レキシ「レキシチ」特集|7人の著名人が考える7thアルバムのキャッチコピー (2/5)

──次は池ちゃんと付き合いの深いこの方です。

八嶋智人

八嶋智人

キャッチコピー

「レキシチ」とは「面白き 事もなき世を 面白く」である。

コメント

縄文のギガ昔から人類には LOVE&MUSIC があった。悠久の歴史の中に今の僕らもいる。ひじかた張らずレキシの MUSIC に身を任せ LOVE を享受しようではないか。だって! 住みなすものは 心なりけり なのだから。

八嶋さん! つい2日前にも電話で話したばかりだよ。

──本当に仲がいいんですね。八嶋さんは「劇団シキブ」というレキシネームで、レキシの1stシングル「SHIKIBU feat. 阿波の踊り子」のMVに出演されています。

すごく大好きで尊敬してます。でも、このキャッチコピーはネタバレだわあ(笑)。まだ高杉晋作はレキシで取り上げてないから。

──あ、確かに!

まあ、ゆくゆく高杉晋作ネタで曲を書いたら、八嶋さんにMVかなんかに参加してもらうから。

──ここで、壮大な伏線が張られました(笑)。

(コメントを読んで)八嶋さんもうまいこと言うね。歴史のワードが細かくちりばめられてる。ちなみに最後の「住みなすものは 心なりけり」っていうのは、「面白き 事もなき世を 面白く」の受けの句だから。

──ものすごく考え抜かれたコメントなんですね。

「俺、うまいこと言うでしょ!」ってドヤ顔が目に浮かぶ(笑)。八嶋さんは本当に歴史が好きで、自分で主宰してる劇団も歴史をテーマにしたものが多いんだよね。以前、レキシの楽曲をもとに河原雅彦さんが脚本・演出を手がけた「愛のレキシアター『ざ・びぎにんぐ・おぶ・らぶ』」ってミュージカルが上演されたことがあって、八嶋さんも出演してくれていて。千秋楽に俺も少しだけ出させてもらったんだけど、八嶋さんのステージ裏での立ち振る舞いがとにかくカッコよかった。

──どんな感じだったんですか?

千秋楽の終盤のシーンだったんだけど、出番前に舞台の袖にいたら、八嶋さんが「さあ、みんなで舞台を盛り上げて行こう!」って出演者を鼓舞していて。千秋楽なのに初日くらいのハイテンションで。八嶋さんのエンタテイナーとしての度量の大きさを感じたね。もちろん素晴らしい役者さんだと思っていたけど、その姿を見て、改めて尊敬すべき人だなと。とにかくエネルギッシュだし、ポジティブ!

──確かに、そういうイメージはありますよね。

レキシのライブにも、いつも袴Tシャツを着て、稲穂を持って来てくれるからすごく目立ってるんだよ。「八嶋さん、目立ちすぎでしょ!」って言ったら、「むしろ声をかけてもらいたい」って(笑)。芸能人とか役者さんってライブを観に来るときとか、みんな目立たないようにするじゃん。でも八嶋さんは、「僕は八嶋智人です!」ってオーラを全開にして、ライブでも自分を解放して踊りまくってるから。本当に素晴らしい感性の持ち主だと思う。人としてのパワーがすごいし、それが演技にも表れてるんだろうね。

──次の方は、少し意外な人選かもしれません。小説家の西加奈子さんです。

西加奈子

西加奈子

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真剣にふざけてるから、かっこええんやで。

コメント

ふざけようとしてふざける人はたくさんいるけれど、誠実な心でもって真剣にふざけることが出来る人は稀です。それは、正真正銘の子供か、スーパースターにだけ出来る所業です。

やばば、加奈子! 「夜が明ける」じゃん(笑)。

──西さんは、明石家さんまさんが企画 / プロデュースを手がけられたアニメ映画「漁港の肉子ちゃん」の原作者としてもおなじみです。

そうなんだよね。俺、文学界のこととか全然知らないから、最初に会ったとき有名な作家さんだって知らなくて。でも、このコメントは、そっくりそのまま加奈子にも当てはまると思う。すごい作家さんなのに、ピュアで感動屋で。おいしいものを食べたら「何これ! おいしい!」とかストレートに喜ぶし。イメージとしてはアンミカさんくらいのテンション。いや、アンミカ以上かもしれない(笑)。

──すごくわかりやすい例えです(笑)。

とにかく感情表現が豊かな人なんだよね。小説家の人とかって、どこか物事を斜めから見てるような印象があったんだけど、加奈子には、そういうところが全然ない。とにかく、どストレート。まさにスーパースターなのにピュアな子供みたいな人で。

──そもそもは、どんなつながりなんですか?

作家の阿川佐和子さんに紹介してもらったんだよね。定期的に阿川さんやU-zhaanと食事会をしてるんだけど、あるとき、阿川さんが加奈子を呼んでくれて。そこから仲よくなった。今、カナダに移住しちゃってるから全然会えてないんだけど。で、加奈子の縁で作家の村田沙耶香さんとも知り合いになって。彼女も「コンビニ人間」って本ですごい賞を取ってるんだよね?

──芥川賞です。

そうだ(笑)。俺、全然そのあたりのことわかってないから「グラミー賞みたいな感じ?」くらいの感覚で(笑)。普段あまり本を読まないタイプなのに、どんどん作家の知り合いが増えていく。

──そういう場で、歌詞や言葉について話したりすることは?

まったくしない(笑)。だから、みんな居心地いいんじゃないかな。俺もそうだし。ただただ、「これ、めちゃくちゃウマい!」みたいなことしか話してない。それがいいんだと思う。みんな普段机に向かってストイックに文章を書いてるわけだから、俺みたいな人間と会うのは息抜きなんじゃない? 世代も職種も違うけど、同級生みたいな感じでワイワイやってる。加奈子がカナダから帰ってきたら、またごはん食べに行きたいね。

──さて、いよいよキャッチコピーも最後の7人目になりました。

ちょっと待って……。水飲んで休憩していい? この企画めちゃくちゃカロリー高いわ(笑)。意外な人がどんどん出てくるし……よし! 最後は誰や?

──ちなみに誰だと思いますか?

誰だろう。親戚のおじさん感があるGAMOさんで始まって、途中に姪っ子っぽいひなが登場してるから、最後は父親っぽい人が出て来るのかな。うーん……意表をついて実家の父親とか? わかった、トシオだ!

──違います(笑)。最後を飾っていただくのはこの方です。

錦戸亮

錦戸亮

キャッチコピー

今の僕にはまだ分からない

コメント

約束の期日を過ぎてかれこれ数時間。
このような形で文章を作るという行為が初めてなので、という言い訳から始めてみます。
一足先に聴かせていただいた「レキシチ」先ずは一通り全曲通して聴くつもりが、
ある曲で止まってしまいまして、結果その曲を何度も何度も繰り返し聴いてしまいました。
新大阪-品川間の京都-新横浜くらいをその“ある一曲”だけで過ごしてしまい、
後日無事に一通り聴いたんですが、この文章を作っている今現在も頭の中でピアノの音が鳴ってます。
皆様それぞれに“ある一曲”が見つかるはずです。
だって、ただただ素敵だから。

出たー! 最後は亮か! うれしいね。「今の僕にはまだわからない」か。すごく亮っぽいキャッチコピーだなと思う。コメントも含めて誠実さが表れてるね。

──とてもじっくり聴き込んでくださったようです。

だろうね。本当に真面目な人だから。あと、彼はとにかく音楽が大好き。ずっと自分で曲を書いてるんだけど、ある日突然、デモ音源を送ってきてくれたことがあって。

──へえ!

「古墳っぽいイメージの曲ができたんで、よかったら聴いてください」って。亮が音楽好きなのはもちろん知ってたけど、そのデモ音源を聴いて、音楽と真剣に向き合ってる感じが改めて伝わってきて、さらに好感度がアップした。また亮が好きなレキシの曲もすごくマニアックなんだよ。「S&G」というシングルを出したとき、カップリングに「BANASHI」っていう昔話風のポエトリーディングを入れたんだけど、あれのバックトラックが大好きだっていうんだよね(笑)。

──マニアックにも程がある(笑)。

ヤバくない? でも、俺めちゃくちゃうれしくて。そのトラックって、いつか何かに使いたいと思って、15年くらいストックしてたものなんだよね。メロディもすごく気に入っていて。それをいいと言ってくれるわけだから、たぶん俺とメロディのツボが近いんだろうね。ほかには「墾田永年私財法 feat. 田ンボマスター」とか「アケチノキモチ feat. 阿部sorry 大臣ちゃん」が好きって言ってた。

──メロディアスなバラードが好みだとしたら、今回のアルバムもきっとお気に入りになるでしょうね。ちなみに錦戸さんとのつながりができたのは?

もともとレキシの曲を好きで聴いてくれていて。友達が「狩りから稲作へ」をカラオケで歌ってるのを聴いてハマってくれたみたい。下北沢の440でライブをやったときにスケボーでやって来たり、地方のライブとかにも、亮は突然ふらっと現れるんだよね。あと、古墳を一緒に見に行くこともあるよ。

──ええっ、錦戸さんとリアル「古墳へGO!」!?

亮はあんまり興味ないかもしれないけど(笑)、「古墳、見に行かない?」って誘うと、いつも付き合ってくれる。とにかくイイ奴。まだ機会がなくて行けてないけど、亮のライブも観てみたいね。

──というわけで、それぞれのキャッチコピーとコメントをご覧になっていかがですか?

面白かったね! 歌詞だったり、メロディだったり、レキシとしてのスタンスだったり、みんなそれぞれ違うポイントでアルバムを聴いてくれて。ありがたいことですよ、本当に。今日は充実の取材をありがとうございました。

──ということで、ここからはニューアルバムについて語っていただきます。

えっ! まだ後半があるの!?