ナタリー PowerPush - →Pia-no-jaC←対談

「EAT A CLASSIC 4」リリース記念 バニビリサとピアノ対談&競演実現

オリジナル作品を作ってるような感覚で臨んだ

──ちなみにリサさん、「EAT A CLASSIC 4」の中でお気に入りの曲はどれですか?

リサ 「エリーゼのために」がすごく良かったですね。最初はみんなが聴いたことあるこのメロディから始まるのに、途中で大きく道を逸れて新しい世界に入っていくのが面白くて。知ってるあのメロディがなくなっちゃうんだけど、でもいろんなところに散りばめてあるから「あ、ここかも?」みたいに探していく楽しさもありますよね。

──クラシックのカバーではあるんですけど、アレンジを加えることで1つのオリジナル曲に進化してるような。

左からリサ、HAYATO(Piano)、HIRO(Cajon)。

HAYATO 今回は特にオリジナル作品を作ってるような感覚で制作に臨みました。なので全曲オリジナルと言ってもいいかもしれない。

リサ カバーアルバムだけど、クラシックをテーマにしたオリジナルアルバムみたいな?

HAYATO まさにそのとおりで、カバーをするというよりも新曲を作るっていう感覚でスタジオに入ってるんです。だから原曲にないメロディやリフがあってもいいと思うし。それは世間的にはクラシックではないんですけど、「僕らのクラシックはこうなんだ」って自信を持って作りました。

──それこそライブのお題じゃないですけれども、クラシックの名曲というお題から、タイトルと有名なフレーズを残しつつ→Pia-no-jaC←流のオリジナル曲を作ってる印象に近いというか。

HAYATO そうですね。曲をリクエストしてくれた方の「この曲を→Pia-no-jaC←が演奏したら、こういうふうになるんだろうな」っていう思いをいい意味で裏切りたいので、そこを意識しながら作ってます。

リサ リクエストした人はきっと、CDを聴いて驚くでしょうね(笑)。

HAYATO はい。頭からずっこける曲ってなかなかないでしょうし(笑)。ぜひ子供たちにもピアノの発表会で弾いてもらいたいな。「エリーゼのために」と言ってこっちを弾き始めたら、親御さんが泣くんじゃないかな(笑)。

──→Pia-no-jaC←はバンドスコアも出してるんで、クラシックを習っていてちょっとピアノがつまらないなって思ってる人にこそ、こういった曲を弾いてほしいですね。

HAYATO 僕がまさにクラシックをやっていて挫折したタイプなので。でもピアノ自体は好きだから、今もこうやって弾いてるわけですし。ピアノって自由に弾いていいんだよってことを、僕はピアノを使って伝えていければいいなと思ってるんです。ちっちゃい子から「クラシックを弾くのが嫌やったけど、→Pia-no-jaC←の曲を弾いたらピアノが楽しくなりました」とか「ピアノの先生の前で、HAYATOさんみたいにピアノの肘打ちしたら怒られました」とか聞くとうれしくなりますね(笑)。

リサ ええっ!(笑)

HAYATO ライブでよくやるんですけど、それを観た子供が先生の前で真似したら怒られたと(笑)。でもピアノは一般的に指で弾く楽器と思われてるけど、そのときの感情をピアノでどう表現するか、どう弾くかは自由だと思うんです。だからたくさんの人に、自由に楽しんでもらいたいですね。

人と人とのつながりを大切にしたツアーに

──年が明けたらツアーも始まります。→Pia-no-jaC←のライブは毎回趣向を凝らした内容になってますが、今回はどういった感じになりそうですか?

HAYATO 今年の3月に「暁」というオリジナルアルバムをリリースしたんですけど、震災があってから僕たちがいろんなところで見た景色や出会った人たち、そこで感じたものをメッセージとして込めたアルバムなんです。そのアルバムの全国ツアーで被災地にも行った際に、改めて人と人とのつながりとか感情の部分をすごく大切にしたいと思うようになって。今回は「EAT A CLASSIC 4」を引っさげてのツアーですけど前回のツアーから引き継ぎつつ、そういう思いを込めつつ音で伝えていければいいなと思います。演出の部分でも観て楽しいものにしたいと思いますし、それ以上にCDでの音源がライブでどう壊れていくのかを楽しみにしてほしいなと。その日しか楽しめないアレンジももちろんあると思うので。

左からリサ、HAYATO(Piano)、HIRO(Cajon)。

HIRO 原曲を壊して作り上げたCD音源を、さらにライブで壊して。

HAYATO 最終的に原曲のカラーがなくなってしまうかもしれないですけど(笑)、お客さんに「こうきたか」と喜んでもらいたいので、音楽面も、そして視覚的にも楽しいライブにしたいと思います。

HIRO 「EAT A CLASSIC 4」からの曲を多めにやると思うんで、CDを聴いてからライブに来るとニヤリとできるところが増えるんじゃないかな。「あ、ここが変わったんや」って。

HAYATO もちろんこれまでリリースしてきた曲もたくさん演奏するし、その曲たちの変化も楽しみにしてもらいたいなと。

リサ 1回として同じライブはないんですよね。

HAYATO そのとおりです。

リサ 私、まだ生でライブを観たことがないんです。映像で観るとすごく楽しそうですし、ぜひ一度ライブに行ってみたいです!

HAYATO ぜひ来てください!

リサ たくさん回るんですよね? 30公演くらい。ほぼ毎日あるんじゃないかってくらいありますよね。

HAYATO そうですね。本当にいろんなところを回りたいなと思っていて。

リサ お題のコーナーは今回どうするんですか?

HIRO やりたいけど、大変やったしなあ(笑)。

HAYATO 覚悟しておきます(笑)。

→Pia-no-jaC←「エリーゼのために」コラボ

→Pia-no-jaC← ニューアルバム「EAT A CLASSIC 4」 / 2012年12月5日発売 / Peaceful Records
ニューアルバム「EAT A CLASSIC 4」初回限定盤[CD+DVD] 3360円 / COZP-735/6
初回限定盤 [CD+DVD] 2300円 / XQIJ-91005
通常盤 [CD] 1800円 / XQIJ-1008
CD収録曲
  1. 交響詩 禿山の一夜 / ムソルグスキー
  2. 組曲「惑星」から木星 / ホルスト
  3. ハンガリー舞曲 第5番 / ブラームス
  4. 2つのアラベスク 第1番 / ドビュッシー
  5. エリーゼのために / ベートーヴェン
  6. ジムノペディ 第1番 / エリック・サティ
初回限定盤DVD収録内容
  1. エリーゼのために(Music Video)
  2. ジムノペディ 第1番(Music Video)
バニラビーンズ ニューアルバム「バニラビーンズ III」 / 2012年11月7日発売 / T-Palette Records
ニューアルバム「バニラビーンズ III」初回限定盤 [CD] / 2000円 / TPRC-0024
ニューアルバム「バニラビーンズ III」通常盤 [CD] / 2500円 / TPRC-0025
→Pia-no-jaC←(ぴあのじゃっく)

→Pia-no-jaC←

HAYATO(Piano)、HIRO(Cajon)の2人で構成されるインストゥルメンタルユニット。名前の由来は左から読むとピアノ、右から読むとカホンとなる。鍵盤と打楽器という至ってシンプルな編成ながら、重厚かつ多彩な音を鳴らすのが特徴。その独自の音楽性が各方面から注目を受け、ディズニーやスクウェア・エニックス、ショパンなど多数のトリビュートアルバムに楽曲提供。2010年発売の嵐のアルバム「僕の見ている風景」では、二宮和也から熱いオファーを受けゲストミュージシャンとして参加した。さらに宝塚歌劇団への楽曲提供、ラジオのジングル制作など幅広い活動を展開。ライブではオリジナル楽曲やクラシックなどのカバーを武器に、迫力満点のパフォーマンスを披露し、国内外の幅広い層から絶大な支持を受けている。2012年3月にオリジナルアルバム「暁」、7月には葉加瀬太郎とのコラボレーションアルバム「BATTLE NOTES」を発表。同年12月にクラシックのカバーアルバム「EAT A CLASSIC 4」をリリースした。

バニラビーンズ

バニラビーンズ

庶民派でアイドル研究が趣味のレナ(キノコ頭担当)と、日本で正月を過ごしたことがないセレブのリサ(外はね頭担当)からなる実験型次世代アイドルユニット。北欧の風に乗ってやってきたという設定で2007年に「U ♡ Me」でデビューし、翌2008年に初期メンバー脱退後第2期メンバーとしてリサが加入。現在のメンバー構成となる。スウェディッシュポップを意識したサウンドとレトロなビジュアルで渋谷系ファンなどから高評価を得る一方で、近年では自由奔放なトークや「ガラス張りトラック生活」などの風変わりな活動でも注目を集めている。2010年にロート製薬「メンソレータム リフレア D&D」のCMに出演し、CMソングとして「Def & Def」を提供。同年9月に初のベストアルバム「VaniBest」をリリースした。2011年にはタワーレコードのアイドル専門レーベル「T-Palette Records」にレンタル移籍。2012年11月にニューアルバム「バニラビーンズ III」をリリースした。