Qyotoらしい仕掛けを詰め込んだ
──アレンジ面で初めてのアプローチはありますか?
イントロからきらびやかなウィンドチャイムやシンセの「シューッ」って音で冬がイメージできるようにしましたし、間奏も面白いと思います。2ndシングルの「It's all in the game」はロック色が強くてエレキでガンガン行く感じだったんですが、一転してバイオリンを映えさせるためにアコギを入れつつ、バンジョーをツッチー(TSUCHIYA)に弾いてもらって。切ない和テイストも出たし、冬の情景が浮かび上がるアレンジになったんじゃないかと。
──アウトロのコーラスもいいですね。ベートーヴェンの「歓喜の歌」っぽさもあって。
おおっ、そういう感じありますか!? クラシックもイメージしましたね。もともとはコーラスなかったけど、けっこう土壇場でツッチーが「なんとなく寂しいから、ここで何かしたいな」とずっと言ってたので、「そやねー」みたいな流れで生まれました。実際に入れてみたら、「やっぱり入れたほうがええやん!」って(笑)。できる限りいい曲に仕上げたい思いがあったし、最後の最後まで粘ってよかったです。
──独特の味わいがある曲になりましたね。
「冬の曲を皆さんからエピソードを募集して作る」となれば、バラードを想像した人もたぶん多いと思うんですよ。でも、僕らはアップテンポにしたかったんです。疾走感を出すために、ドラムやベースも変わったリズムにしていて。というのも、いろんな青春エピソードを読ませていただいて浮かんでくる歌詞がバラードっぽくはなかったんですよね。ドキドキする気持ちとか、明るくて高揚できるものが多かったので。
──勇樹さんがストリートで歌ってた頃はバラードがメインだったと以前話してましたけど、Qyotoはけっこうアップテンポが得意ですよね(参照:Qyoto「太陽もひとりぼっち」インタビュー)。
今のところ、そうですね。バラードはあっためてます。僕としてはそっちも得意ではあるので。「真冬のダイアリー」は曲調をはじめ、Qyotoらしいドキッとする仕掛けを楽しんでもらえれば!
沖縄のイメージにぴったりなラブソング
──カップリングの「I'm a looser」についても聞かせてください。
「I'm a looser」は沖縄の琉球朝日放送さんの「口どめ禁止」っていう番組のオープニングテーマとして使ってもらいました。そのお話をいただいたときに自分たちのストックにあった曲で、沖縄のイメージは快晴の空とか、楽しくて踊り出したくなるものだったし、この曲がぴったりだなと思って。歌詞は「真冬のダイアリー」と同じく2人で最初に書いてみたけど、HIROKIのほうがしっくりきた感じだったので、HIROKIに任せました。
──どんな点が?
なんだろう……具体的な描写からAメロが始まって、飽きさせないストーリー性があって、だんだん気持ちがまっすぐに変わっていくのが素敵で、ものすごく成立してたんですよね。「I'm a looser」っていうタイトルのダブルミーニング感もバチッときた。それを僕が歌うのも合ってると思います。
──今回のシングルは2曲ともラブソングになりましたね。書き手の恋愛観が垣間見られもするような。
ちょっと照れくさいながらも、くだけた感じが出せました。HIROKIは“looser”でもあるのかな。普段は賢くてしっかりしてるけど、はしゃぐときは超はしゃぐし、そこがギャップというか。まあ、僕がたぶん一番“looser”ですね。天然とかしょっちゅう言われるんで(笑)。
──メンバー同士で恋バナはするんですか?
いやー、ホントにしないです(笑)。仲はめちゃめちゃいいけど、メンバーの恋バナは聞きたくないなあー! 気持ち悪いとか思ってしまいそう。
100%納得できたことはない
──デビュー2年目に入ったQyotoですけど、今ならではの心境って歌詞に出てたりしますか?
じわっと出てます。歌詞同様に本当にあっという間に時間が過ぎていくのを日々味わって生きてるし、「真冬のダイアリー」で「迷路のようで出口の見えない人生」って書いたけど、音楽をやり続けると迷う局面がめちゃくちゃあるんですよね。明快な正解なんて存在しないんですけど、信じられることを見つけていかなきゃいけない気がしてて。そのラインは現在の自分の感情として入れておきたいなと思いました。
──来年はいよいよアルバムをリリースしてくれるのかな、という期待もあります。
(声を潜めながら)アルバム……出したいです!ストックはかなりあるんで、じっくり煮詰めたいなと。ライブもたくさんやっていきたいし、僕らがいろんな場所に行けるようにしたいですね。来年はアルバムに加えて、ツアーを回るのも目標に挙げておきます。
──歌に関してはどうでしょう?
歌もやっぱり正解はないじゃないですか。だからこそ「100%で歌えた!」ってライブは今までなくて、この先も絶対にないと思うんです。でも、そんな中でどう納得できる歌を歌っていくか、どうよくしていくかはずっと考えてて。「もっと伝わるために何が足りないのか?」とか「バンドに負けない声とは?」とか。ひたすら模索し、具現化していきたい気持ちがありますね。デビュー当時よりは歌と深く向き合えてるし、ステージでの歌の届け方も変わってきてるので、さらに経験を積んで味が出るようにがんばっていきたいです。「Qyotoの声はコレだよな!」と言ってもらえるくらいに。
──歌は考えすぎても固さが出てしまうでしょうし、自分なりのポイントをつかむのはなかなか難しいですよね。
歌詞を見ながら歌ったのとちゃんと覚えて歌ったのとでは、聴こえ方が全然違うものなんですよねえ。当日のテンションも重要だと最近は感じてます。いつもあれこれ試すけど、「真冬のダイアリー」のレコーディングは靴を脱いで半袖で歌ってみたり。サビの歌入れの直前には、ブースの中を少し走って自分を高めてみました(笑)。実際に聴き比べてみてもよくなってて、そういうちょっとしたことで青春の熱量がより出たりもするんです。
- Qyoto「真冬のダイアリー」
- 2018年12月19日発売 / アリオラジャパン
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初回生産限定盤 [CD+DVD]
1500円 / BVCL-932~3 -
通常盤 [CD]
1000円 / BVCL-934
- 初回生産限定盤CD収録曲
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- 真冬のダイアリー
- I'm a looser
- 真冬のダイアリー -Thanks Message-
- 初回生産限定盤DVD収録内容
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- 真冬のダイアリー MUSIC VIDEO
- 真冬のダイアリー MUSIC VIDEO -making-
- 通常盤CD収録曲
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- 真冬のダイアリー
- I'm a looser
- 真冬のダイアリー -Instrumental-
- Qyoto(キョウト)
- 中園勇樹(Vo)、HIROKI(Violin)、TSUCHIYA(G)、TAKUYA(B)、KENSUKE(Dr)、RYOTA.(Key, Sax)の6人からなる京都出身のバンド。京都市内でストリートライブを行っていた中園に、HIROKIが声をかけ2016年に結成された。2017年8月にフジテレビ系ノイタミナ枠のアニメ「DIVE!!」のオープニングテーマ「太陽もひとりぼっち」でデビューを果たした。2018年7月にはテレビ東京系アニメ「BORUTO-ボルト- NARUTO NEXT GENERATIONS」のオープニングテーマ「It's all in the game」と、ドラマ「はんなりギロリの頼子さん」の主題歌「君と僕とアクロス・ザ・ユニバース」を収めた2ndシングルを発売。10月には大阪・ヒルズパン工場で初のワンマンライブを行い、12月19日にニューシングル「真冬のダイアリー」をリリースした。