音楽ナタリー Power Push - 後藤正文(ASIAN KUNG-FU GENERATION)×クリス・ウォラ×マシュー・カーズ(Nada Surf)

3人が語る幸福な音楽活動

ASIAN KUNG-FU GENERATIONの後藤正文が、初夏に自身のレーベルonly in dreamsからGotch名義による2ndソロアルバム(タイトル未定)をリリースする。

本作は、元Death Cab for Cutieのクリス・ウォラがプロデューサーとして、Nada Surfのマシュー・カーズがゲストギタリストとして参加した1枚。1stアルバム「Can’t Be Forever Young」から進化した、より幅広いサウンドが楽しめる作品になるという。

音楽ナタリーでは今回、クリスとマシューが本作のレコーディングのために来日しているタイミングで、後藤を交えた座談会を実施した。それぞれインディーズレーベルから自身の作品を発表している3人。座談会では彼らにアルバムのレコーディングの舞台裏や、インディーズで活動する理由などを語ってもらった。

取材・文 / 中野明子 撮影 / 入江達也 通訳 / 松田京子、青木まり

Gotch 2ndアルバムの舞台裏

後藤正文 昔から大ファンのクリスとマシューとこうやって一緒に話すっていうのは、なんか不思議な感じだなあ。

左からクリス・ウォラ、マシュー・カーズ(Nada Surf)、後藤正文(ASIAN KUNG-FU GENERATION)。

クリス・ウォラマシュー・カーズ ハハハハハ(笑)。

──後藤さんは、クリスさんとマシューさんとどうやってつながったんですか?

後藤 もともと僕はNada Surfの大ファンだったんだけど、なかなか来日してくれなくて。どうにかして日本に呼ぼうと思って、まずは自分でレーベルを作ってNada Surfのアルバムの日本盤をリリースすることにして。そこからマシューとの付き合いが始まったんだよね。で、クリスとはDeath Cab for Cutieが「SUMMER SONIC 2005」に出演していたときに楽屋に突入したのがきっかけで。

クリス ああ! あのときのことは覚えてるよ!

後藤 ありがとう(笑)。一方的に楽屋に行って、自分たちの音源を渡したんだよ。クリスとマシューは、クリスがNada Surfのアルバムにプロデューサーとして参加していたりしてもともと付き合いがあって。そういうつながりを経て2人には、僕の2ndソロアルバムに参加してもらってるんです。

クリス そうなんだよ。今ちょうど作ってて、順調に進行しているよ。ゴッチとは長い付き合いだけど、一緒にレコーディングするのは初めてだったから最初は不安なところもあったけどね。いろんなことを試みたし、サウンド的に幅広いアルバムになるんじゃないかな。アルバムに対するビジョンもクリアだったし、僕がレコーディングに入る前にアレンジもできあがっていたし準備万端って感じだった。お互いの相性もよかった思う。

後藤 ありがとう。マシューには今回、美しいアルペジオを弾いてもらいました。

マシュー 本当に楽しいレコーディングで興奮したよ。歌詞の翻訳も読ませてもらったけど本当に素晴らしかった。自分が参加する以外の曲のデモも聴かせてもらったけど、サウンドがバラエティに富んでて面白かったしね。レコーディングはクリスのガイダンスもあってスムーズだったね。

クリス まさにチームワークだね。

後藤 クリスは迷ったときにいつも的確な指示をくれるんだよ。

クリス ベストを尽くしたつもりだから、そう言ってもらえるとうれしいな。

後藤 とにかく楽しいレコーディングだったなあ。

クリス・ウォラ、Nada Surfがそれぞれの新作に込めた思い

──後藤さんのアルバムはこれからのリリースですが、クリスさんは2作目となるソロアルバム「Tape Loops」を昨年末に、Nada Surfはニューアルバム「You Know Who You Are」を今月リリースしました。こちらについても少しお話を聞かせていただけますか?

クリスマシュー もちろん!

──まずはクリスさんの「Tape Loops」についてお伺いしたいんですが、こちらはDeath Cab for Cutie脱退後初めての作品ですね。制作にあたって意識したことはありましたか?

クリス・ウォラ

クリス とにかくDeath Cab for Cutieとは違う内容にすること。すごくミニマムで、自分自身が聴きたいサウンドというのを目指したんだ。アルバムを作り始めたのはDeath Cab for Cutieを脱退する前だったんだけど、当時自分がバンドを抜けたあとに何をしたいのか、どんな音楽が好きなのかすごく考えて。それがこのアルバムで表現されていると思う。

──なるほど。

クリス 「Tape Loops」っていうタイトルの通り、本当にアナログテープに録音した音をループさせながら作ったアルバムなんだよ。バンド時代とはかけはなれた音楽だから、賛否両論はあると思うけど、アルバムタイトルに関しては嘘偽りはないので(笑)。あとこれを言うと日本のファンに媚を売ってるように見えるかもしれないけど(笑)、「Tape Loops」の中には、(三鷹の森)ジブリ美術館で観たアニメからインスピレーションを受けて作った曲もあるんだ。ぜひ聴いてみてほしいね。

──Nada Surfの最新作「You Know Who You Are」についても聞かせてください。4年ぶりのアルバム制作にあたって、一番気合いを入れたところはどこですか?

マシュー 歌詞だね。これまでコード進行とかアレンジでは完成したあとに後悔したことはなかったんだけど、毎回歌詞については後悔してて。だから今回は歌詞を納得いくまで考えた。あとは、デビュー20周年を迎えるので、バンドの集大成的なものを目指したかな。出来栄えには満足しているし、待っていてくれたファンには「4年も僕らのアルバムを待っててくれてありがとう!」っていう感謝の気持ちでいっぱいだよ。

──マシューさんが25年近く1つのバンドで活動を続けられている理由というのはなんでしょうか?

マシュー ファンがいてくれることだね。大手のレコード会社から契約が切られたあと、僕らの活動が思わしくないときもファンが支えてくれた。おいしいクッキーを食べたら、また次も食べたくなるように、みんなが喜んでくれたらまた次もみんなを喜ばせたいと思う気持ちがあるんだ。あと、ある意味で音楽をやることは僕にとって義務というか宿命というふうに感じている部分もあって。僕は基本的に集中力がないんだけど、音楽に関わるときはそういうことがないんだ。もし音楽をやってなかったら、精神的に病んでいたかもしれない(笑)。それくらい曲を書くってことは僕にとってはライフワークだね。

Gotch 2ndソロアルバム「タイトル未定」初夏リリース予定

後藤正文(ASIAN KUNG-FU GENERATION)主宰レーベルonly in dreamsよりGotch 2ndソロアルバム(タイトル未定)初夏リリース予定!

only in dreams

Nada Surf ニューアルバム「You Know Who You Are」[CD2枚組] 2016年3月16日発売 / 2400円 / only in dreams / ODCP-013
「You Know Who You Are」
収録曲
  1. Cold To See Clear
  2. Believe You're Mine
  3. Friend Hospital
  4. New Bird
  5. Out Of The Dark
  6. Rushing
  7. Animal
  8. You Know Who You Are
  9. Gold Sounds
  10. Victory's Yours
日本初回盤限定特典 ボーナス・ディスク収録曲
  1. No Quick Fix
  2. From The Rooftop Down
  3. Fools
  4. Concrete Bed (original)
  5. Au Fond Du Rêve Doré
  6. Whose Authority (acoustic)
  7. I Like What You Say (acoustic)
  8. I Wanna Take You Home
  9. Everyone's On Tour
  10. Je T'Attendais
  11. The Future (acoustic)
  12. Looking Through (acoustic)
  13. When I Was Young (acoustic)
  14. Waiting For Something (acoustic)
  15. Clear Eye Clouded Mind (acoustic)
後藤正文(ゴトウマサフミ)

1976年生まれ。ASIAN KUNG-FU GENERATIONのフロントマンとして2003年にメジャーデビューする。2010年にインディーズレーベルonly in dreamsを立ち上げ、国内外のアーティストの作品を同レーベルよりリリース。2012年8月に7inchアナログ「LOST」をGotch名義で発表し、2014年4月に1stソロアルバム「Can't Be Forever Young」をリリースする。また新聞「The Future Times」の編集長を務めたり、コラム集「ゴッチ語録-GOTCH GO ROCK!」「ゴッチ語録 A to Z」を上梓するなど音楽以外の活動も活発に展開している。

クリス・ウォラ

1975年生まれ、アメリカ・ワシントン出身のアーティスト。Death Cab for Cutieのギタリスト兼ソングライターとして17年間にわたって活躍し、バンド在籍中の2008年に1stソロアルバム「Field Manual」を発表した。2014年にDeath Cab for Cutieを脱退し、翌2015年12月に2ndソロアルバム「Tape Loops」をリリースした。Nada SurfやSuicide Medicineといったバンドのプロデュースも手がける。

マシュー・カーズ
Nada Surf

1967年生まれ。アメリカ・ニューヨーク出身のバンドNada Surfのギタリスト兼ボーカリスト。1992年にNada Surfを結成し、1996年にデビューアルバム「High/Low」をメジャーレーベルからリリースする。2000年代に入ってからインディーズに拠点を移し、2005年に元Death Cab for Cutieのクリス・ウォラのプロデュースによるアルバム「The Weight Is a Gift」を発表。2016年3月にNada Surfにとって通算8枚目となるオリジナルアルバム「You Know Who You Are」をリリースした。