PiXMiXの1stアルバム「君がいたから」がリリースされた。
PiXMiXは2017年の結成以来6人で一丸となって活動してきたが、昨年の11月末、ITSUKIが2021年3月をもってグループから卒業することを発表。初めてメンバーとの別れを経験することになった。「君がいたから」はそんな彼女たちの3年間の軌跡を詰め込んだ、6人体制の集大成とも言える作品に仕上がっている。音楽ナタリーでは明るい卒業ソングであるリード曲「卒業レールウェイ」をはじめ、アルバムの楽曲についてメンバー6人に話を聞いた。現在全員が高校生である彼女たちの青春感あふれる写真とともにインタビューを楽しんでほしい。
取材・文 / 近藤隼人 撮影 / 堀内彩香
5人になることが想像できない
──1stアルバム「君がいたから」がリリースされることは、昨年10月の結成3周年記念配信ライブ「PiXMiX 3rd Anniversary LIVE ~ピクミクパーティー!~」の中でサプライズ発表されました。MISAKIさんやKARENさんは感極まって涙していましたが、それだけアルバムを発売できることの喜びが大きかったんですか?
MISAKI 3周年ライブのとき、すでにITSUKIが卒業することが決まっていたんです。もしかしたらこれが6人最後のワンマンになるのかもしれないと思っていたのと、お客さんの前でパフォーマンスができない状況が続いていた中でのライブだったので、感慨深いというか、いろいろと感じるものがあって。発表前のこれまでの振り返りの映像を観ている時点でもう泣いていたんですけど(笑)、アルバムというみんなで一丸となって取り組めるものができてうれしかったです。
KAREN 私も発表前の「チョコレート・リグレット」のパフォーマンスのときから泣いていました。ライブが終わるのが寂しくて涙が出てきたんです。で、そのあとにアルバムの発売を知らされて感情があふれちゃいました。
AIRI 実は、私たちはサプライズのために4thシングルのリリースが発表されるというフェイク情報をスタッフさんに教えられてたというのもあって(笑)。
──3周年ライブの時点でITSUKIさんがグループを去ることはすでに決まっていたということですが、卒業について初めて聞いたとき、ほかのメンバーの皆さんは正直にどう感じましたか?
MISAKI 私たちはPiXMiXの夢、みんなの夢は6人で叶えるものだと話しながら活動してきたんです。メジャーデビューもそうだし、これまでも6人で団結して夢をつかみ取ってきたので、初めて聞いたときは正直「えっ!」と思いました。受け止められなかったですね。この先どうなるんだろうって。今でも5人になることがあまり想像できていないです。
AIRI ずっと6人だったからね。
MISAKI でもITSUKIの卒業は明るく前向きなもので、大切な仲間だからこそ自分の夢に向かってがんばってほしいと思っています。ITSUKIがどれだけ本気なのか、それは私たちが一番わかっているので、やっぱり私たちメンバーが背中を押すべきだなと考えるようになりました。
──どのタイミングでそういった前向きな気持ちに切り替わりました?
MISAKI アルバムのリード曲である「卒業レールウェイ」を初めて聴いたときですね。それまではどこか現実から逃げていたところがあって、寂しい気持ちのほうが大きかったんですけど、明るく前向きなこの曲を聴くことで、ITSUKIの人生はITSUKI本人のものだし、がんばってほしいという気持ちに変わりました。
KAREN ITSUKIがグループLINEで自分の思いをみんなに伝えてくれたことがあったんです。卒業することやこの先のことについて。その話を本人からしっかり聞いたときに、応援しようという思いになりました。
──ITSUKIさんは今後、女優を目指して活動していくそうですが、卒業を決断するまで相当悩みました?
ITSUKI そうですね。PiXMiXはみんな仲がよくて。私は大阪に住んでいるので、辞めることによってみんなに会えなくなることが悲しいですし、1人になって仕事がまったくなくなってしまってしまうかもという不安は大きいです。でも、来年の高校卒業のタイミングでその先の進路も決めなければいけなかったし、自分の人生について自分でしっかり考えて最終的に決断しました。
メンバーは姉妹みたい
──今ITSUKIさんがおっしゃった通り、6人は常に和気あいあいとしていてホントに仲がいいようですが、それは現在全員が高校生という近い世代だからなんでしょうか。
ITSUKI でも、PiXMiXじゃなく、学校とかほかの環境で会っていたとしたら……この関係性になるのは難しかったと思います(笑)。
MISAKI そう?(笑) なれないかな? 同じ部活とかでも?
ITSUKI いや、無理無理!(笑) 趣味が違いすぎるし。
MISAKI あー、クラスメイトとしてだったら難しいかもね(笑)。
KAREN そもそもメンバーに対する感覚って、実際にクラスで仲いい子との関係性とはまた全然違うよね。
MISAKI メンバーは家族というか、姉妹みたいな感じ。
KOHIME 何か変なことを言っても反応してくれるので、メンバーにならなんでもさらけ出せます(笑)。
KAREN MISAKIやKOHIMEに対して、年上だからということで気を使ったことはないです(笑)。
ITSUKI 逆に1つ年下のAIRIに対しても「まだ高1なんだ」と思うくらい、メンバーみんな同い年の感覚ですね。
AIRI だって私、4月2日生まれだからね(笑)。
KOHIME 私は年下のメンバーを見てると、「自分、この年齢のときこんなに幼かったかな?」って思う(笑)。
──最初に出会った頃と比べて、メンバーの印象は変わりました?
MISAKI KOHIMEの印象はすごく変わりました! 最初はロボットみたいで、感情がない子っていうイメージだったんですよ。
ITSUKI めっちゃ怖かったよね(笑)。
AIRI 初めてのダンスレッスンのとき、1人だけとても上手に踊ってて。
MISAKI なんか完成された子っていう感じだった。
KAREN でも、MISAKIも同じような感じだったよ。みんなに敬語だったし。
KOHIME (笑)。私はみんなと合流する前から先輩グループの方と一緒にレッスンしていて。デビューは一緒なんですけど、厳密に言うと同期ではなくて、初めて会ったときはなんだか壁を感じて「仲よくなれなさそうだな……」と思ってました(笑)。でも、当時の私は確かに全然感情がなかったかも。
ITSUKI みんなのことを敵だと思ってたんでしょ?(笑)
KOHIME そう(笑)。そういう尖ってる時期って誰しもあるじゃないですか。
──だんだんと感情が表に出るようになっていったんですか?
MISAKI 仲よくなるにつれて笑うようになったし、いつからかKOHIMEのほうから笑わせてくれるようになりました。
KAREN あと私、最初ITSUKIのこと日本人じゃないと思ってた……(笑)。
MISAKI わかる! 茶髪で髪の毛くるくるしてて、なんか外国の人っぽかったよね。
TOWAKO 私はITSUKIが飴を配ってるのを見て、「ホントに大阪の人って飴くれるんだ」って思った(笑)。
KOHIME さっき私のこと怖いと思ってたって言ってたけど、逆に私もITSUKIのことが怖かったよ。
ITSUKI うそ!(笑) 私は怖いと思いながらもKOHIMEに話しかけた記憶があるよ。「不思議の国のアリス」の鞄を持っていて、「(小声で)アリス好きなん……?」って。
MISAKI そんなことあったんだ(笑)。
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同年代に向けた等身大の卒業ソング