ナタリー PowerPush - Quick Japan100号記念企画「歴代表紙を飾ったアノ人と語るQuick Japan」
宮藤官九郎・坂本慎太郎対談
出かける率が高くなってきた
──坂本さんってプライベートが謎に包まれてる感じなんですけど。
坂本 普通ですよ、普通。起きて、ごはん食べて、用事して。で……寝るみたいな。バンドを解散して、自分のレーベル(zelone records)を作ってからも生活スタイルは全然変わんないですね。元々レコジャケ作ったりとか、レコード屋さんの特典グッズみたいなのとかも自分で作ってたんで、あんまりやってること変わんないんですよね。
宮藤 僕も基本変わんないんですけど、まあ、やっぱり子供ができたことで「生活」の時間が増えたなあとは思いますね。ごはん食べるとか、片付けとか、お金振り込むとか。でも最近、娘を迎えに幼稚園に行ったら、「おむかえにはこないで」って言われましたね(笑)。ほかの家のお父さんはみんな仕事してて、朝も帰りも来るのはお母さんなので。そこで娘はちょっと妥協したんでしょうね。「朝はいいけど、帰りはやめてくれ」って。
──ニートのお父さんだと思われる、みたいな(笑)。
宮藤 ええ。幼稚園で父の日に「お父さんいつもありがとう」つって、ダンボール紙でネクタイを作ってもらうんですけど、僕のはすごくあっさりしたネクタイでしたね(笑)。思い入れがない。ほかのお父さんはね、実際にネクタイ締めてるからすごく具体的なんでしょうけど。
──坂本さんの家庭生活というものは……?
坂本 家庭生活ですか? まあ以前と少し変わったことでいったら、ライブの打ち上げとかにいろんな人が増えたような。
宮藤 あ、来る人が?
坂本 はい。昔、ホントいなかったから。メンバー3人とマネージャーとスタッフで、全員男で6~8人ぐらい。なんかそれが今、15人ぐらい。
宮藤 倍になったんですね。
坂本 あと昔は国分寺のほうに住んでたんですけど、杉並区のほうに越したんで、新宿とかだったら電車なくなっても歩いて帰れたりするようになりました。飲み屋の人と知り合いになっちゃったりして、出かける率が高くなってきた。
宮藤 そうでしたね、対談のときは中央線のほうでしたね。
なぜ職務質問されるのか?
──坂本さんは「Quick Japan」19号で、DMBQの増子真二さんと中央線対談をされてるんですよね。
坂本 あれも変な対談でしたね……。だから引っ越して以降、行動範囲が変わりました。レコード屋とかもチャリンコでいろいろ回れるようになったりして、それが結構うれしかったり。
──その姿、目撃したらびっくりしますね。
坂本 でも一回、国分寺に住んでたときなんですけど、自転車に乗って、坂をすごい速さでガーッと走ってたら、パトカーに止められたんです。そのとき、すごい寒かったんでピチピチの茶色の皮ジャンをグッと締めて着てたんですよ。そしたら警官の人たちが「あー、なんだ」とか言って。「裸で走ってんのかと思った」。
宮藤 フハハハハハハ(笑)。ピチピチすぎました?
坂本 「裸かと思ったじゃん!」って言われて。
宮藤 なんにも悪くないですよね(笑)。びっくりさせんなよ! ってことですよね。すぐ解放されたんですか?
坂本 うん、服着てたから。
──職務質問と言えば、宮藤さんがしょっちゅう受けることで有名ですが。
宮藤 はい、いまだにありますね。最新で1年前ですね。
坂本 へえー。どこでされるんですか?
宮藤 吉祥寺のサンロードとかでもされますし、渋谷でもされますし。前にサンロードを奥さんと歩いてたんですよ。それで奥さんは用事があったんで、僕ひとりが角を曲がったところに警官がいきなりバッと来て。「はい、ちょっとちょっと!」って言われて、カバンの中を見せろと……。
坂本 すげえなあ、それ。
宮藤 なんかね、結局「なんでオレなのか?」っていうのをいつも訊きたいと思ってるんですけど、そう思ってるときって職質されないんですよね。
坂本 心の準備ができてるときは。
宮藤 ええ。で、忘れた頃にまたされるから、いつも訊きそびれるんですよね。今度こそ訊こうと思って、もう1年以上経ちますね。何がよくないのか教えて欲しい。そしたら僕も気をつけるじゃないですか。
坂本 そういうとき、どういう態度でいくんですか。ふてくされたりして?
宮藤 ふてくされますね。でも1回、「職質されたら嫌だな」って思いながら歩いてたら、向こうからおまわりさんが4人、1列に並んで歩いてきたときは、もう笑っちゃいましたよ。あまりのことに(笑)。
坂本 ハハハハ(笑)。
宮藤 そしたら「なんで笑った! なんで笑ったの、ねえ!?」ってワーッて来られて……。またそこが、のりピーの旦那さんが捕まったとこだったんですよ。
──運悪いっすねえ(笑)。
宮藤 そんなとこ歩いてたらダメじゃないですか。で、その中のおまわりさんの1人が「アナタ、なんか……あの人だよね?」って気付いて。「はい、そうです、宮藤です」つったら、逆にサッと見たカバンをもう1回見たんですよ。要は、宮藤こそ何か持ってんじゃねーかと。
坂本 はいはい。
宮藤 すごく嫌でしたね。しかもちょうどそれが「少年メリケンサック」の公開の頃で、スタッフに配る用のメリケンサックのキーホルダーを作ってたんですよ。で、僕もそのちっちゃいメリケンサックを持ってたんです。それを「これ何だ! 凶器じゃないか!」って。「最悪でもこれで人殴れるじゃないか」みたいなこと言われたんですよね。「いやいや、んなワケねえだろう!」と。
坂本 あらかじめ芸能人としてマークされてんじゃないですかね? 黒い交際リストに入ってる、みたいな。そういう噂があるんじゃないですか?
──(笑)。
坂本 芸能界と音楽業界と裏社会のパイプ役みたいな。
宮藤 悪い奴っすね、それ(笑)。
坂本 悪い悪い。業界全部の潤滑油的な(笑)。
──「アイツ、いろんなところに顔出してるから」ってことですよね(笑)。
宮藤 いやあ、まいったなあ……。でも坂本さんもめちゃくちゃ職質されそうですけどね。
坂本 でも僕の場合、多分「いかにもバンドやってるっぽい」じゃないですか。バンドの人のほうが社会的には安全っぽいというか。
宮藤 そうか、ミュージシャンオーラがちゃんと出てるといいんだ。俺は何者でもない、と(笑)。
坂本 サラリーマンじゃないんだけど、なんだかわかんないって感じが一番危ない。
宮藤 ギターとかを持てばいいんですかね? 大体持ってないときですからね、やられんのは。
坂本 あと、痩せてるから。
宮藤 フハハハハハ(笑)。目つきも定まらないし。確かにそうですね。
2012年大人計画本公演
ウェルカム・ニッポン
- 2012年3月16日(金)~4月15日(日)
東京都 下北沢 本多劇場 - 2012年4月18日(水)~4月22日(日)
大阪府 シアター・ドラマシティ - 作・演出 / 松尾スズキ
- 出演 / 阿部サダヲ、宮藤官九郎、池津祥子、伊勢志摩、顔田顔彦、宍戸美和公、宮崎吐夢、猫背椿、皆川猿時、村杉蝉之介、田村たがめ、荒川良々、近藤公園、平岩紙、アナンダ・ジェイコブズ、松尾スズキ、青山祥子、井上尚、菅井菜穂、矢本悠馬
- ※当日券あり
収録曲
- 幽霊の気分で (Album Version) / In A Phantom Mood
- 君はそう決めた / You Just Decided
- 思い出が消えてゆく / My Memories Fade
- 仮面をはずさないで / Mask On Mask
- ずぼんとぼう / A Stick And Slacks
- かすかな希望 / A Gleam Of Hope
- 傷とともに踊る / Dancing With Pain
- 何かが違う (Album Version) / Something's Different
- 幻とのつきあい方 / How To Live With A Phantom
- 小さいけど一人前 / Small But Enough