Case 5クリエイターとしての一面を見せたJINROタイアップ
──JINROで初のCMタイアップというお仕事もありました。
クリエイターとしての一面を垣間見せられた案件だったと思います。寿司くんと一緒に作品作りができたのもうれしかったですね。CMのテーマに合わせて、ホーンセクションが入ったビッグバンドジャズみたいな曲も書けたし、ラップも取り入れられたし、楽曲制作はとても楽しかったです。ラップの韻やライムを考えるのが好きなので、お酒に絡めながら韻を踏む曲が書けたのはよかったんですけど……。
──けど?
CMの撮影が過酷で。撮影した場所が川崎にある普通のスナックだったんです。いかんせん撮影用の場所ではないので、敷地に対してスタッフの数が尋常じゃなくて、ものすごく窮屈でした。しかも24時間カメラ回しっぱなしで、その中で踊り続けたので体力的につらかった。今まで撮ったMVと比べても一番過酷な現場でした。仕上がりは楽しそうなのでよかったですが。
──ちなみに今後作ってみたいCM音楽などはありますか?
インストを作るのも好きなので、インストでクールなCM音楽を作ってみたいですね。個人的に2000年以降に作られたナイキとアディダスのCMに興味があって、毎回曲がカッコいいんですよ。せっかく体育という名前なので、スポーツ関係のお仕事もしたいなと。ナイキやアディダスに曲を提供することができたら……と野望を抱いています。
Case 6念願のポケモンタイアップと
デビュー後初の挫折
──昨年の秋には「ポケットモンスター」と「舟を編む」というアニメ作品のテーマソングも担当しました。
「ポケモン」はゲームが発売された当初からプレイしているくらい好きで、アニメも観ていましたし、タイアップのお話をいただいたときは「どんな注文であれ、絶対お受けします!」というスタンスでしたね。仙台のライブハウスの楽屋で、リハ終わりにマネージャーに「ポケモン」のタイアップが決まったって言われて。大事な話なのに会社の会議室じゃないのかよって思いながら、本番はずっとそわそわしてましたね。「SMEに入ってよかった!」と思いました。
──曲作りで意識したことは?
僕が携わったシリーズは、サトシとピカチュウが南国に行って新しい冒険を始めるという内容で、ポケモンの戦闘の中にダンスと言うかポーズが組み込まれるようになったタイミングだったんです。まずは、そこをテーマに曲を書いてほしいというリクエストがあって。そのほかに20年前に「ポケモン」のアニメを観ていた人たちが僕と同じ世代なので、その世代にも響く曲が書ければと思って歌詞に思いを散りばめました。
──アニメのタイアップの場合、90秒程度のテレビサイズのバージョンを作る必要がありますがその点で苦労は?
ありました。「ポケモン」の場合、80秒で曲を完結させなくてはいけなくて。その中に自分がやりたいこと、入れなくちゃいけないフレーズをギュッとまとめなくちゃいけないから、もうラップしかないと。あと僕らがポケモンを観ていた頃に「ポケモン言えるかな?」っていう曲が流行ったんです。それを踏襲したというか、オマージュする形で曲を作りました。
──「舟を編む」には「潮風」という楽曲を提供しました。
「舟を編む」のタイアップでは、メジャーデビュー後初めて挫折を味わいました。アカデミックな作品なので、それに沿った曲調や歌詞の曲を最初に提出したんですけど、「もっと岡崎体育さんらしい曲を」とアニメの制作スタッフの方に言われて。そこから2回くらい作り直して完成したのが「潮風」だったんです。ただ「MUSIC VIDEO」と似た音色を使って、すごくキラキラしたサウンドに仕上げたら採用されたので、自分としてはすごい戸惑いました。「舟を編む」の原作ファンの方とか、ノイタミナ枠のファンの人にものすごい叩かれるんちゃうかと思ったら、案の定「『舟を編む』の世界観に合ってない」と叩かれまして。「これはこれで『舟を編む』のアカデミックな世界観を壊してるからいいと思う」っていう意見もあったんですけど、どんな作品を作ってもいいって言ってくれる人はいるし、「アカンのちゃう?」って言う人はいるし。全員の意見が一致することはないなと。タイアップ曲を作る難しさを感じさせられました。
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Case 7:エビ中が叶えてくれたアーティストとしての夢
- 岡崎体育「XXL」
- 2017年6月14日発売 / SME Records
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初回限定盤 [CD+DVD]
3500円 / SECL-2170~1 -
通常盤 [CD]
2800円 / SECL-217
- CD収録曲
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- XXL
- 感情のピクセル
- Natural Lips
- Horoscope
- まわせPDCAサイクル
- 電車で聴くと映画の主人公になれる曲 (Interlude)
- Open
- 観察日記
- Snack
- 鴨川等間隔
- 式
- 初回限定盤DVD収録内容
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- 感情のピクセル(Music Video)
- Natural Lips(Music Video)
- 式(Music Video)
- 岡崎体育といっしょ!バーチャル食事デート体験(その1)
- 岡崎体育といっしょ!バーチャル食事デート体験(その2)
- JINRO presents 岡崎体育ワンマンツアー「シマウマの中でも比較的凶暴なほう」幕間映像
- JINRO presents 岡崎体育ワンマンツアー「キミイロハートII」
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- 2017年10月9日(月・祝)東京都 Zepp DiverCity TOKYO
- 2017年10月13日(金)愛知県 DIAMOND HALL
- 2017年10月15日(日)大阪府 なんばHatch
- 2017年10月28日(土)北海道 Sound Lab mole
- 岡崎体育(オカザキタイイク)
- 1989年生まれ、京都府出身の男性ソロアーティスト。2012年より地元のスーパーマーケットで働きながら「盆地テクノ(BASIN TECHNO)」の伝道師として活動を開始する。自主制作アルバムを発表しながら、関西を拠点にライブ活動を展開。キャッチーなテクノポップサウンドと独創的な歌詞の妙、口パクによる強烈なライブパフォーマンスが注目を集める。Twitterに投稿した「冷蔵庫に貼ってあったメモ書きを英語風に読んでみた」と題した動画や、歌詞世界を忠実に再現したミュージックビデオ「MUSIC VIDEO」が話題になる。2016年3月にメジャー(巻尺)に音源を付けた“メジャーデビューアルバム”「MEASURE」を、5月にSME Recordsから正真正銘のメジャーデビューアルバム「BASIN TECHNO」をリリース。2017年3月に「MUSIC VIDEO」のクリエイティブや話題性が評価され、「第20回文化庁メディア芸術祭」で新人賞を受賞する。同年6月に2ndアルバム「XXL」を発表。