ナタリー PowerPush - RAM WIRE

暴露話だらけ! 苦節13年の舞台裏トーク

きっと売れる人だろうと思ってた

──この3人でRAM WIREとして動き始めたのは、2005年の「COME TO MAJOR」というオーディションで落選したことがきっかけだったんですよね。

RYLL そうですね。どうせ2人は優勝してメジャーデビューするんだろうと思ってたから、僕はただ羨望の眼差しで見てました。

ユーズ でも見事にダメで、もう辞めようかって話をMONCHとしてたら、RYLLが止めてくれて。

RYLL それまで2人がどんな苦労をしていたのか、そのオーディションにどれだけ賭けていたかをよくわかってなかったから、空気も読まずに「まだやろうよ、3人で!」って言っちゃったんです。

MONCH 事情がわからなかったから軽く言えたわけで、それがよかったんだよね。

RYLL 言った手前、ちゃんと続けないといけないっていう責任も感じましたけど。

──前回ユーズさんは「あの日RYLLが一緒にやろうと言ってくれなかったら、間違いなく辞めてた」と言ってますよね。

ユーズ うん、そうなんですよ。

RYLL まあ便乗ですけどね。きっと売れる人だろうと思ってたから。

ユーズ そうだったのか! 

大事なときのユーズは本当に頼りになんない

──でも3人が出会ってからデビューまで、5年ほどかかるんですよね。

MONCH はい、真面目にデモを送り続ける日々が続きましたね。たまーに連絡があると、超うれしいんですよ。どんなに小さくて知らない会社でも、連絡をくれたところにはどこでも行ってましたね。

左からユーズ(Vo)、MONCH(Vo)

RYLL あと、所属を断りにいったこともあったじゃん? あの日のことはすごくよく覚えてるんだよね。

MONCH あ、あったね! あるレコード会社さんに所属できるって話になったんですけど、あとからもっと大手の会社に呼んでもらっちゃって、天秤にかけた結果、大手のほうを選ぶことにして。最初に声をかけてくれた会社に断りに行ったんです。

RYLL 今思うと、本当に生意気な選択したなって感じですよね。それで3人で丸テーブルに座って話をしたんですけど、担当の人が貧乏揺すりをしていて。

ユーズ すっごい怒ってた!

RYLL 「なんでウチじゃだめなの?」って言われて。でも「大手から声をかけてもらったので」とは言えなくて。

ユーズ そういえば私、トイレに逃げたわ(笑)。

──えーっ!

MONCH そうそう! 話の途中でいなくなったんだよ! マジで驚いたわ。

ユーズ だってあの場にはいれなかったよ。ピリピリしすぎてて。

RYLL 大事なときのユーズは本当に頼りになんないんですよ。僕のほうをチラチラ見て「言うんだRYLL!」みたいな顔して、勝手にいなくなるっていう。

ユーズ あはははっ!

RYLL あれはつらかったなー。修羅場だったよ。

ユーズ あー、笑いすぎて鼻水出ちゃった(笑)。

1人でやったほうが金銭的にも将来的にも……

──2月にリリースしたシングルで、今回のアルバムにも収録されている「何度も」は特に思い出深い曲なんですよね。

MONCH はい、ソニーに所属できることになったけど、なかなかデビューが決まらなかった時期の歌で。帰り道の総武線で吊り革を持って、ため息ばっかりついてた頃ですね。だから正直、総武線に乗ると今でも当時のことを思い出すんですよ。ハッピーな気持ちで帰ることなんてほとんどなかったから。

──もうくじけそうなときだった?

MONCH また同じかって思ったんですよ。いろんな会社に行って「デビューできるよ」って何度も言われて、でも全部だめだったから。やっぱり今回も無理なのかなって。だけど、夢は捨てきれなかったし、なんとかあがいてたんですけど……。

ユーズ(Vo)

ユーズ うん、ずっとあがいてたね。

MONCH もう、どう言葉にしていいかわかんない感情だわ。

ユーズ 家族にも友達にも話していたし、これで諦めたらダサすぎでしょって。

MONCH ファンが一番の支えでしたね。mixiでたくさんメッセージをいただいて、RAM WIREが大好きって言ってくれる方がいて。そういう人が1人でもいるんだったら、まだがんばらなきゃって思ってました。

──そのときRYLLさんはもうJUJUさんに楽曲提供をしていて、ソニーにつながったのもそれがきっかけだったわけですよね。他の2人とはちょっと違う立場から現状を見ていたと思うんですが。

RYLL そうなんです。だから「がんばろうよ!」って言うしかなくて。デビューがすぐそこに見えていたし、なんとかしたいって気持ちでしたね。

──率直に言えば、RYLLさんはRAM WIREではなく、個人として活動していく道もあったかと思うんです。

RYLL はい……考えてはいましたよね。

MONCH だろうね。

RYLL 当時はやっぱり……外でやるほうが、はい。

ユーズ はっきり言っていいんだぞ!

MONCH 前回ユーズはあそこまでぶっちゃけたんだし。

RYLL じゃあ言うけど、1人でやったほうが金銭的にも将来的にも、可能性があると思ってました。

MONCH 言ったねぇ!(笑)

RYLL でもRAM WIREを途中で投げ出したくなかったし、辞めようとしていた2人を止めたのも僕だから、意地もあったんです。本当にRAM WIREに賭けてたんですよ。ただ2人とも疲れきっていて、僕が励ましたところでもうがんばれない状況だった。だから僕が環境を作るしかないと思っていて。僕は音楽の仕事が好きだったし、その楽しさをもっと2人に伝えたかったんです。

ニューアルバム「ほどく」 / 2013年5月1日発売 / Sony Music Associated Records
初回限定盤[CD+DVD] 3780円 / AICL-2470~1
通常盤[CD] 3059円 / AICL-2472
CD収録曲
  1. 何度も
  2. Stand Alone
  3. Beautiful World
  4. 歩み
  5. 大丈夫、僕ら
  6. 秘密
  7. Vitalis
  8. 蕾よいつか花となれ
  9. PRESENT
  10. ALIVE
  11. わたしあうもの
  12. 名もない毎日
  13. きぼうのうた
初回限定盤DVD収録内容
  1. Beautiful World Music Video
  2. 秘密 Music Video
  3. 歩み Music Video
  4. 名もない毎日 Music Video
  5. 大丈夫、僕ら Music Video
  6. 何度も Music Video
RAM WIRE「ほどく」発売記念 全国インストアイベントサーキット開催!
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RAM WIRE(らむわいやー)

ユーズ(Vo)、MONCH(Vo)、RYLL(Trackmaker)の3人からなるユニット。2001年、千葉のクラブを拠点にユーズとMONCHの2人で活動を開始し、2005年よりRYLLが加入する。その後はライブや自主制作盤のリリースなどを中心として活動を展開。2008年にはRAM WIREと並行してトラック制作を続けていたRYLLの楽曲が、Spontania feat. JUJUのシングル「君のすべてに」としてリリースされる。これがきっかけとなりRAM WIREも大きな注目を集め、2010年にミニアルバム「Beautiful World」でメジャーデビューを果たす。2011年9月リリースのシングル「歩み」は映画「僕たちは世界を変えることができない。But, we wanna build a school in Cambodia.」の主題歌に起用されてスマッシュヒットを記録した。2012年6月、ミニアルバム「名もない毎日」を発表。タイトル曲のビデオクリップはお笑い芸人・鉄拳によるパラパラマンガで構成され、話題を呼んだ。2013年2月には3rdシングル「何度も」を、同年5月に1stフルアルバム「ほどく」をリリースした。