Case 7エビ中が叶えてくれたアーティストとしての夢
──デビュー直後から楽曲提供やリミックスも活発にしてましたよね。岡崎さん個人として印象深かったものはなんですか?
私立恵比寿中学さんに提供した「サドンデス」です。ワガママを言ってMVの脚本も振り付けも監督もやらせていただいて。僕の場合、ソロアーティストの活動の中で制限されていることってたくさんあるんですよ。
──具体的には?
ライブやレコーディングで掛け合いのある曲ができない。これが一番大きい。エビ中は複数メンバーのいるアイドルなので、岡崎体育として僕がやりたくてもできないことを彼女たちにしてもらえる。これはチャンスだということで、思いっきりやらせていただきました。ライブで彼女たちが「サドンデス」を披露しているのを観て、本当に感激しましたね。エビ中のメンバーが僕の代わりに、岡崎体育のライブをやってくれている感覚で観てて。なおかつその曲に対するお客さんのレスポンスがすごくデカくて、みんな楽しんでくれていた。それを目の当たりにできたことは、今後の音楽人生に影響するでしょうね。
──そのほかにも吉澤嘉代子さん、関ジャニ∞、ヤバイTシャツ屋さんともお仕事をしています。作家として、リミキサーとして、どんなものが岡崎体育に求められていると思いますか?
求められているものって、オファーしてくださるアーティストによってバラバラなんです。吉澤さんは、「スペツナズ」という曲を気に入ってて、僕のシリアスな面を評価して「『スペツナズ』っぽい感じで」と編曲と作詞を依頼してくださいました。エビ中や関ジャニ∞は「岡崎体育さんらしいエンタテインメント性を出してください」という発注でした。ヤバTに関しては、曲自体がアホでエンタテインメント性にあふれているので、彼らはだいたいいつも「カッコよくしてください」って言ってきますね。
──それだけ岡崎さんの音楽性の幅が広いということでしょうね。
どうなんでしょう? でも、できるだけいろんな仕事をしたいなと思ってるんです。シリアスなドキュメンタリー映画の劇伴とかもやってみたいですし、音楽に関連する仕事で僕にできることならなんでも振ってくれと常日頃から思ってます。
Case 8ファンクラブ発足という“ギャグ”
──今年3月に発足したファンクラブ「Wallets」についてもお聞きしたいんですが。岡崎さんがファンクラブを作られたのがちょっと意外でした。
ファンクラブを作るのって今の時代、ちょっと体裁が悪かったりするところもあると思うんですよ。ちょっと恥ずかしいというか。だから岡崎体育のファンクラブって今でもいらんやろって思うところはあるんです。
──せっかく作ったのにネガティブキャンペーンをしてどうするんですか……。
僕の中では「岡崎体育なのにファンクラブって!」っていうギャグなんですよ。
──でもたくさんのファンの方が入会してくださってるでしょうし、ファンクラブならではの企画を考えたりは?
もちろんします! 今はファンクラブ限定グッズの販売とか、ファンクラブ限定のブログをやってるんですけど、それだけじゃ物足りないと思うんです。今後は、ファンクラブの人しかダウンロードできひん音源とか、僕の労力だけで済むものでファンの人に喜んでもらえることを自分発信でできたらと思ってます。「岡崎体育、ファンクラブで面白いことやってるで」って言われるような企画を今後考えていきたいです。
Case 9国に認められた「MUSIC VIDEO」に
──今年の3月には「第20回文化庁メディア芸術祭」で新人賞受賞というおめでたいこともありました。
はい! 国に認められた男ということで。でも本当にこの授賞式では息が詰まる思いをしました。
──会見の写真では1人だけ笑顔でリラックスしているように見えましたが。
いや、これは「皆さん笑顔で」ってスタッフの方が言うから。なのに皆さん神妙な顔で写ってて、寿司くんまで真面目な顔してるし。結果僕だけふざけているみたいになっちゃったんです。ただ、「誰がなんと言おうと、国が面白いって言ってんねんぞ」という裏付けと後押しができた。この賞を受賞したおかげで、胸を張ってクリエイターだと言えるようになりました。それが一番大きかったです。ほかの受賞作品を見たときに、高尚なものだったり、難しい作品が多い印象があったんですよ。その中で、こんな下世話で低俗なエンタテインメント……って言ったらアレですけど、一般の人にもわかりやすいものが評価されたのはうれしかったです。ただ、僕は正直、受賞の知らせを受けたときは、「文化庁メディア芸術祭」の価値を理解してなかったんですよ。寿司くんはすごいテンション上がってて。「なんでこんなにテンション上がってんやろ?」と思って、ラインナップを見たら映画「シン・ゴジラ」とか「君の名は。」とか2016年を象徴するような作品ばかり並んでいて、新人賞とはいえそこに肩を並べることができたのはすごいことなんだなって。今回は新人賞でしたが、将来的になんらかの別の賞を受賞できるように活動していきたいです。
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Case 10:キャリアハイ飾る2ndアルバム「XXL」誕生
- 岡崎体育「XXL」
- 2017年6月14日発売 / SME Records
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初回限定盤 [CD+DVD]
3500円 / SECL-2170~1 -
通常盤 [CD]
2800円 / SECL-217
- CD収録曲
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- XXL
- 感情のピクセル
- Natural Lips
- Horoscope
- まわせPDCAサイクル
- 電車で聴くと映画の主人公になれる曲 (Interlude)
- Open
- 観察日記
- Snack
- 鴨川等間隔
- 式
- 初回限定盤DVD収録内容
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- 感情のピクセル(Music Video)
- Natural Lips(Music Video)
- 式(Music Video)
- 岡崎体育といっしょ!バーチャル食事デート体験(その1)
- 岡崎体育といっしょ!バーチャル食事デート体験(その2)
- JINRO presents 岡崎体育ワンマンツアー「シマウマの中でも比較的凶暴なほう」幕間映像
- JINRO presents 岡崎体育ワンマンツアー「キミイロハートII」
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- 2017年10月9日(月・祝)東京都 Zepp DiverCity TOKYO
- 2017年10月13日(金)愛知県 DIAMOND HALL
- 2017年10月15日(日)大阪府 なんばHatch
- 2017年10月28日(土)北海道 Sound Lab mole
- 岡崎体育(オカザキタイイク)
- 1989年生まれ、京都府出身の男性ソロアーティスト。2012年より地元のスーパーマーケットで働きながら「盆地テクノ(BASIN TECHNO)」の伝道師として活動を開始する。自主制作アルバムを発表しながら、関西を拠点にライブ活動を展開。キャッチーなテクノポップサウンドと独創的な歌詞の妙、口パクによる強烈なライブパフォーマンスが注目を集める。Twitterに投稿した「冷蔵庫に貼ってあったメモ書きを英語風に読んでみた」と題した動画や、歌詞世界を忠実に再現したミュージックビデオ「MUSIC VIDEO」が話題になる。2016年3月にメジャー(巻尺)に音源を付けた“メジャーデビューアルバム”「MEASURE」を、5月にSME Recordsから正真正銘のメジャーデビューアルバム「BASIN TECHNO」をリリース。2017年3月に「MUSIC VIDEO」のクリエイティブや話題性が評価され、「第20回文化庁メディア芸術祭」で新人賞を受賞する。同年6月に2ndアルバム「XXL」を発表。