ナタリー PowerPush - ONE☆DRAFT
コンセプトは“全15曲のワンマンライブ” 3rdアルバム「蜂の巣」ドロップ
昨年6月に発表した2ndフルアルバム「DREAMAKER」以降、4枚のシングルをハイスピードにリリースしてきたONE☆DRAFT。彼らの3rdフルアルバム「蜂の巣」は、ワンマンライブのセットリストをそのままパッケージしたような、ステージの臨場感をダイレクトに感じられる意欲作となっている。
ナタリーでは今回、そんな最新作の制作秘話はもちろん、主にソングライティングを手がけるLANCE(MC, Vo)の曲作りに対するアプローチや現在の心境をクローズアップ。デビュー以降変化してきたというリアルな思いとアルバムの内容をシンクロさせながら味わってみてほしい。
取材・文/川倉由起子 インタビュー撮影/中西求
全部つなげて、ミックスCDみたいにしちゃってもいいんじゃねーのって
──「蜂の巣」は全15曲を“ワンマンライブ”に見立てたコンセプトアルバム。ステージが始まるドキドキ感からアンコールの盛り上がりまで、実際にライブを体感したかのような構成とクオリティでした。どのような経緯でこういう作品を作ろうと思ったんですか?
LANCE まあ、正直に言ってしまうと、今回アルバムを作るってなったときにアイデアも何もなかったんですよね(笑)。まさに白紙の状態で。でも、とりあえず既発のシングルが4曲が入ることは決まっていたので、特に狙ったわけでもなく、じゃあ今回はその4曲を主体に他の曲を作っていこうという流れになりまして。
──それはシングル曲を軸に、ということですか?
LANCE そうですね。4曲を立たせる楽曲というか、シングル曲の前後に来るということを考えながら曲を作っていっても面白いんじゃないかって。完全に思い付きでなんですけど(笑)。でも、そうやって作業をしているうちにだんだんエスカレートしていって、気付いたら全部つなげてしまえというか、もうミックスCDみたいにしてもいいんじゃねーのって。ほとんどの曲はレコーディングの前日とかに作って、もう相当ギリギリのスケジュールでしたけどね(笑)。
──ギリギリになったのは何か理由があったんですか?
LANCE う~ん……なんかね、結局サボってたんすよ、俺(笑)。制作期間が例えば2カ月あったとしても、「10日で1曲作っていこう」じゃなくて「54日間休んで、最後の6日で6曲作ろう」みたいな感じになっちゃってて。でも別に休んだり遊んだりしてたわけじゃなくて、その間には材料探しというか、何かしら動いてはいたんですけど……。
──でも、曲ができあがるのがそういうスケジュールだと、歌う立場のRYOさんは大変なのでは?
LANCE RYOは聴くのが当日だったりしますからね。
RYO(Vo) そうなんです。覚えながら歌うっていうね(笑)。でも、結構そういうパターンは今までにもあったので、なんの違和感もなくやりましたけどね。
良い悪いじゃなく、自分たちが楽しんだ
──そんなタイトなスケジュールで作られたアルバムですが、今作は聴いててすごく楽しかったです! ずっとワクワクしてるって感じでしたね。
LANCE おぉ~! そうっすか~!
RYO・DJ MAKKI(DJ) ありがとうございます!
──ライブの流れを意識したアルバムは世の中にいろいろありますけど、ここまで臨場感のある作品は少ないのかなと。曲の区切りがわからないつなぎ方もそうだし、アンコールのパートまでちゃんと作られてたりして。
LANCE そうですよね。でも、そこは特にこだわったわけじゃなくて、さっきも言ったように「こっちのほうが面白いんじゃない?」っていう話し合いの中で徐々にエスカレートしていったものなんです。あと、今回はシンセ音や電子音とか、今までになかったサウンドも取り入れたりしてて。それは流行に乗ったとかじゃなく、単純に自分たちが最近気になってたり、好きだなって思う音を入れてみただけなんですけど。
──お話を聴いてると、アルバムのコンセプトにしても、新たなサウンドにしても、本当に自由に作り上げた1枚という感じがしますね。
LANCE 良い悪いとかじゃなく、ちょっとした遊び心というか、自分たちが楽しんだなっていう感じはありますね。
──ところでRYOさんとMAKKIさんは、“ライブアルバム”というコンセプトについて、どう感じていたんですか?
RYO 僕はミーティングの段階で、LANCEがそういう(ライブアルバムっぽい)作品にしたいんだろうなとは感じてて。きっと頭の中に想像できてるものがあるんだなと思ったので、そこに乗っていこうって感じでしたね。
DJ MAKKI 僕もそれはRYOと同じ。で、実際に完成したものを聴いてみると、今までありそうでなかったつなぎの面白さだったり、LANCEの言葉じゃないけど、音もしっかり楽しめるアルバムになったかなって。最近このアルバムをよく車でかけてるんですが、CDって普通は1週間くらいで飽きちゃったりするけど、これはずっと聴いてるんですよね。個人的にもすごく好きな1枚です。
RYO 1曲目から15曲目でひとつというか、1枚でひとつの大きな流れになってる感じがするアルバムですよね。
CD収録曲
- 五、六、七、蜂 -INTRO-
- MUSIC
- CHANGE
- 想い出
- 夜空
- TRAIN
- 会いたい夜… feat.Macheri
- 唯一 feat.Macheri
- 5年後…
- 夜行バス
- ワンダフルデイズ
- 奇跡な軌跡
- Mixed by DJ MAKKI
- 傾レンぜ★ (傾奇炎~止まレンぜ★ -Special Mix-)
- 傾奇宴
ONE☆DRAFT(わんどらふと)
LANCE(MC, Vo)、RYO(Vo)、DJ MAKKI(DJ)から成る3人組ユニット。全員1981年生まれの同級生で、帝京高校在学中は野球部に在籍。卒業後、DJ MAKKIはクラブDJ、LANCEはアメリカへ留学、RYOはソウルバーで働きながら生バンドでのライブを重ねる。LANCEの帰国後に3人が再会し、ONE☆DRAFTを結成。2007年3月にシングル「フルサト」でメジャーデビューを果たし、2008年3月には1stフルアルバム「ONE FOR ALL」を発表。2009年6月発売の2ndアルバム「DREAMAKER」はスマッシュヒットを記録した。その後「ワンダフルデイズ」「TRAIN」「夜空」「5年後…」といったシングルのリリースを重ね、全国各地のイベントにも出演。着実に知名度を高める。2010年11月、待望の3rdフルアルバム「蜂の巣」をリリース。