ナタリー PowerPush - QOOLAND

素晴らしきタッピングの世界

ライブではファンを巻き込んで踊りたい

──菅さんはライブで誰よりも激しいパフォーマンスを見せますよね。

左からタカギ皓平(Dr)、菅ひであき(B, Cho)。

 ギターもドラムもすごいことやってるんで居場所ないですからね。ワイヤレスを導入してからライブ中にフロアに降りて観客と騎馬戦やったり、新宿MARZでは2階フロアに上がってみたり、できることが増えました。やりすぎて演奏そっちのけの部分もありますけど(笑)。テクニカルなところだけを見せるのがすごく嫌なんで。

──コピーはしてほしいけどライブでそこをひけらかすのは嫌ってことですか。

 だってライブに来るお客さんは見つめるだけじゃなくて手叩いたり踊ったりして、楽しみたいわけじゃないですか。それをするにはステージにいる人間が楽しそうじゃないと踊らせらんねえよなってのがまずあって。なのでベースは楽しませる要素プラスちょっと上手だったらいいなってくらい。

数字を追うバンド

──バンドをやるにあたって、互いに責任感やプレッシャーって感じますか?

 そこは「俺もがんばんなきゃな」ってくらいかな。自分だけがんばっても、誰かにがんばれって言うだけでも意味がないし。最初に楽器を手に持ったときも楽しかったし、そういう人間が集まってバンドやるなら、楽しくなきゃとは思ってました。

平井 楽しくやるためには残高や枚数、動員っていう数字を上昇させるのが一番早いと思って、そこをかなり追ってますね。「金じゃねえ、楽しければいい」っていう人もいるんですけど、それは違うと思うんですよ。金とか暮らしの面で困窮して楽しいってことはやはり現実的に難しかった。お金がないとほんと町中で急にケンカ売りそうになったりしますもんね、荒んでるから(笑)。

──数字を出しながら活動をしていくことで何か変化は出てきましたか?

平井 QOOLANDのうっとうしいくらいの熱量とファンの気持ちが最近は呼応してるという感じがありますね。2月15日の大雪降った日に大阪・Pangeaでライブがあって、東京から車で向かってたんですけど、8時間経っても横浜あたりまでしか行けなくて。それで車を置いて、往復16、7万かけて新幹線に乗り替えるってことを決めたんです。あのときに知りましたね、金のパワーを。自分たちがこれまでがんばってきたからああいう状況でもライブができる資本が築けた。数字を追うことってやっぱり大事だなと改めて思いました。

 新幹線で行くパワー、財力がなかったらたどり着けなかったし。あの日は移動中のたどり着けるかわからない状況をTwitterとかツイキャスを使ってリアルタイムで発信してたんですけど、それもあってかいざステージに立ったら号泣してるお客さんもいて。ちょっとしたドラマがありましたね。

今は夢を語れるレベルにいない

──過去の特典CDでタカギさんが作詞作曲から演奏、歌まで担当した「ベストオブタカギ」があったり、最近ではオフショット映像メインのYouTubeチャンネル「くーらんど通信」を公開していたり、サービス精神たっぷりですよね。

平井 マキシマム ザ ホルモンの「予襲復讐」にマンガが付いてたっていうあれも言うたらサービス精神の塊ですし、好きなバンドでそういうのがあったら純粋にうれしいですよね。僕らはそれをカッコいいと思っていろいろやってます。

QOOLAND

──今後の夢や目標ってありますか?

川崎 夢として例えば「東京ドームでやりたい」というのがあったとして、まだ自分たちはそれを語るレベルにいないという結論に今は至ってます。だから夢を語れるところまで行こうっていうのが目標です。

平井 リリース目標は年内に4タイトルなので、あと2つです。「東京ドーム、武道館でやりたい」みたいな夢に比べるとしょぼいかもしれませんが、今は「毎日弾こうテレキャスターagain」のチャートを上げたいとか、ツアーの本数をこなして会場をちゃんと埋めたいっていうことを目標に、地道にやっていきます。これからもミュージシャンであることにあぐらはかきたくないですね。

QOOLAND / 白夜行 【MV】

くーらんど通信 vol.11

ミニアルバム「毎日弾こうテレキャスターagain」 / 2014年4月23日発売 / 1728円 / BLUE ALBUM / QFCS-1005
「毎日弾こうテレキャスターagain」
収録曲
  1. 隣人
  2. さよならNEVADA
  3. パプニカ
  4. 白夜行
  5. copy & paste
  6. ドグラマグラ
  7. 膝を割らないうちに
QOOLAND(くーらんど)
QOOLAND

2011年9月結成。平井拓郎(Vo, G)、菅ひであき(B, Cho)、タカギ皓平(Dr)、川崎純(G)からなる4人組ロックバンド。平井と川崎によるタッピング奏法を駆使したギターサウンドや、マンガ、アニメなどのフィクション作品、日常生活をモチーフにした歌詞を特徴とする。2012年3月に自主制作アルバム「毎日弾こうテレキャスター」を発表。2013年5月に初の全国流通盤となるフルアルバム「それでも弾こうテレキャスター」を自主レーベル・下高井戸レコードからリリースした。同年アマチュアバンドコンテスト「RO69JACK 2013」で優勝し、8月に「ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2013」への出演を果たす。精力的なライブ活動を続け、2013年は115本のライブを敢行した。2014年2月に6曲入りCD「教室、千切る.ep」を発売し、3月に大阪と東京で初のワンマンライブを実施した。4月には「毎日弾こうテレキャスター」収録曲のリテイクバージョンに、新曲「膝を割らないうちに」を加えたミニアルバム「毎日弾こうテレキャスターagain」を発表。