ナタリー PowerPush - QOOLAND
素晴らしきタッピングの世界
コンテストで100万円
──昨年は「RO69JACK 2013」で優勝して「ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2013」に出演しましたが、そのときの心境はどうでしたか?
平井 自分らの中で盛り上がりましたね。去年115本のライブをやったんですが、その中でも一番重要な1本でした。
川崎純(G) ロッキン自体に行く機会がこれまでなかったので、純粋に行けたことがうれしかったです。
平井 このコンテストで優勝してロッキンに出れましたし、新作の制作費としていただいた賞金100万円で2月発表の「教室、千切る.ep」を作ったんです。
タカギ 去年の9月30日に100万円が入金されて、10月1日から録音開始したんだよね(笑)。
平井 「いつお金くれるんですか?」って確認したら入金日教えてくれたんで、その次の日に町のスタジオの予約取ってレコーディングしましたね。コンテストを受けた時点で「すでに優勝するつもりや」みたいなことをファンにめっちゃ言ってまして、曲も先に書いてたんです。「もし落ちたらその曲を全部お蔵入りにして、受かったら出す」を目標にしてボルテージを高めてました。
ライブパフォーマンスは金爆、SEX MACHINEGUNSの影響
──「教室、千切る.ep」の収録曲「熊とフナムシ」では、フロント3人が演奏中に踊ってますがどうして踊ることになったんですか?
菅ひであき(B, Cho) 「アーン!」って叫ぶパートでお客さんも巻き込めるから踊ったらいいんじゃないかってことでスタジオにある鏡見てみんなで練習しました。そもそも踊ろうと思ったのはゴールデンボンバーが大好きだからっていうところかな。ほかの曲では踊りまでいかずとも拓郎が演奏中に手を挙げてピースするのを全員で真似するとか、ちょくちょくやってたんです。
──平井さんはなぜそういう手振りを挟むようになったんですか?
平井 そこはSEX MACHINEGUNSのパフォーマンスからきてるかもしれません。ライブ本数が多いからそういうこともできるんだと思います。
──メタルとかハードロックって硬派なイメージもありますけど、逆にそれが面白く見えたりすることもありますよね。
平井 そこ大事ですね(笑)。
菅 DragonforceのPVとかめっちゃ面白いですもん。崖の上で嵐に向かってギターソロ弾いてるのとか。メタルのリフって速い刻みで、「なんでそんなにがんばるの?」みたいな感じで、笑えますからね。自分らが弾いてても楽しいし、笑えていい。
平井 ハーマン・リ(G)がゲームコントローラのボタン連打してるPV(「Operation Ground And Pound」)でしょ(笑)。僕はギターを刻むプレイが得意です。アルペジオもやるけど、困ったら刻みますってくらい。タッピングをやるってだけでどうしても演奏に注目されがちなので、必要以上にライブパフォーマンスは意識してますね。
タッピングをやり続ける理由
──タッピングは何に影響を受けてやり始めたんですか?
平井 「YOUNG GUITAR」はずっと読んでましたね。ポール・ギルバート(Racer X、Mr.Big)、ザック・ワイルド(Black Label Society)、キコ・ルーレイロ(Angra)もいいけど、ヌーノ・ベッテンコート(Extreme)が特に好きです。歌いながらタッピングも速弾きもやるし、楽曲を生かすバッキングもあるしすごいギタリストだなって。
──新作のタワレコ購入特典には収録曲のアコースティックバージョンを収めたCDが付きますね。
平井 アコースティックバージョンを用意する理由は「タッピングを使わなくてもQOOLANDは強いんだぜ」ってところを証明したいからです。もちろんアイテムとしてもファンが喜んでくれますし。
──タッピングが入ってなくても曲として自信があると。ではそこにタッピングを入れるのはどうしてですか?
平井 僕らがビリー・ジョー・アームストロング(Green Day)、ヌーノ・ベッテンコート、ジェイムズ・ヘットフィールド(Metallica)とかに熱くさせられたように、楽器をやってるキッズたちに自分らの曲をコピーしてほしいから僕はタッピングをしてます。CDには毎回コード譜も付けてますし、いい感じに挑戦したくなる難易度のはずです。
──動画サイトにはQOOLANDの楽曲をコピーしてる人がいますね。
平井 「隣人」のギターをコピーしてるめちゃめちゃうまい人いました。
タカギ 以前その人は僕らのライブにも来てくださったことがあって、「うまかったです、すごかったです!」って握手してもらいました(笑)。
平井 逆やんそれ(笑)。タッピングでフレーズ叩くだけだったら誰でもできますから、少しでも叩いてみたいって思うようないいリフを作らないといけないと思ってやってます。
川崎 俺はこのバンド入るまでタッピングって概念がなかったので最初は苦労しました。無料配信された1stミニアルバム「Download」は俺が加入する前に完成してて、リードギターをタカギさんが弾いてるんです。その音源を渡されて練習したんですが、フルピッキングで弾こうとしてたから「なんでこんな難しいねん!」って(笑)。拓郎さんとタカギさんにタッピングのコツをいろいろ教えてもらいました。
収録曲
- 隣人
- さよならNEVADA
- パプニカ
- 白夜行
- copy & paste
- ドグラマグラ
- 膝を割らないうちに
QOOLAND(くーらんど)
2011年9月結成。平井拓郎(Vo, G)、菅ひであき(B, Cho)、タカギ皓平(Dr)、川崎純(G)からなる4人組ロックバンド。平井と川崎によるタッピング奏法を駆使したギターサウンドや、マンガ、アニメなどのフィクション作品、日常生活をモチーフにした歌詞を特徴とする。2012年3月に自主制作アルバム「毎日弾こうテレキャスター」を発表。2013年5月に初の全国流通盤となるフルアルバム「それでも弾こうテレキャスター」を自主レーベル・下高井戸レコードからリリースした。同年アマチュアバンドコンテスト「RO69JACK 2013」で優勝し、8月に「ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2013」への出演を果たす。精力的なライブ活動を続け、2013年は115本のライブを敢行した。2014年2月に6曲入りCD「教室、千切る.ep」を発売し、3月に大阪と東京で初のワンマンライブを実施した。4月には「毎日弾こうテレキャスター」収録曲のリテイクバージョンに、新曲「膝を割らないうちに」を加えたミニアルバム「毎日弾こうテレキャスターagain」を発表。