音楽ナタリー Power Push - うたパス Presents あの人と音楽談

Vol. 3 棚橋弘至

著名人に音楽について話を聞き、定額音楽配信サービス「うたパス」で30曲のプレイリストを作ってもらう本連載。3回目は新日本プロレス所属のプロレスラー・棚橋弘至に登場してもらい、プロレスの試合には欠かせない入場曲や、学生の頃から愛聴していたというパンクについて語ってもらった。

取材・文 / 石橋果奈 撮影 / 豊島望

ロックンローラーのように、その日に燃え尽きるレスラーでありたい ──棚橋弘至

棚橋弘至
  • SUPER STUPID「WHAT A HELL'S GOING ON」ジャケット

    SUPER STUPID「WHAT A HELL'S GOING ON」のジャケット。かつての棚橋の入場曲「DO IT MYSELF」が収録されたアルバムだ。

  • 「JOIN ALIVE 2013」での試合後に10-FEETとサンボマスターをリングに招き入れたときの様子。©新日本プロレス

    棚橋が所属する新日本プロレスは、2013年に北海道で行われた野外フェス「JOIN ALIVE 2013」内で興行を実施した。写真は「JOIN ALIVE 2013」での試合後に10-FEETとサンボマスターをリングに招き入れたときの様子。

初めて自分で選んだ入場曲

“100年に一人の逸材”というキャッチコピーで知られる新日本プロレスのエース・棚橋弘至。テレビ番組にも進出し、お茶の間での人気も高い。そんな彼は過去に自身の入場テーマとしてSUPER STUPID「DO IT MYSELF」を使用していることでも知られている。

「音楽、好きですね。この間も新日本プロレスのコーチとザ・クロマニヨンズのライブを2列目ぐらいの位置で楽しんでました。後ろから流れてきたダイバーを前に送ったりして」そう楽しげな表情を見せる棚橋が音楽に夢中になったきっかけは、ザ・クロマニヨンズの甲本ヒロト(Vo)と真島昌利(G)が在籍していたTHE BLUE HEARTSとの出会いだった。

棚橋弘至

「中学時代、バンドブームの頃にブルーハーツを好きになったんです。それから音楽に対する興味が強くなりました。それで高校生の頃、音楽室で友人に『チェインギャング』のコードを教わって初めてギターを弾いたんです。弾けたときはうれしかったんですけど、ギターは続かなかったですね(笑)」

“棚橋とギター”と言えば、彼が試合中に披露するエアギターのパフォーマンスを思い浮かべるファンも少なくないだろう。棚橋はこれについて「実は夢があるんです。東京ドームのメインイベントで勝利して、『どうせエアギターでしょ?』と思っているファンの前で実際に自分の入場曲を弾く(笑)。ギターはドームの天井から降りてくるような仕掛けで……」と野望を話してくれた。

プロレスファンにとって、選手の入場曲も大きな楽しみの1つ。現在の棚橋の入場曲はオリジナル曲「HIGH ENERGY」だが、これは彼にとって3曲目の入場テーマだ。デビューしたばかりの新人レスラーは、団体から指定された入場曲を使用することが多いとのことで、棚橋の最初の入場テーマだった「STRANGE」もこれにあたる。そして自身で初めて選んだ入場曲が、2曲目の入場テーマであるSUPER STUPID「DO IT MYSELF」だった。

「京都の大学に通ってたときに、たまたま入った古着屋でかかってたんです。古着を買わずに、その足でCDショップに買いに行って(笑)。『プロレスラーになったら絶対に入場曲で使おう』と思っていました」

そしてSUPER STUPIDをきっかけに、棚橋は新日本プロレス入門後もパンクバンドのCDを聴きあさっていくことになる。

「1個上の先輩・柴田(勝頼)さんがHi-STANDARDがすごく好きなんですけど、当時はそこに変なライバル意識があってハイスタを聴けずにいたんです。僕はSUPER STUPIDからイチさん(市川昌之 / B, Vo)のLOW IQ 01にハマってずっと聴いてたんですけど、今の柴田さんの入場曲、イチさんが作ったんですよ。クソうらやましいです! こうなったら俺はKen(Yokoyama)さんに作ってもらうしかないですよ!(笑)」

脳内でロックが流れ出すような試合

棚橋は入門してすぐの頃に知った10-FEETの音楽を現在でも愛聴している。いまだに叶っていないが、10-FEETが毎年7月に京都で開催している野外フェス「京都大作戦」への訪問も熱望しているという。

棚橋弘至

「2011年、震災の4カ月後に行われた『京都大作戦』でTAKUMA(Vo, G)さんが泣きながら『風』を歌う映像を観て、自然と涙が出てきたんです。それで『俺ももっとがんばらなきゃ』って道場に行ってベンチプレス上げたら、それまでどうがんばっても180kgで止まってたのに、190kgまでいけたんですよ」

その後2013年、棚橋は10-FEETと共演を果たすことになる。野外フェス「JOIN ALIVE 2013」で新日本プロレスによる興行が実施され、そこにライブ終わりの10-FEETとサンボマスターが試合に駆け付けたのだ。2組をリングに招き入れたことをうれしそうに話した彼は、ロックファンを前に試合を行った際に感じた興奮についてもこう述懐する。

「やっぱり音楽ファンはイベントごとを楽しむ能力に長けてるなあと。プロレスの試合では僕がエアギターをやるのはいつものことだから、『あ、棚橋今日もやってますね』っていう反応なんですよ(笑)。あのときに初めてエアギターをやってる意味を得たというか『俺のエアギターはここにつながってたのか!』と思いましたね。俺、フェス向きのレスラーですよ!」

ここまでの話で、いかに棚橋が音楽好きかがわかるだろう。「音楽はいろんなエネルギーをくれるから、僕の生活には欠かせない」と言う彼は、今回の音楽談をこう締めくくる。「最終的には自分の試合を観ていると自然と脳内でロックが流れ出すような、命を削る試合をしてみたい。ロックンローラーって明日を見てないじゃないですか。『今がよければ最高!』っていう。そんな、その日に燃え尽きるような、全力を出せるレスラーでありたいなと思いますね」

棚橋弘至 選曲

テーマ「100年に30曲の逸曲」

  1. BLUE ENCOUNT「もっと光を」
  2. BLUE ENCOUNT「DAY×DAY」
  3. GOING UNDER GROUND「同じ月を見てた」
  4. GOOD 4 NOTHING「Flying high」
  5. GOOD 4 NOTHING「LET'S DRIVING THE SEA SIDE」
  6. go!go!vanillas「マジック」
  7. サカナクション「『バッハの旋律を夜に聴いたせいです。』」
  8. FUNKY MONKEY BABYS「ヒーロー」
  9. LOW IQ 01「Makin' Magic」
  10. LOW IQ 01「WAY IT IS」
  11. LOW IQ 01「Miracle」
  12. LOW IQ 01「Little Giant」
  13. LOW IQ 01「Chances」
  14. LOW IQ 01「Swear」
  15. LOW IQ 01「GARDEN」
  1. チャラン・ポ・ランタン「男のサガ」
  2. ONE OK ROCK「キミシダイ列車」
  3. 吉川晃司「Dream On」
  4. THE BACK HORN「コバルトブルー」
  5. ファンキー加藤 with 布袋寅泰「My VOICE」
  6. OKAMOTO'S「Joy Joy Joy」
  7. Base Ball Bear「ドラマチック」
  8. Base Ball Bear「changes」
  9. フレデリック「オドループ」
  10. フレデリック「オワラセナイト」
  11. フレデリック「愛の迷惑」
  12. HAWAIIAN6「Miracles」
  13. KEMURI「Ohichyo」
  14. SNAIL RAMP「MIND YOUR STEP!」
  15. ORANGE RANGE「以心電信」

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棚橋弘至 選曲

棚橋が興行の移動中、闘志を高めるときや体を休めるときに聴く楽曲を集めたチャンネル。

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棚橋弘至(タナハシヒロシ)

1976年生まれ、岐阜県出身。1999年に新日本プロレスに入門し、後楽園ホールで行われた真壁伸也(現:真壁刀義)戦でプロレスラーとしてデビューする。キャッチコピーは“100年に一人の逸材”。新日本プロレスによる最高峰のタイトル「IWGPヘビー級王座」では最多戴冠記録、最多連続防衛記録、最多通算防衛記録を保持する。2014年には自身が逆境の中でもがき続けた日々を激白した著書「棚橋弘至はなぜ新日本プロレスを変えることができたのか」、トレーニングブック「棚橋弘至の100年に1人の逸材☆BODYのつくりかたビギナーズ!」を発売した。また真壁、小島よしお、エヴァとともに、2016年3月に全国公開された「映画ドラえもん 新・のび太の日本誕生」の公式応援団・ウンタカ!ドラドラ団を結成。映画の応援歌を表題曲としたシングル「ウンタカダンス」を2月にリリースした。

ウンタカ!ドラドラ団「ウンタカダンス」
「ウンタカダンス」

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2016年9月30日更新