祭りの初日は雑多であっていい

──今年もきっとさまざまな伝説が生まれることになると思うのですが、初日となる6月30日のメンツがもうえらいことになってますよね。クレイさんはもちろん、哀川翔さんにみやかわくん、DJ Hello Kitty、お笑い芸人のチョコレートプラネットとマヂカルラブリーも出るわけで、ジャンルレスなOTODAMAの雑食性を象徴しているというか。

あははは（笑）。そうっすね。哀川翔とDJ Hello Kittyが共存するのかっていう。まあでも祭りの初日は雑多であっていいと思うんですよ。「お笑い芸人のチョコプラ（チョコレートプラネット）見たいでしょ？」「去年のM1決勝戦に残って上沼恵美子さんにけちょんけちょんに言われたマヂカルラブリーも見たくない？」みたいなロジックでお笑い芸人もブッキングしてますし、そういったラインナップが気になるみやかわくんファンも絶対いるはずだから。あと初日のオープニングアクトのMINAMIさんって、哀川さんの娘さんなんです。哀川さん自ら「うちの娘も出してよ」って提案していただいたんです。観る側はもちろん、出る側も家族で参加できちゃうのがOTODAMAですね（笑）。

──あははは（笑）。

初日には僕やLeolaといったポップスのアーティストも出るし、さらにDISH//のDJ To-i（橘柊生）くんが出ることも決まったので、ホントに濃いです。この日は「何を楽しむの？」「OTODAMAを楽しむんだよ！」って言えるような日なんじゃないかなって思いますね。

──続々と発表されている今年のラインナップ。クレイさん的なオススメをぜひ教えていただきたいなと思うのですが。

推しの日ね。まずは8月3日、HYと僕とみやかわくんのスリーマン。今、僕はクレイユーキーズというプロジェクトをやってるんですけど、そこにHYの（名嘉）俊くんがドラムで参加してくれているんですよ。そのつながりから実現した対バンです。

──初日に引き続き、ここでもみやかわくんが参加されるんですね。

みやかわくんはね、出会った瞬間に「これは売れる」って思った。歌やラップがうまいのはもちろんなんだけど、アーティストとして華があるんですよ。今はネットから出たアーティストってたくさんいるけど、そういう魅力を持った人は実は案外少ないですから。個人的に注目しているんで、今回ブッキングさせてもらった感じですね。

──面白いコラボが観られそうですね。

そうですね。僕も出る8月20日とかはけっこう濃くて、MeseMoa.やAmaryllis Bomb、さらに元KAT-TUNの田口（淳之介）くんなんかに加え、芸人のピスタチオまで出るんですよ。ここに関しては決してキレイなブッキングとは言えないんだけど（笑）、でも絶対面白い1日になるだろうなって。これは逆に聞いてみたかったんですけど、8月29、30日のブッキングってどう思います？（29日はおとぎ話、Koochewsen、DÉ DÉ MOUSE、ザ・なつやすみバンド、FUNKISTなどが出演。30日はThe Cynical Store、Nabowa、PAELLAS、the twenties、Tempalay、向井秀徳アコースティック＆エレクトリック、レルエが出演する）

──個性的なバンド、アーティストが目白押しで面白いと思います。コアな音楽ファンも多いので、絶対楽しめるだろうなと。

ですよね！ 29日のおとぎ話やDÉ DÉ MOUSEなんかの並びはかなり気に入ってるし、30日に向井秀徳アコースティック＆エレクトリックが入ってるところなんかは渋くていいと思うんだよなあ。個人的にも好きなバンドが多くて面白い日になったと思っています。

──OTODAMAはアイドルもかなり幅広くラインナップされるイベントですよね。

ここ最近のOTODAMAはアイドルも強いですからね。9月22日はBiS、EMPiRE、ギャンパレ（GANG PARADE）なんかが集結して、図らずもWACK祭りになってますけど、ばってん（少女隊）とか純情のアフィリアなんかも出ます。それ以外にもまねきケチャ（7月14日）や、アップフロント系のJuice＝Juice（8月6日）、こぶしファクトリー（8月22日）もいますしね。あと、アイドルじゃないですけど最近の流れで言えば9月23日にも注目かな。呂布カルマ、KEN THE 390、環ROY、鎮座DOPNESS、DOTAMAなんかが集まって、半ばフリースタイルダンジョン的な日になっているっていう。ここでは番組と何かしら絡めたら面白いかな、なんてことも考えたりしてます。

──みやかわくんのように、クレイさんがブレイクを予感しているアーティストってほかにもいますか？

8月12日のオープニングアクトに出てくれるロザリーナは売れる気がします。ガツンと行くんだろうなって。8月21日の松室（政哉）さん。オフィスオーガスタの新人なんですけど、彼もすごくいい。秦基博さんみたいなラインで活躍する予感がしますね。OTODAMAにはいろいろなアーティストとの新しい出会いもあると思うので、時代の流れを感じながらそういった部分も楽しんでもらえたらなと。

OTODAMAは“スーパー未完成なフェス”

──最後に、14年間にわたって開催し続け、多くの人に愛されることになったOTODAMAへの思いを改めて聞かせてください。

正直に言えば、OTODAMAは“スーパー未完成なフェス”だと思うんですよ。マネタイズといった裏方としての話も含め、自分としては10%も納得いっていない。だから毎年、すごく悔しい思いもするんです。ただ、自分のやりたいことと、実際にできることのバランスが取れてくるのはきっとこの先、20周年、30周年を迎えた頃なのかなと思っています。だからまだまだ先は長いし、多くのフェスが生まれては消えていく時代の中で、OTODAMAをどうしていくのかは、これからも日々、考え続けていかなきゃいけないなって思います。アーティストや関係者との繋がりをいい形でキープする上では、自分自身もステージに上がり続けなきゃいけないとも思いますし。

──なるほど。現役アーティストとしての視点を持っているからこそ、OTODAMAは音楽シーンのリアルを反映できているのかもしれませんね。

気志團のいない気志團万博ってありえないじゃないですか（笑）。それと同じ感覚を僕がOTODAMAに対して持っているからなのかもしれないですね。今後、新しい何かが生まれることで僕がステージから離れることがあるのかもしれないし、それが僕にとっても、OTODAMAにとっても喜ばしいことになるのかもしれない。でも今はずっと現役でOTODAMAを作っていくつもりです。なので、とりあえずみなさんには今年のライブを楽しんで欲しいですね。そして来年の15周年も楽しみにしててほしい。いろんな企みがありますから（笑）。