NHK Eテレ「オトッペ」 PR

NHK Eテレ「オトッペ」特集|不思議な音を生み出す熱意と混沌

NHK Eテレ「オトッペ」の新エンディングテーマ「バラバラバンバ」が11月2日に配信リリースされた。

世界一のDJを目指す主人公シーナと音から生まれた不思議な生き物・オトッペたちが繰り広げる物語を描いたアニメ「オトッペ」。2017年4月よりNHK Eテレで放送中の本作は、そのシュールな世界観とキャッチーな劇中歌で人気を集めており、YouTubeで公開中の動画の累計再生回数は2018年10月末時点で2200万回を突破している。

今回、音楽ナタリーではオープニングテーマとエンディングテーマを手がける吉田ゐさお、劇伴を作曲するTwoth、SEを担当するサウンドデザイナーの寺村京子の3人による鼎談を企画。新曲「バラバラバンバ」をはじめ、番組で使用される音楽や効果音の制作エピソードをそれぞれ話してもらい、音に強いこだわりを持つ番組の魅力を探った。

取材・文 / 三浦良純

番組開始と同時に子供が生まれた

──それぞれどういうきっかけで番組に携わるようになったんですか?

吉田ゐさお 子供向け番組の音楽ってどうすればいいかわからないから、これまであんまりそういう仕事は受けてこなかったんです。でも番組がスタートした去年の4月にちょうど自分の子供が生まれて、「俺パパになるんだ。じゃあ子供の気持ちがわからないとダメだよね」って思って。「うちの父ちゃん、こんな仕事してるんだ」って子供が誇れる仕事があったほうがいいなとも思って参加しました。

テレビアニメ「オトッペ」より。©NHK/オトッペ町役場

寺村京子 私も子供が1歳のときにこの仕事の依頼がきたんです。慣れない子育てでバタバタしながらも、何か子供と一緒に楽しめる仕事をやりたいと思っていた時期だったので、この仕事の話がきて「やったー」と思いました。

Twoth 僕は番組が始まる2年くらい前に相談を受けました。それまではノイズとかアンダーグラウンドの音楽を作っていたので、初めてメジャーな仕事がきたぞと(笑)。

──それぞれ音作りで気を付けていることはありますか?

寺村 自分で工夫していることとしては、生音じゃなくて、子供の耳に残るようにちょっと変な音になるように加工することが多いですね。わりと自由にやらせてもらっています。

Twoth 監督からの発注が「オトッペっぽくお願いします」って感じでフワッとしているんですよね(笑)。もちろんキャラクターの心情や場面の意図の説明はいただきますが、「そこから先は任せます」という進行が多いですね。子供にとって怖い音にならないようにだけ気をつけています。

寺村 そうですね。例えば「ドーン」っていう音だけだと、小さい子は怖いと思うんですよね。なので「ドーン」と「ビヨーン」って音を重ねたりして、子供はビックリするけど怖くはなく、大人にとっては笑える音になるような「オトッペ」らしいコミカルなバランスに気をつけて作っています。

Twoth それと僕は1つの音楽ジャンルに縛られないように気を付けています。自分が今まで聴いてきた音楽がすごく雑多だったので、ヒップホップのエッセンスだったり、レゲエやノイズのオマージュを地味に入れ込んだりして。子供と一緒に観ている大人の中には三十~四十代の僕ら世代も多くいると思うので、その人たちが聴いてきたようなネタも使っています。

──例えばどんな元ネタがありますか?

テレビアニメ「オトッペ」より。©NHK/オトッペ町役場

Twoth あんまり大ネタは使っていないんですけど、例えば、「おっ、ちょっとリー・ペリーのベースラインのオマージュっぽいな」とか「ヘンリー・マンシーニ感あるな」とか、僕ら世代の音楽好きが聞いてニヤッとするような要素をたまに入れてますね。キャラクターも個性豊かだし、できるだけ多様なカルチャーの音楽を入れています。子供が楽しめる曲にするのは大前提ですけどね。

──子供は観ているうちに音楽的に教育されていくかもしれませんね。

Twoth そうなるのが一番いいですね。

──吉田さんはいかがですか?

吉田 俺はすごく柔らかい頭で作っていますね。例えばCMの音楽だと理詰めで作るんです。ターゲットは二十代女性で、どういう仕事をしている人かハッキリしているから、その人たちが家でどうやって生活しているか、どういう音楽を懐かしいと感じるかを考える。でも、子供たちは音楽に初めて接するから、懐かしいも何もないじゃないですか。子供ってそれまでに何があったかとかじゃなくて、その一瞬が面白ければ笑うんですよね。流れを「バーン!」ってぶったぎるような動きとか音に反応しやすいということは最近わかってきました。

新曲「バラバラバンバ」を生んだ“オトッペの総意”

──新曲「バラバラバンバ」は、猫の映像に犬の鳴き声を重ねるなど、映像から想像する音とギャップのある音に入れ替えるというアイデアが面白い楽曲です。これはどういうふうに作られたんですか?

吉田 ちょっと変わってるんですよ、「オトッペ」の制作チームって(笑)。監督や脚本家さんなどそれぞれの立場から無垢な意見を言うんですよね。混沌ですよ。でもその混沌の中から“オトッペの総意”みたいなものが生まれる。それを自分が受け取って具現化したのが「バラバラバンバ」です。

──すぐにできた曲なんですか?

吉田 一発でできました。いくつか候補はあったんだけど「絶対これだ」と思って会議に出したら、満場一致で「これでいこう!」って盛り上がって、その場で振り付けも決まりましたね。

──「バラバラバンバ」は「マイムマイム」のようなフォークダンスを彷彿とさせる楽曲ですが、曲調について番組制作陣からのオーダーはあったんでしょうか?

テレビアニメ「オトッペ」より。©NHK/オトッペ町役場

吉田 うーん、あったようななかったような。俺がとにかく「ヘイ!」と言いたかったんですよね(笑)。

──確かに「ヘイ!」の部分が気持ちいいですね。曲中の効果音はどうやって作ったんですか?

寺村 子供が口で真似できるようにかなり加工して作っていますね。どういう音なのかを言葉で表しやすいようにピッチの調整作業も丁寧にしました。

DJシーナ(CV:久野美咲)、ウィンディ(CV:井口裕香)、メタルク(CV:千葉進歩)
「バラバラバンバ」
2018年11月2日配信開始
DJシーナ(CV:久野美咲)、ウィンディ(CV:井口裕香)、メタルク(CV:千葉進歩)「バラバラバンバ」
収録曲
  1. バラバラバンバ
NHK Eテレ「オトッペ」
NHK Eテレ「オトッペ」
放送情報
毎週月~金曜日 8:40~8:45
再放送:
毎週月~金曜日 17:55~18:00 / 日曜日 7:40~7:45
※放送日時は予告なく変更になる場合あり。
ストーリー
世界一のDJを目指す主人公シーナはある日、不思議な扉をくぐって別の世界に迷い込んでしまう。そこは音から生まれた不思議な生き物・オトッペたちが暮らす「オトッペタウン」。シーナはこの世界で風の音から生まれたウィンディをはじめ、さまざまな音から生まれたオトッペたちと出会っていく。
キャスト
  • シーナ:久野美咲
  • ウィンディ:井口裕香
  • メタルク / グラストン:千葉進歩
  • ウッドウッド / フレイミー:木内秀信
  • モータロン / マネスキー:渡辺明乃
  • ペッペラーノ / ポトレイン / ナレーター:桐井大介
  • ウォッタ / ウミッタ:小原好美
  • ドアモリソン / ウィンディパパ:大山鎬則
  • カットン:浅野まゆみ
  • エレキー:飯島肇
  • ウエスティ:西島秀俊
吉田ゐさお(ヨシダイサオ)
吉田ゐさお
東京音楽大学作曲科卒業後、1996年に音楽ユニット・Jungle SmileのメンバーとしてSPEEDSTAR RECORDSよりデビューし、2ndシングル「片思い」で全日本有線放送大賞新人賞を受賞。2002年のユニット活動休止後はさまざまなアーティストへの楽曲提供やプロデュースを行う。2007年、手嶌葵に楽曲提供した「徒然曜日」がauとヤマハ音楽教室のCMソングに採用されたことをきっかけにCM音楽にも携わるように。2010年、話題を呼んだワコールの「リボンブラ体操」でACC(全日本CM放送連盟)「ベスト音楽賞」を受賞した。その後も「キレイモ」や「タンスにゴンゴン」などユニークで耳に残るCM楽曲を多数制作。また坂上忍プロデュースの舞台などにも出演する俳優としての一面も持つ。
Twoth(トゥース)
Twoth
2006年にPowershovel Audioからデビュー。GoogleやSONYなどのテレビCMや、アーティストとのコラボレーション作品などで数多くの楽曲を制作。2012年にはアヌシー国際アニメーション映画祭にて日本人初の音楽賞を受賞した。ISSEY MIYAKE、FINAL HOMEのデザイナーという異色の経歴を持ち、プロダクトブランドTALKY・PEOPLEAPのデザインディレクターとしても活動中。
寺村京子(テラムラキョウコ)
寺村京子
1997年に都内サウンドデザイン会社に入社し、テレビCMをはじめとする映像や音声作品の効果音制作、選曲、キャスティング、録音など幅広く音の仕事に携わる。2010年に仲間とサウンドデザイン会社を設立。2014年からは子育てをしながらフリーランスの音効として主に子供向けアニメーションやCMの効果音制作を行う。民族楽器や生音、声を加工した音作りが得意。NHK Eテレ「プチプチ・アニメ」の「リヴ&ベル」では効果音とキャラクターの声を担当している。