音楽ナタリー Power Push - Orangestar

n-bunaも取材に飛び入り参加!新世代ボカロPの原点と今に迫る

急遽n-bunaがインタビューに飛び入り参加!

ここで、 Orangestarと同じく現在のボカロシーンを盛り上げ、公私共に交流のあるボカロP・n-bunaがSkypeを通じて取材に飛び入り参加。急遽n-bunaを加えた2人にインタビューをすることにした。

──若い世代、ボカロ最盛期以降に登場してシーンを引っ張っているお二人は、「SNOW MIKU 2017」のテーマソング「スターナイトスノウ」でのコラボも記憶に新しいですが、実際に会ったこともあるんですか。

Orangestar はい、あります。

n-buna 2人で蕎麦を食べに行ったりしました。

──交流はいつから始まったんでしょう。

n-buna えーと、2年ぐらい前ですね。

Orangestar そうですね。僕は投稿を始めたくらいのときからn-bunaさんの曲を聴いていたんですけど、あるときn-bunaさんが「アスノヨゾラ哨戒班」のことをツイートしてくれて、それで僕は「うわー!!」となりまして(笑)。

n-buna (笑)。そう、「アスノヨゾラ~」を聴いて、「これはキタ!」と思って。それ以前から「イヤホンと蝉時雨」を知り合いのボカロPに薦められて聴いていたんですけど……。

Orangestar おあ。

n-buna その人が「コイツは絶対n-bunaのこと好きだぞ」と。

Orangestar ははは!(笑)

n-buna 聴いてみたらすごくよくて、そこから存在を知っていたんですけど、「アスノヨゾラ~」で「この子は来てるな」と改めて思いました。

Orangestar いやー(笑)。ありがとうございます!

──接点ができる以前からお互いにチェックしていたんですね。Orangestarさんは、Twitterでn-bunaさんがつぶやいたときに返事はしたんですか。

Orangestar はい。そこからつながって。

n-buna 最初はTwitter上でリプライを交わしたりしながら、お互いの曲を聴いてました。

──そこから一緒に蕎麦を食べに行くまでになるという急接近。何があったんですか(笑)。

Orangestar ボカロPのエポックさんがつないでくださったんです。

n-buna エポックさんが共通の知り合いで、ちょうどOrangestarくんが帰ってくるタイミングのときに、3人で遊びに行こうよみたいな話になったんです。そのあと2人でご飯を食べにいって。

Orangestar 楽器屋を巡ったりもしましたね。

n-buna あ、そういえばOrangestarくんが誕生日だったので、プレゼントもして。……あれ、使ってる?

Orangestar 使ってます、使ってます!

n-buna オーディオインターフェースとベースの音源をプレゼントしたんです。楽器屋に行って、「これめっちゃいいから」って。当時、持っていなかったみたいだったので「あったらすごく役立ちますよ」ということで。これからどんどんいい曲を作ってほしいなあという思いからでした。

Orangestar いやあ、ありがとうございます。

n-buna そういう制作環境が整っていなかったのに、あそこまでクオリティの高いものを仕上げてきていたのか!って驚愕したんですよね。だからなんというか、塩を送りたかったんですよ(笑)。

──「敵に塩を送る」的な……敵ではないけど(笑)。

Orangestar いただいた機材は今作でも使っています。

──ということは、おニ人の友情も反映されたアルバムと言えますね。そして先日はコラボ楽曲も制作されました。

Orangestar はい。

n-buna 楽しかったです。Orangestarくんはやっぱりメロディに光るものがあるというか。そのいいところを生かしつつ、僕がオケやバランスの部分で周りを固めていけたらいいなって思ったんですけど、その狙い通りのものがうまく組み合わさったと思います。

Orangestar 僕の技術的に全然足りない部分を、n-bunaさんがすごく補ってくれた感じですね。もともとはどんな仕上がりになるか全然想像できなかったんですけど。

n-buna 他人の曲に伴奏を付けたり編曲をするのは初めてだったので、新鮮でしたし、勉強になりました。それに僕は跳ねた感じの明るい曲ってあまり作れないので、そこは特に楽しかったです。

Orangestar 僕も今まで基本的に全部1人で作ってきたので、コラボは今回が初めてでした。こういう作り方も面白いなって思ったし、たぶん相手がn-bunaさんだったからこそ、ここまでスムーズにいったと思うんです。

Orangestarくんにも作曲家の道にのめり込んでほしい

──2人はお互いのことをどんなふうに見ていますか?

「DAYBREAK FRONTLINE」イラスト

n-buna この間の「DAYBREAK FRONTLINE」、あれすごくよかったですね。

Orangestar あ、ありがとうございます。

n-buna なんというか、今までの路線から挑戦してきたような、新しいOrangestarくんを見るようで。ちょっとEDMっぽいというか。かつポップに収まっていたので、改めて「ああ、いい曲作るなあ」と。

──それがですね、本人はEDMを意識していなかったそうですよ。

n-buna え!? そうなんですか!

Orangestar はい(笑)。

n-buna ……でも、それを感覚で作れちゃうのがすごいですよね。感性みたいな部分がストレートに出ているからこそ、聴く人にそのまま刺さるのかな、と思いますね。

──Orangestarさんはn-bunaさんをどう見ていますか。

Orangestar n-bunaさんのこの間のアルバム(「月を歩いている」)も買って聴いているんですけど、とにかくクオリティが高いなあと思いました。それに、さユりさんのCD(「フラレガイガール」)にもn-bunaさんの曲が収録されてましたね。

n-buna そう! あれはうれしかったですね。レコーディングにも立ち会わせていただいたんですけど、彼女はすごいですよね。ブレスのセンスがいいし、声質もカッコいいですし。

Orangestar 僕も好きで最近よく聴いてるんです。n-bunaさん、最近は書き下ろしとかもしているんですか?

n-buna そうですね。今、書き下ろしをがんばっていて。あとは作曲家としてコンペとかにも受かりたいなと思っているんです。やりたいことはいろいろあるんですよ。だから、Orangestarくんにも作曲家の道にどんどんのめり込んできてほしいなあという気持ちもあります。彼の才能をもっと世に出したい!

Orangestar ……いやあ。ありがとうございます、がんばります!

2ndアルバム「SEASIDE SOLILOQUIES」 / 2017年1月18日発売 / 2160円 / DUED-1206 / U&R records
「SEASIDE SOLILOQUIES」
収録曲
  1. Alice in 冷凍庫
  2. 水星
  3. Trash Day
  4. DAYBREAK FRONTLINE
  5. Uz
  6. Still-GATE
  7. White Landscape
  8. RIP
  9. 濫觴生命
  10. サンダルリープ
  11. 回る空うさぎ
  12. 八十八鍵の宇宙
  13. Freezing Nonsense Theater
  14. Origin of Life
  15. Sandalleap
  16. Sky Passing Around, Moon Rabbit
  17. Water Planet
  18. Daybreak Frontline(Acoustic Remix)
  19. Daybreak Frontline(Acoustic Remix)-Instrumental-
Orangestar(オレンジスター)

ボカロPとして活躍する男性アーティスト。2013年4月に「ノラボク」をニコニコ動画に投稿したのを皮切りに活動を開始し、「アメリカ在住の高校生ボカロP」として話題に。2014年に投稿した「イヤホンと蝉時雨」「アスノヨゾラ哨戒班」が大きな話題を呼んだ。2015年4月に1stアルバム「未完成エイトビーツ」を発表。2017年1月に2ndアルバム「SEASIDE SOLILOQUIES」をリリースした。また同年2月に北海道・札幌で行われる「SNOW MIKU 2017」のテーマソングとして、n-bunaとのコラボ曲「スターナイトスノウ」を制作している。

n-buna(ナブナ)

男性ボカロP。2012年3月に「アリストラスト」を投稿したのを皮切りに活動を開始し、2013年2月に投稿した「透明エレジー」はニコニコ動画においてVOCALOIDのデイリー総合ランキングで自身初の1位となった。2014年2月に投稿された「ウミユリ海底譚」は2016年6月現在218万再生を突破。2015年7月に初の全国流通アルバム「花と水飴、最終電車」をリリースした。翌2016年6月には2ndアルバム「月を歩いている」を発表し、8月にバンド編成での初のライブを実施。2017年2月に北海道・札幌で行われる「SNOW MIKU 2017」のテーマソングとして、Orangestarとのコラボ曲「スターナイトスノウ」を制作した。