GEN(04 Limited Sazabys)山中拓也(THE ORAL CIGARETTES)田邊駿一(BLUE ENCOUNT)|終わりではなく始まりになった「ONAKAMA2021」

2バンドの楽曲の魅力を改めて感じた

──フォーリミは大阪公演でオーラルの「BLACK MEMORY」、最終日の福岡公演でブルエンの「もっと光を」を、オーラルとブルエンにサプライズで披露されていましたね。

田邊駿一(BLUE ENCOUNT)

田邊 本番前にバレないようにめちゃくちゃ練習してたらしくて。

GEN もはやそこしか練習してなかったわ。

田邊 大阪公演のときに「BLACK MEMORY」をやったから、最終日には俺らのカバーをやるという予想はできていて、あとは何を歌うかだと。俺は「もっと光を」に全ベットしたんですよ。彼の思考、経験を踏まえて絶対外さないところでくるだろうなと。

GEN 読んできたね。

田邊 コード進行もわかりやすいしね。だからあとは証拠をつかむだけだと思って、最終日は彼の近くに張り付いていました。でも意外に歌わねえなと。そしたらオーラルのライブ中にフッといなくなったんですよ。「きた!」と思ってあとをつけたら楽屋のほうから「もっと光を」のDメロが聴こえてきて。俺らもその日のセットリストに「もっと光を」を入れていたから、曲の前振りで何を話すか一気に考えましたね。

山中 そんなんやってたんや。

田邊 もう万引きGメンみたいな気持ちでした(笑)。

GEN ゲネの時点でみんなのセトリ確認したからね。やっぱ俺らが先にやってそのあとに本物が出てきたほうがいいじゃん。

山中 なるほどね。そういう考えやったんや。大阪公演のときめっちゃ悔しかったんですよ。フォーリミが「BLACK MEMORY」をやっているのを俺とあきら(オーラルのあきらかにあきら[B, Cho])がステージ袖で観ていたんですけど、2人で顔を見合わせて「うわ、これやられたな」って(笑)。しかも粋なのがワンコーラスじゃなくてフルでやるという。

GEN 俺らはイントロだけ演奏して「やるわけないやろ!」みたいなことをけっこうやるんですよ。今回は「いやフルでやるんかい!」という(笑)。

田邊 そうそう。だから大阪公演のときもてっきり「BLACK MEMORY」のイントロだけ演奏して、そのままセトリに書いてあった「Jumper」につなげるんだろうなと思った。

山中 俺らは「どっかで入ったほうがいいんか!?」「乱入したほうがいいんか!?」とソワソワしながら観てた(笑)。

GEN そういうの難しいよね(笑)。

山中 しかも次の曲が「knife」で。この曲、俺がフォーリミのアリーナツアーに出たときに歌った曲なんですよ(山中は2018年5月11日に大阪・大阪城ホールで行われたフォーリミのアリーナツアー「04 Limited Sazabys 10th Anniversary Live」最終公演にサプライズ出演)。だからより「え!? これ呼ばれてる!? 出たほうがいいのかこれ!」みたいな気持ちになって。

田邊 確かにそれは出ていいタイミングだね(笑)。

GEN 俺はトリのバンドのボーカルを出番の前に呼んじゃうのは違うかなと思って。だからあきらにベースを渡して歌うとかがいいのかなと思ってた。

山中拓也(THE ORAL CIGARETTES)

山中 俺もめっちゃ迷ったのよ。「ONAKAMA」のパーカー着てたし、GENちゃんの替えのベースがあったのが見えたから。でもそういうとき、オガリュウ(フォーリミのRYU-TA[G, Cho])がパッとこっちを見て「来いよ!」みたいなジェスチャーをやってくれることが多くて。でも今回は「アイツ全然こっち見んやん!」って感じだったから(笑)。

GEN こっちも迷いがあったね(笑)。

山中 だからこの人たちは自分たちのショータイムとしてやっているんだと思って、出たがりの俺は我慢しました。

GEN 全然出てもらってよかったんだけどね(笑)。でもホント、2曲を演奏してみて2バンドの楽曲の魅力を改めて感じました。歌ってみてもそうだけど、ベースも弾いてるから、「こんなオカズ入れてたんか! ようできとるわ」と感心したり、「シンプルやけどめっちゃいいやん」と思うフレーズがあったり。

──各公演のアンコールではフォーリミの「swim」、オーラルの「ReI」、ブルエンの「灯せ」をそれぞれ3人で歌唱されていましたね。

田邊 「swim」と「ReI」を練習していて思ったのが、自分のパートだけ練習してもダメで、フルでしっかり聴き込まないといけないということ。新譜が出たら聴いていたけど、ここまでガッツリ集中して2バンドの曲を聴く機会がなかったから、より楽曲のインサイドに踏み込めてよかったです。

山中 お互いをクリエイターとして見たことが今まであまりなかったなと思いましたね。3人とも曲を作ってるけど、普通にバンドマン仲間というか、ボーカリスト同士というイメージやったんです。

GEN 確かに曲の話とかはそんなにしないもんね。

田邊 新譜できたよ、くらいだよね。

山中 そうそう。「灯せ」を聴いていたとき、頭のコード進行にクリエイターのクセみたいなものを感じて。すぐえぐっちゃん(ブルエンの江口雄也[G])にコード進行聞いたもん。「俺やったらこっちのコードでやってたわ」みたいな話したら「いや、こっちのほうがおいしいって田邊が言ってた」と言われて(笑)。

田邊 ははは(笑)。でもホント、アンコールまでずっと緊張感がありましたね。「ReI」は「PARASITE DEJAVU」で1回歌ったけど全然緊張した(参照:ONAKAMA集合!オーラル×フォーリミGEN×ブルエン田邊「ReI」公開)。

GEN 「パラデジャ」のときよりいい感じだったと思う。「パラデジャ」の映像を「ONAKAMA」のときの映像に差し替えたいくらい(笑)。

左から山中拓也(THE ORAL CIGARETTES)、GEN(04 Limited Sazabys)、田邊駿一(BLUE ENCOUNT)。

バンドによって違うスタジオの空気感

──ライブDVD / Blu-rayに収録される「ONAKAMA 2021」のドキュメンタリー映像は、1月に行われた合同リハーサルのシーンから始まります。

GEN バンドによってスタジオの空気感が違って面白かったな。

田邊 確かに。スタッフさんとアーティストやアーティスト同士の空気感、距離感が全然違って。フォーリミはふざけられるけど、オーラルはまさやん(オーラルの中西雅哉[Dr])に対してふざけすぎるのはよくないなとか。

山中 それ年上やからやろ(笑)。

GEN オーラルのスタジオはちょっと緊張感あったよね。

田邊 まさやん、リハスタのときはこんな感じなんやと思った(笑)。ブルエンは何度でも通しOKですよみたいな感じでね。

山中 確かに。よっちゃん(ブルエンの高村佳秀[Dr])の目が「行こ! もう1回行こ!」みたいな感じで輝いてた(笑)。

──福岡公演のステージ裏の映像で山中さんが「今日のお客さんめちゃくちゃ温かかった。ライブ慣れしてる」と言っていたのが印象に残ったのですが、そういうお客さんの空気感みたいなものは、ステージに立ってみてすぐわかるものなんでしょうか?

GEN(04 Limited Sazabys)

田邊 ああ、それ覚えてる。拓也が出番終わったあとすぐに俺のところに来て、「めっちゃお客さん温かかったで!」と言ってて、わーよかったと安心してステージに立ったら「え!? 本当に?」と思いました。「温かいって言ってたのに!」みたいな(笑)。捉え方とか感覚がこの何年かで変わってるのかもしれないけど。それぞれのバンドの攻め方もあるし。

山中 さっき田邊が別で部屋を取ってたみたいな話をしてましたけど、大トリということもあってブルエンの楽屋はけっこう緊迫した雰囲気だったんですよ。だから元気付けるためにも「温かかった!」と言ったけどそんなことなかったか(笑)。

田邊 「よかったー!」と思って1曲目歌い出したとき、手の震えが止まらんかったもん(笑)。

山中 ははは(笑)。ごめんごめん。

GEN ブルエンの緊張感は俺も感じたな。あと最終日はお客さんが見守ってくれている心強さみたいなものを感じたかもしれない。世の中の状況を受けて、来る来ないはお客さんの自由じゃないですか。でも悩んだ結果、会場に来てくれたということは一緒に「ONAKAMA」を成功させようという意思がある人たちだと思うんですよ。お客さんと一緒になってライブしている感じはありましたね。


2021年7月16日更新