Qyoto|北海道で生まれたこの冬をキラキラ彩る青春ソング

バイオリニストやサックス奏者を擁する京都出身の現役大学生6人組バンド、Qyotoが3rdシングル「真冬のダイアリー」を12月19日にリリースした。

表題曲「真冬のダイアリー」は今年8月から11月までQyotoがレギュラーを務めたAIR-G'「FM ROCK KIDS」において、リスナーから募集した「これぞ青春」と思えるエピソードをもとにして歌詞を書き上げたという。音楽ナタリーでは、ボーカルの中園勇樹にインタビューを実施。制作の背景、デビュー2年目に入ったバンドの現状などをじっくりと聞いた。

取材・文 / 田山雄士 撮影 / 塚原孝顕

どこか京都に似た北海道との縁

──今回は勇樹さん単独でのご登場ですが、1人でインタビュー取材を受けることはこれまでありましたか?

実は今回のタイミングが初めてなんですよ。

──でも、ラジオをレギュラーでやっているから、話すのはかなり慣れたんじゃないですか?

いやいや! そんなことないです(笑)。だけど、前回のシングル「It's all in the game」を今年7月にリリースしたあと、8月から北海道のAIR-G'「FM ROCK KIDS」さんでラジオをやらせていただいてるのは、すごくいい経験になってます。QyotoがCDを出すのも「真冬のダイアリー」でもう3枚目になるし、ライブもたくさんやって、気付きや感情の変化は常にありますね。10月には初めてのワンマンライブ(10月19日に大阪・ヒルズパン工場で開催された「Qyoto road to Qingdom “初めてのワンマンライブ”」)もできました。

──初ワンマンはどうでした?

中園勇樹(Vo)

デビューして1年間ずっと、メンバー全員で「ワンマンやりたいね」って言ってたので、本当に念願が叶った感じでした。今は次のステップを話し合う段階に入ってますね。

──ライブハウスでがっつりパフォーマンスできる機会が増えてきましたよね。それこそ、さっきのラジオのイベントでスピッツとZepp Sapporoに立つこともあって(参照:AIR-G'「FM ROCK KIDS」30周年ライブにスピッツ、ブルエン、岩ヰフミト、Qyoto)。

そうなんですよ、本当に恐れ多くも……! Zepp Sapporoでのライブも夢のようで、出演が決まったときはすごくうれしいと同時に、Qyotoとしてしっかりしたものをお客さんにお見せできるか不安もありました。でも、当日はステージに向かうにつれてぜんぜん緊張しなくなって。普段は僕、けっこう緊張しいなんですけどね。

──最初にインタビューしたときも、「次のお台場のライブ、どうしよう……」って緊張されてたのを覚えてます(参照:Qyoto「太陽もひとりぼっち」インタビュー)。

あはははは!(笑) そうでしたよねえ。Zepp Sapporoのときは今までで一番お客さんも入ってたのに、逆に冷静になれたというか。北海道のお客さんの雰囲気やステージで感じる視線が温かくて、自然と落ち着けたんですよ。リラックスしていいパフォーマンスが見せられたと思います。個人としてもバンドとしても成長できているのかもしれないですね。

──「第38回さっぽろホワイトイルミネーション」点灯式で歌うなど、北海道に何かと縁が増えてきてますね。

大好きになりましたね、北海道。Qyotoを始める前は行ったことがなくて、ラジオがきっかけで初めて行けたんですけど、京都とちょっと似てる感じがして。街並みもそうだし、ホッとするような親しみやすさがあります。今年になって何度も足を運べて、うれしい急展開というか。このバンドは組んだところから、ずーっと急展開続きですね(笑)。

──「真冬のダイアリー」のライブでの初披露も北海道だったんですよね?

そうです、そのZepp Sapporoで。「FM ROCK KIDS」さんの番組がきっかけで生まれた曲を番組30周年記念イベントの大きな会場で披露できたのは最高でしたね。

新曲には初挑戦が満載

──新曲の「真冬のダイアリー」は文字通り冬の曲で、また新しいQyotoの一面が感じられます。

Qyotoは夏のイメージが強いとよく言われるのですが、そこを変えてくれそうですよね。僕らも「Qyotoって、やっぱり夏の曲が中心になっていくのかな?」なんて気になりかけてたけど、北海道とのご縁が冬の楽曲につながった感じで。実際、冬の曲をやってみたら発見もたくさんありました。例えば、HIROKIのバイオリンの音色はより映えますし。歌詞にしても、こんなに季節を意識して書いたことがなかったんですよ。

──確かに、デビューシングルの「太陽もひとりぼっち」も夏を全面に出した歌詞というわけではなかったですね。

「太陽もひとりぼっち」はサウンドで夏が浮かぶ感じだけど、「真冬のダイアリー」は歌詞から「雪」というワードをわかりやすく散りばめています。とにかくQyotoにとって初めてのことが満載な3rdシングルかな。ラジオのリスナーの皆さんと一緒に曲を作れたのも含めて、すごく楽しかったですね。

──小樽でのミュージックビデオの撮影は楽しかったですか?

小樽はどこに行ってもめちゃくちゃ素敵でした。雨予報だったんですけど、海辺での撮影のときは奇跡的に晴れて、太陽の光がベストな状態で差し込んできて、「今撮ろう、今撮ろう!」みたいな感じで。運がよかったですね。北一ホールとか、港の辺りのほかにも有名な場所をいろいろ回らせてもらって。抑えた照明の中に大きいシャンデリアがあるカフェで、そこの雰囲気もすごくよくて。

──いいですねえ。

あ! でも、撮影のときはカラスがたくさんいて、それを避けるのが大変でしたね。MVもどこかでカラスちゃんがカメオ出演しちゃってるはず(笑)。フンを落とされかけたけど、ギリギリでかわしました。

中園とHIROKIの対照的な歌詞

──「真冬のダイアリー」の歌詞は、Qyotoがレギュラーを務めたAIR-G'「FM ROCK KIDS」でリスナーから募集したエピソードがもとになっています。そもそも「真冬のダイアリー」をリスナーといっしょに作ることになった経緯というのは?

レギュラーでラジオを担当させてもらったことも、番組の30周年アニバーサリーライブに誘っていただいたのも本当にうれしくて。何かしら感謝の気持ちをラジオを通して伝えたかったんです。なので「そのZepp Sapporoで初披露する曲をリスナーの皆さんの協力を得て作ろう!」と思いました。今回はいろんな感謝があるんです。「FM ROCK KIDS」さんのラジオとイベントがなかったら、リスナーの方々の協力がなかったら、「真冬のダイアリー」は生まれてない。冬の曲を作る構想さえもともとの僕らにはなかったから、そういう意味でもありがたくて。しかも、季節に合う最高のタイミングでリリースできますしね。

中園勇樹(Vo)

──具体的にはどんなふうに募集を?

「歌詞のフレーズをそのままください」ではなくて、リスナーの皆さんの青春エピソードをラジオの投稿として送っていただきました。Qyotoは青春を歌ってるバンドなので。「ご自身の体験談」や「憧れる青春」とかですね。それを1つひとつ読ませてもらって、共感したポイントなどを歌詞に落とし込んで。HIROKIが1番を、僕が2番を書いてます。

──Qyotoらしい合作スタイルですね、今回も。

はい。最初に各自で1曲分を書いてきたんですけど、HIROKIの歌詞は冬の情景から入って、恋愛のキラキラを描いていたんで流れがよくて、1番の歌詞になりました。「冬」が大きなテーマだったので、まず冬の情景が脳裏に浮かぶほうがいいじゃないですか。ラジオで送っていただいたエピソードには、ハッピーエンドも切ない終わり方も、もどかしい話もあったんですけど、結末に至るまでの過程がどれも素敵だと思ったんですね。その過程の感情を大切にしながら僕は書いてみました。例えば「高校生のときって車は乗れないけど、カッコよく運転してみたい」とか、葛藤の部分を汲み取って表現した歌詞が多いですかね。

──言われてみると、1番と2番で対照的な色がありますね。

出てると思いますね。「真冬のダイアリー」と書いてきたのはHIROKIなんですけど、すごくサビの頭のメロディに合ってたので、「これをタイトルにしよう」ってすぐに決まった感じで。

Qyoto「真冬のダイアリー」
2018年12月19日発売 / アリオラジャパン
Qyoto「真冬のダイアリー」初回生産限定盤

初回生産限定盤 [CD+DVD]
1500円 / BVCL-932~3

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Qyoto「真冬のダイアリー」通常盤

通常盤 [CD]
1000円 / BVCL-934

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初回生産限定盤CD収録曲
  1. 真冬のダイアリー
  2. I'm a looser
  3. 真冬のダイアリー -Thanks Message-
初回生産限定盤DVD収録内容
  • 真冬のダイアリー MUSIC VIDEO
  • 真冬のダイアリー MUSIC VIDEO -making-
通常盤CD収録曲
  1. 真冬のダイアリー
  2. I'm a looser
  3. 真冬のダイアリー -Instrumental-
Qyoto(キョウト)
Qyoto
中園勇樹(Vo)、HIROKI(Violin)、TSUCHIYA(G)、TAKUYA(B)、KENSUKE(Dr)、RYOTA.(Key, Sax)の6人からなる京都出身のバンド。京都市内でストリートライブを行っていた中園に、HIROKIが声をかけ2016年に結成された。2017年8月にフジテレビ系ノイタミナ枠のアニメ「DIVE!!」のオープニングテーマ「太陽もひとりぼっち」でデビューを果たした。2018年7月にはテレビ東京系アニメ「BORUTO-ボルト- NARUTO NEXT GENERATIONS」のオープニングテーマ「It's all in the game」と、ドラマ「はんなりギロリの頼子さん」の主題歌「君と僕とアクロス・ザ・ユニバース」を収めた2ndシングルを発売。10月には大阪・ヒルズパン工場で初のワンマンライブを行い、12月19日にニューシングル「真冬のダイアリー」をリリースした。