だったから、色を付けないバージョンも収めておきたかったんです。あと、どんなにCDでアレンジを加えた曲でも、必ずギターだけで披露できるようにしておくべきだと思っていて。「PCとかLoop Stationがないと演奏できません」ってなったら、曲を作る意味がまったくないし。だからライブでもギター1本で弾けるようにしています。
──そんな意味があったんですね。
あと、海外のアーティストだと、ボーナストラックでアコースティックバージョンが入っていることがあるじゃないですか。あれがオリジナル版とはまた違ったよさがわかるから好きで、それを自分でもやってみたかったのもありますね。
──数種類のバージョンが用意されることで、ReNさんの楽曲のさまざまな側面が見えてきますね。
それもそうだし、アレンジの違いをより楽しめるようになると思うんです。CDもライブも、どちらを聴いても楽しいと思ってもらえるアーティストになりたいですね。CDはCDで、そのときのベストなテイクを用意しつつ、さまざまなスタイルを試して残していくのがいいのかなと思います。そしてライブではこれまで作ってきた楽曲をさらに進化させていきたいです。
──アルバムリリース前の6月25日に東京・新代田FEVERでワンマンライブが行われましたが、その後の動きはどんな感じになりそうですか?
レコ発ツアーもあるし、夏フェスへの出演も決まってます。まずはワンマンをスタートラインにして、これからのライブでよりパフォーマンスを洗練していきたいと思います。新たにLIQUIDROOMでのワンマンも決定したので、アルバムの楽曲をライブでさらに磨いていって、半年間楽しんでいきたいです。
- ReN「LIFE SAVER」
- 2017年6月28日発売 / booost music
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初回限定盤 [CD]
2500円 / REN-1003 -
通常盤 [CD]
2500円 / REN-1004
- 収録曲
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- What I'm Feeling
- Life Saver
- Umbrella
- DREAM
- Tell Me Why
- Little Green Bird
- Moonlight
- Be My Girl
- PASSION
- Life Saver (Acoustic ver.)
- ReN 「LIFE SAVER」ONE MAN TOUR
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- 2017年9月29日(金)神奈川県 横浜BAYSIS
- 2017年10月21日(土)宮城県 enn 2nd
- 2017年10月23日(月)愛媛県 Double-u studio
- 2017年10月24日(火)香川県 高松TOONICE
- 2017年10月26日(木)大阪府 梅田Zeela
- 2017年11月6日(月)鹿児島県 SR HALL
- 2017年11月7日(火)福岡県 BEAT STATION
- 2017年11月11日(土)愛知県 APOLLO BASE
- 2017年11月15日(水)新潟県 CLUB RIVERST
- 2017年11月21日(火)岡山県 CRAZY MAMA 2nd Room
- 2017年11月23日(木・祝)山口県 LIVE rise SHUNAN
- 2017年11月24日(金)広島県 HIROSHIMA BACK BEAT
- 2017年12月15日(金)東京都 LIQUIDROOM
- ReN(レン)
- 現在22歳のシンガーソングライター。10代でイギリスに単身で渡った際UKミュージックに衝撃を受け、20歳の春から本格的な音楽活動を始める。ライブではLoop Stationを駆使し、コーラスも含めすべて1人で演奏するスタイルで楽曲を披露している。2016年6月に1stアルバム「Lights」を発表し、全国6カ所を巡るレコ発ツアーを開催。ツアーファイナルとして行われた東京・shibuya eggmanでのワンマンライブはソールドアウトし成功を収めた。2017年3月には自身が多大なリスペクトを寄せる、エド・シーランとの対談企画に参加。この模様はスペースシャワーTVのエドの特別番組内でオンエアされた。同年4月にはONE OK ROCKの全国ツアー「"Ambitions" JAPAN TOUR」の福岡公演にゲストアクトとして出演。6月に自身2枚目となるアルバム「LIFE SAVER」をリリースした。