音楽ナタリー Power Push - 奥華子

10周年を経て初めて見せた顔

奥華子がニューシングル「キミの花 / 最後のキス」をリリースした。

彼女にとって17枚目のシングルとなる本作。現在TBSほかで放送中のテレビアニメ「セイレン」のオープニングテーマとして書き下ろされた「キミの花」は、奥自身が「奥華子っぽくない雰囲気」と語るアップテンポなナンバーとなった。一方の「最後のキス」は彼女が得意とする王道の“失恋バラード”。対照的とも言える2曲により、奥華子のクリエイティビティの幅を存分に感じることができる両A面シングルに仕上がっている。またシングルの通常盤には、インディーズ時代に作られた名曲「積木」も収録。その存在は知っていても長らく音源として聴くことができなかった楽曲だけに、ファンにとってはうれしい贈り物となるはずだ。

今回のインタビューでは本作の話題はもちろん、2016年に行われた弾き語り全曲ライブや初の海外ライブについても話を聞いた。

取材・文 / もりひでゆき 撮影 / 星野耕作

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奥華子ってこういう人なんだな

──音楽ナタリーの特集には2015年の7月以来の登場なので、2016年のトピックから振り返っていこうと思います。まずはデビュー10周年を記念した弾き語り全曲ライブ(「奥華子 10周年ありがとう!弾き語り全曲ライブ!」)。2日間4公演で持ち曲すべてを披露、それを4都市でやるという内容でした。

奥華子

今までで一番達成感のあるライブでした。2日間、14時間で154曲歌ったんです。ライブ前は不安もあったんですけど、いざやってみると案外平気で。「あ、まだ全然声出るな」みたいな。周りのみんなもすごくビックリしてくれて、初めて褒められた気がします。普段ほとんど褒められることがないので(笑)、それがうれしかったですね。

──今まで作ってきたすべての曲を歌うことで、これまでの歩みを改めて実感することもあったのでは?

そうですね。「ここまでちゃんと意味のあるものを1つひとつ作ってきたんだな」と思いました。自分で自分を認めることができた時間になったなって。曲に関しては昔も今も言いたいことは基本的にずっと変わっていないんですよ。それがいいことか悪いことかはわからないですけど、「奥華子ってこういう人なんだな」って改めて感じたりもしましたね。

──アーティストとしての軸はデビュー当初からまったくブレていない印象ですよね。それは素晴らしいことだと思います。

そうかもしれない。弾き語りを大事にしているところも変わってないですからね。弾き語りでのライブを成立させるためには歌詞やメロディがしっかりしてないとダメなんですよ。アレンジでごまかすことができないので。だから奥華子の曲作りにおいて、そういう部分はすごく大事なことだなって思います。

──全曲ライブで久しぶりにやる曲もありましたか?

ライブでよくやる曲は決まっていたりするので、ひさしくやっていない曲のほうが多かったです。普段、ファンの方のアンケートを見ると「この曲が聴きたかった」って書いてくれてる曲がことごとくライブでやらないナンバーで(笑)。しかもみんなバラバラなんですよ。だからその気持ちに応えるにはもう全曲ライブをやるしかないよねって冗談でよく言っていたのが、去年実現したっていう流れなんです。

──愚問かもしれないですけど、全部の曲を覚えているものですか?

基本的には全部の曲を覚えてはいますね。ただ、中にはメロディの上下が「これどっちだったっけ?」みたいなことも練習の段階ではありましたけど(笑)。

──全曲をライブでおさらいしたことで、今後のセットリストに変化があるかもしれないですよね。レア曲がどんどん盛り込まれるようになったりとか。

身近なスタッフに「この曲って実はいい曲なんだね」って言われたりもしたので、もしかするとそういうこともあるかもしれないですね、うん。

なんだか認められた感がすごくありました

──そして昨年夏には初の海外ライブも実現しました。

奥華子

初めてだったのにいきなり3回も中国に行って、上海ではワンマンをやらせてもらいましたからね。ビックリでした。「海外にもこんなに奥華子を知ってる人がいるんだ!?」みたいな。向こうのファンの方はみんな一緒に歌ってくれたり、感情表現がすごくストレートなんですよ。日本とは違った反応も多かったのですごく新鮮でしたね。なんだか認められた感がすごくありました(笑)。

──どんな曲が人気なんですか?

基本は日本と変わらないんですけど、向こうのドラマで使われているらしい、プリンセス プリンセスの「M」をカバーして歌ったらめちゃくちゃ盛り上がりましたね。「キャー! それ知ってるー!」みたいな。すごい反応でした。

──カバー曲が盛り上がったんですね。

そう。「あ、なんでもいいんだ」みたいな(笑)。でもアニメやゲームの人気がすごいので「ガーネット」(アニメ映画「時をかける少女」主題歌)とか「ガラスの花」(ゲーム「テイルズ オブ ファンタジア なりきりダンジョンX(クロス)」テーマ曲)も盛り上がりましたね。あとアニメ「響け!ユーフォニアム」で使われていた私のインストを知ってくれてる人もけっこういて。すごくコアなファンの方が多かったです。

──今後も海外では積極的にライブしていきたいですか?

もちろん行ってみたい気持ちはありますけど、自分から企画するほどの熱意はないかなあ(笑)。まずは日本でもっともっと知ってもらう存在にならないとって思いますから。海外の人に呼ばれたら行きたいなっていうスタンスです。

ニューシングル「キミの花 / 最後のキス」 / 2017年2月22日発売 / ポニーキャニオン
通常盤 [CD] / 1200円 /PCCA-04484
セイレン盤 [CD] / 1000円 / PCCA-70498
通常盤収録曲
  1. キミの花
  2. 最後のキス
  3. 積木
  4. キミの花(Instrumental)
  5. 最後のキス(Instrumental)
セイレン盤収録曲
  1. キミの花
  2. 最後のキス
  3. キミの花(Instrumental)
  4. 最後のキス(Instrumental)

「キミの花 / 最後のキス」リリースイベント

  • 2017年2月25日(土)神奈川県 ビナウォーク
  • 2017年2月26日(日)千葉県 ららぽーとTOKYO-BAY
  • 2017年3月2日(木)愛知県 アスナル金山
  • 2017年3月3日(金)兵庫県 ミント神戸
奥華子(オクハナコ)
奥華子

“10万人が足を止めた魔法の声”と称されるシンガーソングライター。キーボード弾き語りによる駅前路上ライブを2004年に渋谷でスタートさせる。1年間に2万枚の自主制作CDを手売りするなどの驚異的な集客力が話題となり、2005年7月にシングル「やさしい花」でメジャーデビュー。2006年には劇場版アニメ「時をかける少女」の主題歌に「ガーネット」、挿入歌に「変わらないもの」が採用されスマッシュヒットとなる。2011年4月には東日本大震災を受け制作された新曲「君の笑顔」をデジタル配信。この楽曲の収益全額は被災者および被災地の復興支援、そして今後必要とされる活動のために寄付された。2012年10月には初のベストアルバム「奥華子BEST -My Letters-」をリリース。2016年夏には、デビュー10周年を記念して奥華子がこれまで発表してきた150曲を超える全楽曲を弾き語りで披露するライブツアー「奥華子 10周年ありがとう!弾き語り全曲ライブ!」を全国4都市で開催した。2017年2月にテレビアニメ「セイレン」のオープニング曲を含む両A面シングル「キミの花 / 最後のキス」を発表。